改善されないDV被害者の情報漏えい 国の周知とシステムの限界

毎日新聞 2026/10/5 07:00(最終更新 10/5 07:50) 有料記事 2751文字
北海道名寄市が5月、女性に対面で謝罪した際に手渡した説明文書。女性が窓口に直接申し出て、初めて市側がミスを把握した経緯が記されていた=北海道内で2026年7月、西本紗保美撮影

 ドメスティックバイオレンス(DV)の被害者が住所について閲覧制限をかけているにもかかわらず、各自治体での誤交付などにより住所が漏えいする事案は全国的に絶えない。

 なぜ改善されないのか。

画面で「注意喚起」表示

 北海道名寄市では2024年4月に誤交付が起きた。

 市への取材によると、閲覧制限をかけていた女性の元夫の代理人を務める弁護士側が、市民課窓口で「調停に必要だ」として、女性の戸籍の付票の写しを請求した。

 当時の担当職員は閲覧制限の対象者であることを示す「注意喚起」がシステム画面に表示されたため、交付していいのか迷ったというが、当時は管理職が不在だったこともあり、その場にいた複数の職員同士で相談し、「問題ない」と判断してしまったという。

 5月に女性の自宅に裁判所から養育費の調停に関する書類が届き、女性が6月に窓口を訪れて指摘するまで、市はミスに気がつかなかった。

「加害者の弁護士」も制限

 総務省住民制度課によると、DVや児童虐待の被害者保護のため、全国の自治体が担う住民基本台帳の事務手続きでは、住民票や戸籍付票などを加害者に閲覧・交付させないことになっている。

 さらに18年の総務省通知では、請求者が加害者の代理人弁護士であった場合も同じ措置を取るよう求めている。

 同課の担当者は「たとえ裁判に関わる請求であっても、自治体は加害者側を介さず、民事訴訟法に基づく『調査嘱託』などの形で裁判所に直接情報提供をするのがあるべき姿だ」と強調する。

 名寄市によると、この通知内容が担当部署で十分に把握されておらず、当時は専用マニュアルも用意されていなかった。

 <記事後半の内容> ・全国の事例 ・なぜ誤交付は頻発するのか ・ミス発覚後の対応に差も <関連記事>

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自宅周辺に加害者が現れた事例も

 DV被害による閲覧制限対象者を巡る同様の情報漏えいは、全国各地の自治体で相次いでいる。

 香川県三木町では20年3月、DV被害女性の戸籍の付票を元夫の代理人弁護士に誤交付した。

 女性からミスを指摘されたにもかかわらず、約1年後にも同じ弁護士に対し、再び交付していたことが発覚。

 女性は住民票を移していなかったため、現住所は記載されていなかったが、元夫が女性の自宅周辺を訪れたという。

 24年10月には大阪府守口市が、加害者側の弁護士に住民票の写しを誤って郵送した。

 東京都目黒区でも被害者…

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