エネルギー安保の切り札、「ペロブスカイト太陽電池」が本格普及へ号砲 <株探トップ特集>
―積水化がついに事業開始、政府は「国産エネルギー源」に位置づけ市場拡大を後押し―
積水化学工業 <4204> [東証P]はペロブスカイト太陽電池「SOLAFIL(ソラフィル)」の販売を始めた。3月27日のリリースで事業開始を発表し、今後企業や自治体へ製品を提供していくという。2027年度までに100メガワット規模の生産ラインを立ち上げることを目指す。これまで同社が長年にわたり研究開発に取り組んできたことはよく知られており、今回他社に先駆けて本格的な事業化を果たしたことは一つの大きな出来事といえる。日本生まれの次世代技術「ペロブスカイト太陽電池」。その関連銘柄の動向を追った。
●主要な製品・技術に選定 足もと中東情勢を巡る混乱が続いている。米国とイランの電撃的な停戦合意で先行き不透明感が晴れるかに思われたが、その後の停戦協議が難航。最終的な和平への道筋はいまだ見えてこない。この状況を織り込み原油価格は高止まりし、日本をはじめとするアジア各国ではホルムズ海峡封鎖による供給懸念も強まっている。こうしたなか、代替エネルギーへの関心の高まりから天然ガスや石炭、そして再生可能エネルギーに注目する向きもあるようで、株式市場ではその一つ、ペロブスカイトが根強い人気を集めている。 もちろん、ペロブスカイトは国策テーマの側面で注目されている部分が大きい。新技術に前向きとされる高市早苗政権が昨年発足したことを受け、株式市場では宇宙開発や核融合発電、量子コンピューターといったテーマが人気化し、その一つとしてペロブスカイトにも投資家の熱い視線が注がれてきた。政府は先月開いた日本成長戦略会議で、戦略17分野のうち、優先的な支援が必要と考えられる61の主要な製品・技術を選定。この中にペロブスカイトも盛り込んだ。選定理由として「国産エネルギー源として経済安全保障・エネルギー安全保障の両面から自律性確保が重要」とし、ペロブスカイトの主原料であるヨウ素について「世界シェアの約3割を日本が占め、自律性・不可欠性に寄与」と指摘。初期需要の創出に取り組み、国内外の市場拡大につなげる考えを示した。政府は40年までに約20ギガワット(原発20基分相当)の導入を目指す目標を掲げている。●取り組み続々、カネカはタンデム型で国内初実証国策の後押しを背景に企業の動きは活発化している。カネカ <4118> [東証P]は3月18日、さいたま市と実証事業に関する連携協定を締結したと発表した。同市の本庁舎敷地内で、公共施設として国内初となるタンデム型ペロブスカイトの屋外実証実験を行うという。タンデム型とは従来のシリコン太陽電池と組み合わせて発電効率を高めたものだ。同月には三協立山 <5932> [東証P]が窓の内側に後付けで設置できる「ペロブスカイト太陽電池ユニット」を発表。アイシン <7259> [東証P]や国内建築設計会社と共同開発したという。
そのアイシンは昨年に相次ぎ実証実験を実施。同社はペロブスカイトの実用化に取り組む企業の一つとして知られる。奥村組 <1833> [東証P]とマクニカホールディングス <3132> [東証P]は共同で、遮水シートと一体化させたペロブスカイトの実証開始を昨年12月に発表。JR九州 <9142> [東証P]と日揮ホールディングス <1963> [東証P]は博多駅のホーム屋根での発電実証を昨年秋に始めている。
●関連銘柄さまざま、ヨウ素関連にも注目主な銘柄としては前述の企業群に加え、ガラス建材一体型ペロブスカイトの展開を目指すパナソニック ホールディングス <6752> [東証P]、独自のインクジェット技術を用いて開発に取り組むリコー <7752> [東証P]が中心的な存在。ペロブスカイトの耐久性を高める材料に絡んでコニカミノルタ <4902> [東証P]やキヤノン <7751> [東証P]、日産化学 <4021> [東証P]もマークしたい。中小型では太陽電池製造装置大手のエヌ・ピー・シー <6255> [東証G]、独自の精密貼合技術を強みにペロブスカイトを含む太陽電池分野にも展開するフジプレアム <4237> [東証S]に注目。今年設立したレーザー関連子会社で「ペロブスカイト太陽電池用レーザパターニング装置」を製造するNITTOKU <6145> [東証S]、ペロブスカイト向け封止材を手掛けるMORESCO <5018> [東証S]などもある。
ペロブスカイトの主原料である ヨウ素の関連銘柄も見逃せない。主なメーカーは足もと原油高騰を背景に注目されるINPEX <1605> [東証P]のほか、豊田通商 <8015> [東証P]、三菱ガス化学 <4182> [東証P]、日本触媒 <4114> [東証P]など大手になるが、投資家人気が高いのは以下の3銘柄だろう。
伊勢化学工業 <4107> [東証S]はAGC傘下のヨウ素生産大手。生産量シェアは国内で3割以上を占め、全世界で1割強に及ぶ。今年2月にペロブスカイト向け材料を手掛ける国内企業と基本合意書を結んだと発表。両社で協力してサプライチェーンの強化を図る方針を示した。業績面では堅調な国際市況を追い風に、25年12月期は8期連続の営業増益で過去最高を達成。その反動で今26年12月期は減益予想であるものの、増配トレンドは継続する見込みだ。
K&Oエナジーグループ <1663> [東証P]は国内有数の天然ガスの埋蔵量を誇る千葉県を地盤とするエネルギー会社だが、天然ガス開発に伴う副産物としてヨウ素の生産も行う。同社も25年12月期に営業最高益だった反動で今期は減益予想である一方、増配トレンドは継続する見通し。東ソー系の臭素化合物最大手マナック・ケミカル・パートナーズ <4360> [東証S]はグループ傘下でヨウ素関連製品の開発、製造、販売を手掛ける。26年3月期は3期ぶり営業黒字転換を見込む。
株探ニュース(minkabu PRESS)