日米互恵に打開探る…赤沢経済再生相「非関税障壁や農産品、為替の関心を具体的に確認したい」

 米国のトランプ政権による関税政策の見直しに向け、交渉担当として16日から訪米を予定する赤沢亮正経済再生相が13日、読売新聞の単独インタビューに応じた。日米両国の利益となる打開策を探り、最速での見直し合意を目指す決意を示した。

読売新聞の単独インタビューに答える赤沢経済再生相(13日、東京都港区で)=和田康司撮影

 石破首相は米国の関税措置に直面した事態を「国難」と言っている。全閣僚を対象とする総合対策本部を設け、私と林官房長官を共同議長とし、関係省庁からなる総合対策タスクフォース(作業部会)を作った。危機管理の鉄則である「早く大きく構えておく」ためで、相手に何を言われても直ちに対応できる体制とした。経済への影響が生じているので、関税措置を最速で見直してもらえることを目指す。

 訪米時の交渉では、米国側の関心がどこにあるのかを聞き出すことが重要だ。米側の交渉担当のベッセント財務長官やグリア通商代表部(USTR)代表に「信頼に足る交渉相手だ」と思われるようにしたい。

 関税措置について、「WTO(世界貿易機関)協定や日米貿易協定との整合性」の観点から、日本が深刻な懸念を有していることは伝えなければならない。非関税障壁や農産品の扱い、為替などを米側が関心事項に挙げていることは承知しているが、具体的に何のことを言っているのかを確認したい。

 アラスカの液化天然ガス(LNG)開発についても米側が提起してくれば話を聞く。日本はエネルギーの大輸入国なので、双方の利益になる進め方があるのかどうかを検討する。

 日本は自由貿易の大きな恩恵を受けている。自由貿易体制を主導した米国は寛大で、自国の弱い産業を関税で守ることをあまりしてこなかったが、相対的な経済力低下で、余裕がなくなってきている。自由貿易の名の下に台頭した中国を抑えなければならないという側面もある。米国の懸念にも耳を傾けたい。

 日本が他国と比べて優位なのは、最大の対米投資国で、長い対米貿易交渉の歴史を有する点だ。トランプ大統領との間では、安倍晋三元首相が築いた礎もある。米国の貿易赤字を減らす方策などを探り、日米間の貿易投資が促進される「ウィンウィン」の解決策を見いだしたい。そうした合意ができれば、世界経済に貢献するし、日本に続く各国の交渉にもプラスになるだろう。

 日本経済への影響はつかみきれておらず、企業も不安になっている。どういう産業に痛みが生じるのかを把握し、対策を講じないといけない。

 (聞き手・政治部 太田晶久)

あかざわ・りょうせい =東大法卒。旧運輸省(現・国土交通省)を経て、2005年衆院選で鳥取2区から初当選し、当選7回。内閣府副大臣や財務副大臣を歴任し、昨年10月発足の石破内閣で経済再生相として初入閣した。石破首相の側近として知られる。64歳。

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