トランプ氏、プーチン氏に「2週間」の期限設定か ウクライナについて対応要求

画像提供, Getty Images

ブランドン・ドレノン、トム・ベイトマン BBCニュース(ワシントン)

ドナルド・トランプ米大統領は28日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に対し、ウクライナに関して2週間の期限を設定したとみられる発言をした。ホワイトハウスで記者団を前に、もしプーチン大統領が自分をだまし続けるなら、これまでとは違う対応をすると述べた。ロシアはこのところ、ウクライナへの攻撃を激化させている。

トランプ氏はホワイトハウスの大統領執務室で、「プーチン大統領は戦争終結を希望していると思うか」という記者団の質問に対して、 「それには答えられないが、2週間くらいのうちにお知らせする」と答えた。

「2週間のうちに、(プーチン氏が)こちらをだましてあしらっているのかが分かる。もしそうしているなら、こちらは対応を少し変える」と、トランプ氏は述べた。

開戦から4年目になる戦争において、24日からのロシアの攻撃は最大規模のひとつで、28日の時点でも激しい攻撃は続いている。

トランプ政権は、ロシアとウクライナの停戦合意を仲介しようと交渉を重ねてきたものの、仲介努力が無駄に終わりそうな気配にトランプ氏のいらだちは高まっている。

トランプ氏は19日にプーチン氏と約2時間にわたる電話会談をしたばかりで、その直後には話し合いは「とてもうまくいった」と評価していた。

プーチン氏はこの電話会談後に「将来の和平合意の可能性に関する覚書」の作成で、ウクライナと協力する用意があると述べていた。

しかしその後まもなく、ロシアはウクライナ各地への集中攻撃を開始。ウクライナ空軍によると、首都キーウに対しても大量のドローン(無人機)やミサイルが撃ち込まれた。また、ロシアはまだ「覚書」を提出していない。

一方でロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相は28日、ロシア政府は確かにウクライナ政府と2度目の和平協議を行う用意があると発言。ロシア国営タス通信が伝えた声明によると、外相は、次回協議は6月2日にイスタンブールで開催され、ロシア側が和平条件をまとめた「覚書」を提出すると述べた。

トランプ氏は25日、プーチン氏について「一体全体、彼に何があったんだ? 彼はたくさんの人を殺している」と発言した。さらに同日、自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」で、プーチン氏に「何かがあった」、「全く狂ってしまった」と書いた。

これに対してクレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は、「全員が感情面で過負荷状態になってしまったことに関係している」と評した。

続けてトランプ氏は27日、プーチン氏は「火遊びをしている」として、自分が関与していなければロシアに「たくさんの悪いこと」が起きていたはずだと、「トゥルース・ソーシャル」で主張した。

これについてプーチン氏の側近、ユーリ・ウシャコフ氏は国営テレビ「ロシア1」で、「我々は、実際の現状についてトランプ氏が十分情報を得ていないという結論に達した」と述べ、「ウクライナが平和的なロシアの都市に対して巨大なテロ攻撃を頻繁に繰り返している」ことをトランプ氏が知らないのだろうと話した。

画像提供, EPA

画像説明, ベルリンでゼレンスキー大統領を迎えたメルツ首相(28日)

クレムリンは、ウクライナが使用するミサイルの射程距離制限を解除するような、いかなる決定も、政治的合意を目指す努力を損なう危険な政策変更になると警告している。

態度を変えようとしないロシアに対して、トランプ大統領はこれまでたびたび要求を和らげてきた。当初は30日間の即時停戦を要求したものの、同意したのはウクライナのみだった。最近では、トランプ氏が「打開策」と呼ぶものを確保するため、プーチン大統領との首脳会談を要求する方向に重点を移している。

プーチン大統領とセルゲイ・ラヴロフ外相は、トランプ政権が2月にロシアとの接触を再開して以来、以前よりも要求を強めている。 ロシアが占領していないウクライナ領の一部をロシアに割譲する求めたり、クリミアを正式にロシアの一部としてアメリカが承認することなどが、ロシアの要求に含まれる。

アメリカの元駐ロシア大使、マイケル・マクフォール氏は、これはロシアが交渉に持ち込んだいわゆる「ポイズン・ピル(毒薬)」だと指摘。つまり、ウクライナが決して受け入れられない条件を提示することで、合意成立を妨げているのはウクライナの側だと、トランプ氏に思わせることが目的だと説明している。

開戦から4年目に入ったこの戦争では、すでに数万人が死亡し、ウクライナ東部と南部の大部分が荒廃している。

ロシアは、2014年に併合したクリミア半島を含め、ウクライナ領土の約2割を掌握している。

ゼレンスキー大統領は、モスクワが和平プロセスを遅らせていると非難し、今月16日にイスタンブールで行った直接協議後、約束した和平条件に関する覚書をまだ提出していないと述べている。クレムリンのペスコフ報道官は、覚書は「最終段階」にあると強調している。

関連記事: