あえて「タイパ」無視、やることは90分間ひたすら石を磨くだけ…「没頭」「無駄を満喫」が癒やし効果に(読売新聞オンライン)

 紙やすりを手に、握り拳サイズの石の表面を黙々と磨く人たち。連休を満喫する買い物客でにぎわう梅田とは思えないほど静かな会場に、小刻みな摩擦音が響いていた。

 7種類のやすりを使い分けてそれぞれのペースでひたすら石と向き合う。開始から約30分経過する頃には、少しずつ丸みを帯びたり、表面が滑らかになったりと変化が現れ、「この子、丸くなってきたね」「すごい」などの声が上がった。

 イベントは、ルクア大阪を運営する「JR西日本SC開発」のプロジェクト「ムダ満喫CLUB」が企画した。

 「意味や成果、効率が強く求められる『ストレス社会』に生きる現代人に、何も考えず夢中になれる時間と場所を」と2023年からイベントを開催。今年実施した泥団子作りイベントは「童心に返れそう」と話題になり、予約が埋まった後、1000人を超えるキャンセル待ちが出たという。

 今回の「超、磨く。」は「懐かしさ」などの要素をあえて含めず、「いかに全力で『無駄な時間』を楽しんでもらえるか」を追求した企画といい、担当の三上尭さん(30)は「無駄レベルは過去最高。子どもの頃のように『ただ楽しい、面白い』といった感覚を思い出してほしい」とする。同社では、今後も同様の企画を予定しているという。

 誘われて参加したという兵庫県西宮市の男性会社員(25)は「最初は、こんなことが本当に面白いのかと疑問だったが、磨いているうちに普段の仕事の悩みなどを忘れ、没頭できた」と振り返り、「有意義な時間で、無駄は無駄じゃないんだと思えた」と話した。府内からの参加者(49)は「元々石が好きだったが、自分で選んだ石が少しずつきれいになっていくのを見て『育てている』ような感覚になって、どんどん愛着が増していった」とうれしそうに話した。


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 脳生理学が専門の有田秀穂・東邦大名誉教授は「『石を磨く』という動作は、一見すると単純に見えるが、手の動きと連動するように呼吸のリズムも整い、癒やし効果のある脳内物質セロトニンが活性化する」とし、「スマートフォンなどで常に頭を酷使している現代人には、シンプルだが頭も心も整って『平常心』になれる時間が必要とされているのではないか」と分析する。

読売新聞オンライン
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