トランプ氏の軍事的野望の先頭に立つ米空母ジェラルド・フォード、最長展開記録を更新へ

カリブ海に展開中の米空母ジェラルド・R・フォードのフライトデッキを歩く海兵隊員=1月15日/Seaman Paige Brown/USS Gerald R. Ford/US Navy

(CNN) 米海軍の最大にして最強の空母、ジェラルド・R・フォードの艦内で、先月半ばに火災が発生した。

空母フォードは当時、約2週間前から始まった対イラン軍事作戦の一環として地中海東部に展開していた。洗濯室から火が出て、鎮火と片付け、再燃防止の処理に30時間かかり、乗組員約600人の寝台が損傷して使えなくなった。幸い重傷者は出なかったが、洗濯もできなくなった。

フォードは今週、ベトナム戦争以降で最も長期にわたる空母展開の記録を更新する。その乗組員たちを襲う試練は、今に始まったことではない。同艦は1月のマドゥロ・ベネズエラ大統領の拘束から対イラン攻撃の航空機射出まで、トランプ米大統領による介入主義外交の先頭に立ってきた。

フォード艦内で電磁式カタパルトを調べる水兵=2025年11月25日/Petty Officer 2nd Class Gladjimi Balisage/USS Gerald R. Ford/US Navy

トランプ氏は2024年大統領選で米国による過去の軍事介入を批判していたが、政権2期目の発足から1年のうちに軍事作戦は急増し、その中でフォードが中心的役割を果たしてきた。

昨年6月にバージニア州から出港し、まず計画通りに地中海からノルウェーへ向かったが、マドゥロ氏拘束作戦でカリブ海へ呼び戻された。その後、中東情勢の緊迫化を受けて支援に急行。途中、トイレ修理のため一時的に停止していた。

火災の2日後には艦載機の出撃再開が可能になり、修理のためギリシャへ向かった。さらにクロアチアへ移動し、トランプ氏がイランに予告した先週のインフラ攻撃に間に合うよう復帰した。

フォードのジェットエンジン工場内で模擬火災に対処する水兵=2025年11月6日/Seaman Spencer Staggs/USS Gerald R. Ford/US Navy

軍はこれまでに2回、同艦の派遣を正式に延長し、乗組員の家族らが心配を募らせている。

娘がフォードに乗務しているアミニ・オシアス氏は、CNNとのインタビューで「常に先が見えない状態だ」「夜もほとんど寝られない」と訴えた。

オシアス氏は今月、米軍戦闘機がイラン軍に撃墜されたことで、戦争の危険さを改めて痛感したという。「娘が空軍に入っていたら、あの日に撃ち落とされたかもしれない」

オシアス氏の娘は航空電気技師だという。十代の頃は海洋生物学に興味を持っていたが、世界最強レベルの艦船の乗組員となった。同氏はその過程を誇らしげに語る一方で、そもそも米国は今、軍事行動をとるべきなのだろうかと葛藤(かっとう)している。

「これは本当に私たちが戦うべきこと、子どもたちを送り出すべきことなのか」と、同氏は自問する。「親としての最終的な義務は、娘を守ることなのに」

約4500人の乗組員と数十機の戦術航空機を乗せたフォードの試練を見るにつけ、過去1年にわたる海軍アセットへの負担が将来にかけての軍務をどう位置付けることになるかという大局的な疑問が生じる。そこには、太平洋での米中戦争が含まれる可能性もある。

トイレの故障と洗濯室の火災はフォード特有の問題だが、長期派遣の空母は概してトラブルの種を抱えることが多い。部品が消耗するうえ、海上での修理は一時的な応急処置にすぎないからだ。航空機を着艦させるのに使う制動ケーブルがほつれ、船上システムに海水が浸入するなど、こまごまとした不具合が出始める。

ギリシャのソウダ海軍基地を出港する空母ジェラルド・R・フォード=2月26日/Giannis Angelakis/AP

海軍内部の議論に詳しい関係者らによれば、フォードのように出撃回数が多いと、事故の危険性はさらに高まる。

総工費130億ドル(約2兆円)をかけて建造された同艦は、米軍の原子力空母11隻の中で最も新しく、最先端の技術を搭載。海軍が持つ力の強さを、そして限界を示す象徴となっている。

海軍で26年間の経験を持つ元潜水艦士官のブレント・サドラー氏は「フォードがなければ、米軍は作戦上のプレゼンスを維持するだけでなく、敵に対して空母の優位性を保つことも難しかっただろう」との見方を示す。

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