エスカレーター「右側に立つだけの人」雇用 歩けなくする対策 名古屋市で劇的改善

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 エスカレーターを使う時、どう利用していますか?日本では急ぐ人のために、片側を空ける光景が見られますが、禁止する自治体では歩くのをやめさせるため、右側に立つだけの人をアルバイトで雇うところも出てきました。

■条例制定した埼玉県 駅では改善進まず

 1914年、日本で初めて三越呉服店(現:三越百貨店)に導入されたエスカレーター。当時の百貨店では草履や下駄は脱ぎ、土足でエスカレーターを利用することはなかったそうです。

 それから100年以上経ち、2019年までの15年間で事故の件数は倍増。23日には、消費者庁が注意喚起を行う事態となっています。

消費者庁ホームページ 「人を追い抜こうとした際に、足を踏み外して転落した」

 片側は立って乗る、もう片方は歩くというエスカレーターの習慣が定着したことで、接触や転倒トラブルが増加しています。

 埼玉県は4年前、全国に先駆けてエスカレーターで立ち止まることを義務付ける条例を制定。商業施設などでは、一定の改善がみられましたが…。

埼玉県 担当者 「駅だけは立ち止まって利用する人の割合が低いです」

 番組が18日に埼玉県の川口駅を訪れると、エスカレーターの片側には列ができていましたが、歩いて降りる人もいました。

 電車の出発時刻に合わせて急いでいる人が多いため、駅では改善が進まないといいます。

 埼玉県に続いて条例が制定された愛知県名古屋市では、力技で対策に乗り出しています。彼女たちは、エスカレーターの右側に立ち止まることを名古屋市から委託された「なごやか立ち止まり隊」です。

 右側に人を立たせ物理的に歩けなくすることで、利用者の意識を変えようとしています。

名古屋市 消費生活課 担当者 「毎月4、5日程度(去年)合計50日やっている」

 去年、市内にある19の駅で実施され、一日6時間エスカレーターの右側に立ち続けます。指示などを出す隊長1人と2人の隊員で構成され、隊長の日給は1万6000円。他の2人には6500円が支給されます。

 安全面だけでなく、輸送効率にもメリットがあります。

 長さ20メートルのエスカレーターを450人が利用したとします。全員が上り切るのにかかる時間を比べると、片側を空けた場合は8分21秒。両側で立ち止まると、1分以上早い7分9秒となりました。担当者は手応えを感じています。

「条例制定前は80%弱ぐらい歩く人がいたが、今は90%以上の方が止まっている。だいぶ止まる人が増えてきたとは思っています」

(「グッド!モーニング」2025年5月26日放送分より)

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