維新本拠で全勝…自公、結束も惨敗

 27日に投開票された衆院選で、日本維新の会が大阪府内の全19小選挙区で議席を獲得した。維新は今回、公明党が議席を守ってきた4小選挙区にも候補を擁立。初の全面対決に維新が全勝し、本拠地で底力を見せた。

 前回選で議席ゼロだった自民党からは15人が出馬したが、党への強い逆風の中、いずれも維新候補に競り負けた。5人を立てた立憲民主党は、全国で躍進したのと対照的に、大阪では「維新VS政権与党」の構図に隠れて、議席獲得には至らなかった。 

梅村さん、公明牙城崩す

拳を突き上げて当選を喜ぶ梅村さん(前列中央)(27日午後11時34分、大阪市淀川区で)

5区  5候補の激戦を日本維新の会新人の梅村聡さん(49)が制し、初当選した。5選を目指した公明党前議員の国重徹さん(49)を破り、同党の牙城を崩した。

 当選が判明すると、大阪市淀川区のホテルに集まった支持者から歓声が起こった。梅村さんは「この勝利におごらず、『梅村を当選させて良かった』と思ってもらえるよう歩み続ける」と決意を述べた。

 5区は、維新が看板政策「大阪都構想」に公明の協力を得るため、擁立を見送ってきた選挙区の一つ。初の公明との対決に、参院議員からくら替えした梅村さんは、地元の課題に精通しているとアピール。自民支持層や無党派層の取り込みに力を注いだ。

 街頭演説でも、十三エリアを中心に進む再開発に触れて「府知事や大阪市長と連携し、北大阪の玄関口のまちづくりを推進する」と訴え、支持につなげた。

自民・宗清さん惜敗

落選が確実となり、支持者らに頭を下げる宗清さん(27日午後11時28分、大阪府東大阪市で)

13区  自民党前議員の宗清皇一さん(54)は、日本維新の会の前議員岩谷良平さん(44)との接戦に敗れた。

 落選の知らせを受けた宗清さんは、東大阪市内の事務所で支持者らを前に「逆風の中の選挙戦だった。皆様の期待に沿えず申し訳ない」と述べ、頭を下げた。

 前回選は岩谷さんに敗れて比例選で復活。今回、 捲土(けんど) 重来を期して選挙戦に臨むはずだった。だが、党派閥の政治資金不記載問題から、比例重複のない小選挙区単独の「背水の陣」を余儀なくされた。

 自民、公明の地方議員らの支援を受けつつ、個人演説会を各地で開催。中小企業への支援や安全保障政策の充実などを掲げ、「穏やかな暮らしを守る。絶対に負けるわけにはいかない」と訴えた。

 だが、不記載問題の逆風はやまず、終始、批判と政治改革の主張を繰り広げた岩谷さんに振り切られた。

公明・伊佐さん及ばず

支持者の手を握り、悔しさをにじませる伊佐さん(中央)(28日午前0時32分、大阪府守口市で)

6区  5選を目指した公明党前議員の伊佐進一さん(49)が、日本維新の会新人の西田薫さん(57)との戦いに敗れ、公明が守ってきた議席を明け渡した。

 伊佐さんの落選が報じられると、守口市の事務所に集まった支持者から落胆の声が漏れた。伊佐さんは疲れた表情で、「残念ながらこのような結果になった。ひとえに私自身の力が及ばなかったところだ」と述べた。

 維新との全面対決にあたって公明は、自民党と政策を検討する「大阪刷新会議」を設立するなど、自公の結束をアピール。石破首相らも伊佐さんの応援に駆けつけ、自民支持層の票固めを急いだ。

 伊佐さんはSNSで街頭演説の動画を発信し、若年層にPRする一方、厚生労働副大臣の経験をアピールし、高齢層への浸透を目指したが、幅広い支持を集めた西田さんに及ばなかった。

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