【分析】「シャチがホッキョクグマを捕食」、プーチン氏の世界は常に弱肉強食 トランプ氏のウクライナ和平構想に暗雲
上海協力機構(SCO)首脳会議の後、報道陣の取材に応じるプーチン氏/Vyacheslav Prokofyev/AFP/Getty Images
(CNN) ロシアのプーチン大統領は先月下旬、上海協力機構(SCO)首脳会議に出席するため中央アジアのキルギスを訪問した。この首脳会議には、中国の習近平(シーチンピン)国家主席、インドのモディ首相、イランのペゼシュキアン大統領も出席した。
首脳陣が首都ビシケクに集まったのは、地政学的な緊張が極めて高まる中でのことだった。イランと米国は新たな報復攻撃の応酬を繰り広げ、ロシアのドローン(無人機)やミサイルがウクライナを激しく攻撃。さらにドイツは、8月にライプチヒの空港を標的としたドローン攻撃について、ロシアに責任があると非難した。
だが、プーチン氏はこうした状況でも余裕を失っていないように見えた。今月1日夜の記者会見では、ある一つの主張をことさら明確にしようと努めている様子だった。それは、国家はダーウィン的な競争状態にあり、適者生存の争いではロシアが勝ち抜くというものだ。
クレムリン(ロシア大統領府)担当記者のパベル・ザルビン氏から、数日前に「シャチがホッキョクグマを食べる」との異例の発言(プーチン氏の海洋生物学に関する見解については後述)をしたことについて問われると、プーチン氏は、それは西側諸国との現在進行形の対立を表すために「即興で」用いた例えだったと説明し、以下のように述べた。
「シャチは間違いなく恐るべき捕食者だが、同時に非常に知能が高く、狡猾(こうかつ)な生き物でもある」「一方で、西側諸国にはソ連時代、今日でも通用する特定の定義が与えられた。『帝国主義のサメ』だ」
サメとシャチは同じ種類の動物とは言い難いが、プーチン氏はさらに例えを続けた。
「私の発言の趣旨は、もし何者かが我々を食物連鎖の下位へ引きずり下ろし、食い尽くそうとするならば、その者は歯を折られる覚悟をすべきだということだ」「そしてロシアは、こうしたサメたちの飽くなき食欲と、ますます研ぎ澄まされる歯にもかかわらず、まさにそれを実行する準備ができている」
ここで発せられたメッセージは、国内の聴衆に対しても、各国の指導者に対しても明確だった。ウクライナでの戦争に関して言えば、前線がどこにあろうと、またウクライナがロシア深部攻撃作戦を通じて一般市民にどれほど経済的な痛手を与えようと、プーチン氏は強硬姿勢を一段と強める構えだ。
プーチン氏は、ウクライナが防空面で劣勢に立たされていることを認識しており、ロシア軍はウクライナ各地の都市にドローンやミサイルを大量に浴びせている。
ウクライナのゼレンスキー大統領は1日、ウクライナのドローンが飛来しているため、ロシア上空は「事実上閉鎖されることになる」と警告した。これに対しプーチン氏は、その発言は聞いていないとして、事態をエスカレートさせるような言辞を一蹴した。
プーチン氏はこうした発言について、「国家が支援するテロ行為を呼びかけるものにほかならない」と述べた。「彼らは我々に交渉再開や直接会談を要求しているが、テロリストとは交渉しない」
また、8月にライプチヒの空港を狙ったドローン攻撃の責任がロシアにあるとするドイツの主張についても同様に一蹴し、ドイツ側が意図的な挑発のために証拠を仕込んだとの見方を示した。
「提示されている説明はただ一つ、『攻撃的なロシア』に対抗する必要性だ」「だが証拠はどこにあるのか。今になって何らかの『証拠』が仕込まれたというわけだ」