「黒い三連星」ならぬ「ブラックホール三重連星」を世界で初めて発見か 自身の重力で静かに潰れる直接崩壊
アメリカの研究チームが、史上初となる「ブラックホール三重連星系」を偶然にも発見したと発表しました。この天体は、地球から約8,000光年離れた位置にある「V404シグニ」という既知のブラックホールです。これまでこのブラックホールは1つの星とペアになった「連星系」として認識されていましたが、最新の観測により、はるか外側にもう1つの星が公転していることが明らかになりました。このことから、ブラックホールと2つの星による三重連星系であることが判明したのです。
■ブラックホールは“爆発”ではなく“静かに”生まれた?
ブラックホール三重連星系のイメージ 出典:スペースチャンネル(AI)一般的にブラックホールは、超新星爆発と呼ばれる激しい爆発現象によって形成されると考えられています。大質量の星がその一生を終える際、エネルギーを一気に放出して崩壊し、その結果としてブラックホールが誕生します。
しかし、今回発見された三重連星系では、ブラックホールのはるか外側を公転する第3の星が存在しており、この星は激しい爆発があった場合には吹き飛ばされてしまっていたはずです。それにもかかわらず星がとどまっているという事実は、ブラックホールが「直接崩壊(Direct Collapse)」と呼ばれる、静かに自身の重力でつぶれて形成された可能性を示しています。この発見は、ブラックホールの誕生における新しいメカニズムを示唆するものであり、今後のブラックホール研究の方向性を大きく変える可能性があります。
■三つの天体がつくる宇宙の重力バランス
ブラックホール三重連星系のイメージ 出典:スペースチャンネル(AI)このブラックホール三重連星系の構成は次のようになっています。
- 中心には太陽の約9倍の質量を持つブラックホールがあります。
- ブラックホールの近くには、6.5日周期で公転している星があり、これはブラックホールに徐々に吸い込まれています。
- さらに外側には、3,500天文単位(地球と太陽の距離の3,500倍)の位置に星があり、約7万年かけてブラックホールの周囲を公転しています。
この外側の星の存在は、これまで「たまたま近くにある別の恒星」として見過ごされてきましたが、最新のデータ解析によって、内側の星と完全に同じ動きをしていることが確認されました。この動きの一致は偶然では説明できず、三重連星として重力的に結びついていることが確実となりました。
さらに、外側の星が「赤色巨星」へと進化している途中であることが観測されました。この情報から、星の年齢は約40億年と推定され、三重連星系全体も同じく40億年前に誕生したと考えられています。
残念ながら、ブラックホールが3つ連なっている訳ではありませんが、ブラックホール三重連星が実際に観測されたのは今回が初めてとなります。是非、ガイア、オルテガ、マッシュと名付けたいですね。それにしても、ブラックホールが静かに自身の重力でつぶれていく過程は一体どのような光景が広がっているんでしょうか。是非コメントお待ちしています。
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