【米国市況】ダウ最高値、雇用統計で米利上げ観測後退-半導体は続落(Bloomberg)

1:27 配信

(ブルームバーグ): 2日の米株式市場で、S&P500種株価指数は前日比ほぼ変わらずで終えたが、構成銘柄の大半は上昇した。米雇用統計で非農業部門雇用者数の伸びが市場予想を下回ったことを受け、近い時期の米利上げはないとの見方が広がった。ダウ工業株30種平均は最高値を更新して引けた。

この日はフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が続落し、5.4%安で終了。前日は6.3%安だった。

S&P500種は一時0.8%近く上昇したが、その後は軟調に推移し、最終盤になって前日終値とほぼ同水準に戻した。

米株式市場は3日、独立記念日の振り替え休日に伴い、休場となる。

6月の米雇用統計で非農業部門雇用者数は前月比5万7000人増と、市場予想の中央値である11万3000人増を下回った。過去2カ月分の雇用者数も下方修正された。

eToro(イートロ)のブレット・ケンウェル氏は「低調な雇用統計は決して好材料ではないが、リスク資産には追い風となる可能性がある。米連邦準備制度理事会(FRB)がタカ派姿勢を取る必要性が薄れるためだ」と述べた。

同氏は、労働市場の悪化を強く示唆する内容ではなかったが、労働市場の強さを巡る市場の見方をやや修正する内容だったと指摘。これによりFRBは、二大責務のうち、ほぼ物価上昇圧力への対応だけに集中するのでなく、雇用最大化とのバランスを図る方向に向かう可能性があると予想した。

ノースライト・アセット・マネジメントのクリス・ザッカレリ氏は、このところはインフレが最大の関心時だったが、雇用の最大化という、もう一つの責務も注目されることになったと指摘。そうした状況では政策金利据え置きの可能性が高まると述べた。

また、他の条件が変わらないとすれば、利上げより据え置きの方が市場にとってはるかに好ましいだろうと付け加えた。

ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのケイ・ヘイグ氏は「FRBが年内いっぱい政策金利を据え置く余地は依然としてあるとみている。ただ、インフレがさらに上振れすれば、連邦公開市場委員会(FOMC)は利上げを先送りするのではなく、前倒しで実施する方向に傾く可能性がある」と述べた。

アネックス・ウェルス・マネジメントのブライアン・ジェイコブセン氏は「ウォーシュFRB議長は胸をなで下ろせるだろう」と指摘。「労働市場は過熱していない。インフレ期待は落ち着きつつある。これは、FRBが望むなら夏の間ずっと静観できることを意味している。利上げも利下げも行う必要はない」と話した。

ニューヨーク外国為替市場では、円がドルに対して雇用統計の発表後に上昇幅を拡大した。米利上げ観測が後退し、ドル指数が約2カ月ぶりの大幅安となったことなどが背景にある。

円はドルに対し、雇用統計の発表を受けて一時、ニューヨーク前日終値比1.2%高の160円64銭を付けた。

ドルは他の主要通貨全てに対して下落。ブルームバーグ・ドル・スポット指数は一時0.7%下げ、5月6日以来の大幅安となった。

フォート・ワシントン・インベストメント・アドバイザーズのシニア・ポートフォリオマネジャー、ダン・カーター氏は「今回の統計からは、FRBが利上げをすべきだというシグナルは見当たらない」と指摘した。

ロイター通信は、日本政府が4月30日の介入時のように市場へ事前にシグナルを送る手法を見直す可能性があると報じた。こうした戦略は、円売りポジション(持ち高)を積み上げる投機筋が不意を突かれる形となり、より効果的になり得るという。

米国債市場では利回り曲線がツイスト・スティープ化し、中・短期債が買われた(利回りは低下)。非農業部門雇用者数の伸びが市場予想を下回ったことを受け、今後数カ月以内に利上げが実施されるとの見方が後退した。

金融政策の影響を最も受けやすい2年債の利回りは一時、前日比7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下して4.10%。10年債利回りはほぼ変わらずの4.48%。

ブラックロックのシニアポートフォリオマネジャー、ジェフリー・ローゼンバーグ氏は「ウォーシュFRB議長にとって良好な統計内容で、債券市場にも好材料だ」とブルームバーグテレビジョンで発言。ウォーシュ氏が金融政策を慎重に判断するのに寄与すると述べた。

金利スワップ市場では、7月のFOMC会合での利上げが約20%織り込まれている。雇用統計の発表前は33%だった。

TDセキュリティーズの米金利ストラテジスト、モリー・ブルックス氏は雇用統計について、「労働市場が過熱しているのでなく安定化しつつあることを示唆している。労働市場の再加速を理由にFRBは利上げが必要になるといった見方を幾分後退させる内容だ」と述べた。

3日は独立記念日の振り替え休日のため米国債市場は休場となり、2日は米東部時間午後2時までの短縮取引だった。

原油価格は小幅反発した。イラン戦争前の安値圏で推移したが、米独立記念日の連休を控えショートカバーの買いが入り、引けにかけて持ち直した。一方、ペルシャ湾からの供給回復が続き、供給過剰への懸念が強まった。

ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は、前日比0.2%高の1バレル=69ドルを下回る水準で取引を終えた。一方で、期近スプレッドは昨年11月以来初めて供給過剰の兆候を示した。

北海ブレント先物も小幅高で取引を終えたものの、終値は1バレル=72ドルを下回り、イラン戦争が2月28日に始まる前の週以来の安値を付けた。

ブルームバーグが集計したデータによると、ホルムズ海峡を通過する原油輸送量は7月1日に日量1400万バレルへ急増した。これとは別に、サウジアラビアの紅海沿岸とアラブ首長国連邦(UAE)のフジャイラ港からホルムズ海峡を経由せずに輸出される原油も、合わせて日量約620万バレルに上る。1日分のデータだけでは全体像を判断するには不十分だが、それでもペルシャ湾の産油国からの原油供給が急速に回復していることを示した。

サウジアラビアは先週後半にラスタヌラの大規模原油輸出拠点からの出荷を再開し、原油積み込み量を従来水準の90%近くまで回復させた。戦略備蓄の放出など、戦時中に講じられた供給不足への対応策が維持される中、市場に原油が一気に流入している。中国の原油輸入も低調なままだ。

JPモルガン・チェースのコモディティー調査責任者、ナターシャ・カネバ氏は、「大量の原油が市場に流入しようとしている」と指摘。「皮肉なことに、原油供給が急増している一方で、市場は少なくとも現時点ではそれを必要としていない」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物8月限は前日比11セント(0.2%)高の1バレル=68.69ドルで終了。北海ブレント先物9月限は23セント(0.3%)高の71.80ドルで取引を終えた。

米雇用統計が低調な内容となり、FRBがインフレ抑制のため年内に利上げに踏み切るとの見方が後退したことを受け、金価格は急伸した。

金スポットは統計公表後、一時2.8%上昇した。約7カ月ぶりの安値からの回復基調が2日連続で続いた。6月の米雇用の伸びは大幅に鈍化し、非農業部門雇用者数はブルームバーグ調査で集計した予想のうち、1件を除くすべてを下回った。

弱い雇用統計を受け、ウォーシュFRB議長が7月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを決める必要性は低下するとの見方が広がった。ウォーシュ氏は1日、ポルトガルで開かれた欧州中央銀行(ECB)の年次フォーラムで、「この4週間でインフレ期待は低下し、インフレリスクは後退した」と述べた。この発言は、市場が懸念していたほどタカ派的ではないと受け止められた。

INGグループの商品ストラテジスト、エワ・マンセイ氏は「予想を下回る雇用統計を受けて、FRBによる利下げ観測が再び強まり、米国債利回りとドルは下落し、金価格は一段と上昇した」と述べた。「金相場の行方は、今後発表される経済指標が利下げ観測を支える内容となるかどうかにかかっている」と指摘した。利息を生まない金にとって、金利上昇は逆風となる。

金スポット価格はニューヨーク時間午後2時32分現在、前日比94.08ドル(2.3%)高の1オンス=4124.73ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物8月限は43.30ドル(1.1%)高の4125.70ドルで引けた。

2日の欧州債券市場は、ドイツ債のイールドカーブが前日に続きツイスト・スティープ化した。6月の米雇用統計の伸びが予想以上に鈍化したことなどから、利上げ予想が後退し、短期債が買われた。一方、長期債は売られた。

ドイツ2年債利回りは、1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低い2.50%だった。10年債利回りは2bp上昇し4.78%となった。

金利スワップ市場では、欧州中央銀行(ECB)の9月までの利上げ幅は12.5bp、年末までは17bpと織り込んでいる。1日時点では、それぞれ15bp、22bpだった。年内にさらに25bpの利上げが1回あるとの見方はもはやなくなった。

英国債も2日連続でツイスト・スティープ化した。イングランド銀行(英中央銀行)の年内の利上げ幅は、18bpと予想されている。1日時点では19bpだった。

欧州株は上昇した。割高となっているテクノロジー株に代わる投資先として、投資家がここ数カ月は見過ごされてきた業種に資金を振り向けたためだ。

ストックス欧州600指数は1.4%高となり、過去最高値を更新した。業種別では、ヘルスケア、パーソナルケア、食品・飲料が上昇をけん引した。テクノロジー株は、米国の同業種の下落につられ、最も大きく下げた。

投資家は、ここ数カ月低迷していた欧州の防衛関連株も買い進めた。ゴールドマン・サックス・グループの防衛関連株バスケットは6.4%上昇した。

7月2日の欧州マーケット概観(表はロンドン午後6時現在)

原題:Dow Average Hits Peak as Jobs Ease Fed-Hike Worry: Markets Wrap(抜粋)

Dollar, Front-End Yields Fall on Jobs Weakness: Inside G10

Treasuries Gain as Weak Jobs Report Dims Fed Rate-Hike Bets (2)

Oil Fluctuates as Crude Flows Surge Through Persian Gulf

Gold Jumps After Soft US Job Numbers Ease Fed Rate Hike Fears

Bunds Trim Declines After US Payrolls Miss: End-of-Day Curves

European Stocks Rise as Investors Rotate Away From Technology

Bloomberg News

最終更新:7/3(金) 5:55

Bloomberg

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