NATOの東方拡大、ロシアの懸念は妥当=米特使
[モスクワ 30日 ロイター] - トランプ米政権のケロッグ特使(ウクライナ担当)は29日、北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大に対するロシアの懸念は妥当との認識を示し、米国はウクライナがNATOに加盟することを望んでいないと明言した。
NATOがウクライナや他の旧ソ連諸国へ拡大しないようロシアが文書での保証を求めているとのロイターの報道に関し、「それはもっともな懸念だ」と米ABCニュースに語った。
「ウクライナのNATO加盟はわれわれの検討対象ではないと表明してきた。NATO内には同様の考えを持つ国が恐らくほかに4カ国はある。加盟には全32カ国の承認が必要だ」と述べた。「これはロシアが問題視する点の一つだ」と語った。
また、ロシアが懸念しているのはウクライナだけではなく、ジョージアやモルドバも同様だと指摘した。NATO拡大に関する米国の最終的な方針はトランプ大統領が決定すると説明した。
ケロッグ氏はウクライナとロシアの和平交渉の進め方について、6月2日にトルコのイスタンブールで行われる協議で、両国がそれぞれ起草した2つの覚書を1つの文書に統合する作業が含まれるとの見通しを示した。
「来週イスタンブールで協議の席に着く」と述べ、ドイツ、フランス、英国の国家安全保障担当補佐官らが、米国と共にこの覚書に関する協議に参加すると明らかにした。
ケロッグ氏によると、トランプ氏はロシアのプーチン大統領の「理不尽さ」を目の当たりにし、ロシアに対して「いら立ち」を感じているという。
同氏はウクライナ戦争における死傷者は、控えめに見積もっても双方合わせて120万人に達すると指摘し、「これは衝撃的な数字だ。まさに産業規模の戦争だ」と語った。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab