アメリカ政府、AI半導体輸出で数量規制 中国へ迂回輸出把握
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【ワシントン=八十島綾平】バイデン米政権は13日、人工知能(AI)向け先端半導体に関する輸出規制の見直し案を発表した。東南アジアや中東向けに「数量制限」をかけながらも簡単に輸出できる仕組みを設ける。海外での先端半導体の流通・在庫データを把握するためで、中国への迂回輸出を封じる狙いがある。
レモンド米商務長官は「最先端のAI技術を守り敵対国の手に渡らないようにする」と述べた。規制案には120日の意見募集期間を置き、一部は施行まで1年の準備期間を設ける。
新たな規制は各国を3つのカテゴリーに分ける。「ティア1」は同盟国の日本や韓国、英仏独などの19カ国で、先端半導体やAIの基盤モデルの技術移転に制限はかからない。
新たなルールを新設するのは、東南アジア諸国や中東諸国など「ティア2」の国への先端半導体の輸出だ。米政府によるとティア2国はおよそ120カ国にのぼる見込み。
現在ティア2国向けの輸出の多くは、米政府の許認可を取る必要がある。認可取得に長い時間がかかり、認められない場合もある。
新たな規制案では年間1700基(78億〜95億円相当)の数量制限のもと、許認可なしでティア2国向けに先端半導体を輸出できる仕組みをつくる。
主に想定されている製品は、米エヌビディアの主力モデル「H100」などだ。例えば米メタの場合、次世代の大規模言語モデル(LLM)の開発にH100を10万基使っている。
年間1700基までの小規模取引は許認可不要にしつつ、数量と輸出先は常に把握できるようにすることで、東南アジアや中東経由での中国への迂回輸出をけん制する。
ティア2国での先端半導体の在庫状況は「これまで全く把握できていなかったが、大量に存在する可能性がある」(米政府高官)という。まずは新ルールのもとで、海外での先端半導体の流通・在庫データの把握を急ぐ。
ブラジルやインドのようなティア2国では、AIの活用や米テック企業の現地ビジネスが滞る可能性もあるため、米政府は例外措置を設ける。
米政府が審査のうえ安全保障上問題ないと認定した企業なら、ティア2国内でも数量制限を超えて先端半導体を許認可なしで輸入できるようにする。AI向けデータセンター建設での例外措置活用が想定される。
ティア3の中国、ロシア、北朝鮮など22カ国は元々輸出が規制されている。今回、最先端のAI基盤モデルを中国などに移転することを禁じる措置を新設する。
米ホワイトハウスのサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は「先端AIのインフラが米国もしくは同盟国内にとどまるようにする」と語る。
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