ウィスコンシン州裁判事、FBIが逮捕-不法移民の逮捕妨害の容疑で
- 司法手続き妨害と被告人隠匿の容疑、有罪となれば最長6年の禁錮刑
- トランプ政権、不法移民の一斉退去めぐり全米各地で判事らと衝突
米連邦捜査局(FBI)は25日、ウィスコンシン州裁判所のハンナ・デュガン判事を、当局による不法移民拘束を妨害した容疑で逮捕した。
ミルウォーキー郡巡回裁判所のデュガン判事には、司法手続き妨害と被告人隠匿の容疑がかけられている。有罪となれば最長6年の禁錮刑を科される可能性がある。
同判事が25日に出廷したミルウォーキー連邦地裁で、検察はデュガン判事の拘束を請求せず、同判事の釈放をスティーブン・ドゥリーズ判事は指示した。
FBIのパテル局長はソーシャルメディアに「デュガン判事は裁判所で対象が逮捕されないよう、意図的に連邦捜査官を遠ざけたというのが、われわれの判断だ」と投稿。その行為によって「違法入国の外国人」はその場での逮捕を逃れたが、捜査官による追跡後に拘束されたと続けた。この投稿は後に削除された。
不法移民の一斉国外退去を強制執行するトランプ政権は、全米各地で判事らと衝突している。これまでに連邦裁判事2人が法廷侮辱罪での政府当局者訴追を検討しているほか、裁判所での移民逮捕を容認する是非を巡り州裁判所の判事らが政府と対立している。
デュガン判事の弁護士は出廷時の声明で「(デュガン判事の)逮捕は極めて遺憾であり、強く抗議する」と表明。「公共の安全に資するものではない」と非難した。
ミルウォーキー・ジャーナル・センティネル紙によれば、事件が起きたのは4月18日。デュガン判事は法廷での審理後、メキシコ人被告を拘束しようとした移民税関捜査局(ICE)捜査官らを、別の判事の執務室に誘導。その間に被告が人目につかずに公共エリアに退出できるよう、便宜を図ったとされている。
2016年から判事を務めるデュガン氏は、2022年4月に超党派の支持を得て再選された。任期は6年間。同判事の書記官はブルームバーグ・ニュースに対してコメントを控えた。
原題:FBI Arrests Wisconsin Judge in Immigration Obstruction Case (1)(抜粋)