森保監督と堂安ら日本代表の「W杯優勝」宣言に疑問の声!スコットランド人記者を直撃(2)「世界の強い国が聞いたら変だと思う」欧州との「感覚の違い」(サッカー批評Web)
このスコットランド人記者に会見後に話を聞いてみると、日本人と、まったく違う感覚を持っていることがわかった。 「優勝するとか言わないほうが良いって、誰でも思うんじゃない? 世界の強い国が聞いたら変だと思う」と言う。 つまり一連の発言は、言ってみれば大言壮語であり、分不相応な目標は口にしないことが当たり前だ、と思っているというのだ。大きな夢を掲げたいという感覚はなさそうだ。 「だって、実現しなかったときに恥ずかしいでしょ? もしスコットランドがW杯優勝したいって言ったら、イングランドの人に笑われる。だから、思ったとしても言わない。それが普通じゃない?」 むしろ彼にとっては、言わないことのほうが当たり前、だというのだ。 「日本の場合、たとえばベスト8を目指すというなら理解ができる。一つ上のステップに行くというのは自然な目標だ。 でも、W杯優勝という目標は、以前、岡田監督時代にベスト4を目指すというような発言があったけど、あれよりはマシかもしれないね。ベスト4って、3位決定戦で負けて終わっても良いということだし、中途半端というか、よくわからないなと思っていた」 まあ、それもわからないではない。
筆者は昨年秋までドイツで10年以上暮らしたが、ドイツ人アスリートに話を聞いても大きな目標は口にしなかったことを思い出した。 あるオリンピック選手は「だいたい20位以内くらいが目標かな。自分の実力と立ち位置はわかるものだよ」と微妙な順位を堂々と言い、サッカーの下部リーグでプレーする選手たちも「自分は何部くらいの実力だと思うけど、仕事とプライベートの時間を取ることを考えたら何部かな」などと、割と身の丈にあったことを口にする。 4部でプレーしながらブンデスリーガ(1部)を目指すなどという選手には、日本人以外で会ったことがない。 かつての階級社会のなごりで、大きなステップアップは考えられないんだよ、などと説明してくる人もいたが、その真偽はさておき、日本人と大きく違うとは感じられた。 それはさておき、W杯の切符を手にした森保ジャパンは、サウジアラビアにスコアレスドローに終わった。 カタールW杯のコスタリカ戦以来の無得点ではあったが、切符のかかった試合ほどの緊張感を維持できないのは自然なことであろうとも思えた。 その試合後の会見で森保監督は「選手たちのワールドカップ優勝へ本気の思いを感じさせてもらった」と、あらためて口にしている。 森保監督の場合は、それは本音でもあるのは前提としても、あえて優勝と口にし続けることで言葉の力も借りて周囲をその気にさせ、結果に近づこうとする思惑というか、気概に近いものも感じられる。 そんななりふり構わない姿勢に、好感を抱く私もまた日本人らしいのだろうなと思っている。
了戒美子