コマツの建機も「水素で駆動」に!?? トヨタとコマツが組んで富士でショベルカー披露
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2025年5月30日、スーパー耐久富士24時間レースが開催されている富士スピードウェイにて、(株)コマツとトヨタが共同記者会見を実施。トヨタが供給する水素ユニットを使ったショベルカーの展示と、コマツのカーボンニュートラルへの取り組みが紹介された。建設機械の世界でも進む脱炭素社会への動き。道のりは険しいが、一歩ずつ前へ進んでいる。
文:ベストカーWeb編集部、写真:ベストカーWeb編集部、コマツ
【画像ギャラリー】コマツの建機が富士24時間レースに登場(4枚)2050年のカーボンニュートラル社会実現のためには、理論上、世の中でいま動いているすべての内燃機関がカーボンニュートラル車になっていなければならない。BEVでやるのか、FCVでやるのか、合成燃料でやるのか、登るルートは異なるかもしれないが、「エンジン」と名の付くものはすべて炭素(カーボン)を出さない仕組みへ切り替えることになる。
地面を掘り起こしたり、道路を整備したり、ビルを建てるのに使う建設機械も同じ。現在は主にディーゼルエンジン(軽油)で駆動し、油圧を使って重いものを持ち上げたり、運んだりしている。
こうした建機はガソリンスタンドで給油するわけにはいかず、活躍する現場(建設中のビルだったり整備中の道路だったり)にタンクローリーがやってきて、給油している。
コマツとトヨタが挑戦するのは、この「建機そのもののFCV(水素)化」と「水素を現場まで運ぶ仕組み」。
富士スピードウェイのイベント広場に置かれたコマツの中型ショベル。ちびっ子たちに大人気だった。かっけー!
記者会見に登壇したコマツの常務執行役員・草場泰介CTOは、「現状コマツの建機は地下(海抜0m以下)から地上4000mまで、地球上のあらゆる場所で駆動し、道路を整備し、家屋やビルを建てています。そうした過酷な現場で問題なく動く必要があり、さらにそうした過酷な現場まで燃料を運ぶ仕組みを作り上げる必要があって、そうした”現場”でカーボンニュートラルに取り組むのは、とてもチャレンジングでやりがいがあります」と語る。
コマツは2年前の2023年5月から中型油圧ショベルのコンセプトマシンを開発、実証実験を実施しており、今回この水素で動く油圧ショベルを富士スピードウェイへ持ち込んだ。日本国内には多くの建設機械が稼働しており、上述のとおり、2050年までに脱炭素社会を実現するためには(乗用車だけでなく)この建設機械もすべてカーボンニュートラル化する必要がある。
今回披露された中型油圧ショベルのコンセプトマシンはトヨタMIRAIの水素ユニットを使用しており、このシステムを商用車や建設機械に使うためにはまだまだ課題があるという。それでもトヨタとコマツは共同開発を進めることでお互いにノウハウを学び、たとえば水素スタックのサイズをスケーラブルにしていくことで、水素の利用シーンを広げていき、水素活用社会に役立てていくそう。
富士スピードウェイの会見場に登壇したコマツ・草場泰介CTO(写真右/古くから『ベストカー』を読んでくださっているそうです。あざす!!)と、写真左は当サイトではお馴染み、トヨタ・中嶋裕樹CTO
「わたしには夢があるんです。いま天然水素って話題になっているでしょう。オーストラリアで発掘が進んでいるグリーン水素です。これを日本で、コマツさんの建機を使って掘り当てたい。これがわたしの夢です」
上記のように語るのはトヨタの中嶋裕樹副社長。
「ありがとうございます。掘る機械はいっぱいありますからね(笑)」と応じたのは前述のコマツ・草場CTO。
エネルギー問題は重たい課題が多く、ついついしんどいわりに大変な話になりがちだが、技術には夢がある。明日のモビリティ社会のために、建機業界も巻き込んで、明るく元気に突き進んで、次世代へ繋げていきたい。