「米まずい」発言の中川幹太上越市長が兵庫県三田市を訪問し謝罪 田んぼ見学し三田米も試食
新潟県上越市の中川幹太市長が兵庫県三田市周辺の米について「まずい」などと発言した問題で、中川市長は2025年7月29日、三田市を訪問して田村克也市長や同市の農業関係者に直接謝罪した。中川市長は「私の不適切な発言で三田市民や農家の皆様にご心痛をおかけし、深くおわび申し上げる」と述べ、繰り返し頭を下げた。今回の訪問は公費を使った公務。上越市が厳しい渇水に見舞われる中で行われたことについて中川市長は「(対応に)不備が出るということはない」などと説明した。
三田市役所の1階ロビーで田村市長(右)に謝罪する中川市長大勢の報道陣詰めかける中、謝罪
午前9時半前に三田市役所を訪れた中川市長は、大勢の報道陣と共に1階ロビーで出迎えた田村三田市長に対し、「30年以上前のおぼろげな記憶によって、三田米の生産者の思いや日頃の苦労を踏みにじるような軽率な発言だったと深く反省している」と述べ、謝罪した。田村市長は「公式の場での謝罪をいただいた。中川市長には三田米を正しく理解していただきたい」と答えた。
大勢の報道陣が詰めかけた生産農家「気が悪いこと言わはるな」
その後、中川市長は田村市長の案内で同市上槻瀬のコシヒカリの水田を視察。説明した生産農家に対し、「皆さんに非常に不快な思いをさせて申し訳なかったと反省している」と直接謝罪した。説明をした、はつか農事組合法人の藤本和幸代表理事(65)は「発言については最初気が悪いこと言わはるなと思った。今後三田と上越がより良い関係で発展していけるようにやっていただけたら」と話した。
生産農家(左)に頭を下げる中川市長地元JA代表「強い怒りと憤り。信頼回復を」
中川市長はJA兵庫六甲や同市農業委員会などの農業団体の代表者5人とも面談。「本当に申し訳なかった」と頭を下げ、「三田米の評価の回復に向けて全力を挙げていきたい」と述べた。
三田市の農業団体の代表5人と面談し、謝罪する中川市長JA兵庫六甲の平尾勝春代表理事組合長は「発言はなんら根拠がなく、三田市の米農家を傷つける重大な過ちであったと強い怒りと憤りを感じている。三田米の信頼回復に真摯(しんし)に取り組んでほしい」と話した。
農業団体の代表との面談には生産農家も傍聴に訪れた三田米を試食した中川市長「もちもちしておいしい」
また中川市長は三田米も試食し「もちもちしておいしい」と完食した。
三田米の評価回復の取り組みの一つとして、8月と9月に東京で開催する上越市のPRイベントで、三田米や黒大豆枝豆などの三田市の農産物などをPRすることを提案し、田村市長も承諾した。
三田米を試食する中川市長(右)田村三田市長「謝罪を一旦受け入れる」
田村市長は7月10日の記者会見で、中川市長の謝罪について「受け入れることはできない」としていた。今回の訪問で田村市長は「農業者の代表の方々にも謝罪をしていただき、一旦は謝罪を受け入れるという気持ちだ。提案いただいたイベントは行けるものは私も参加したい。(中川市長の)三田米についての理解は深まったと認識している」と述べた。
最後に握手をする田村三田市長(左)と中川市長中川市長「三田米の評価回復に努める」
半日をかけ三田市の関係者への謝罪を終えた中川市長は報道陣の取材に対し、「今後も三田米の評価回復に努めていかなければならない。私の発言については改めて、不適切で不見識な発言で、おわびを繰り返すしかない。本当に申し訳ございませんでした」と述べた。
三田市関係者への直接の謝罪を終え取材に答える中川市長渇水対策より三田市への謝罪を優先?
上越市で渇水による断水が想定される中での訪問で、報道陣からは「地元対応より三田市の来訪を優先したのか」との質問が出た。中川市長は「渇水対策については随時連絡を受け、指示もしているので、不備が出るということは考えていない」と述べた。
謝罪訪問の費用は公費 課長2人が随行
今回の中川市長の謝罪訪問は、公務として行われ、課長級職員2人が随行した。旅費は公費だ。中川市長は「私費で来たいと思ったが、公選法の寄付行為に当たる可能性が高いということだった。市民に対し申し訳ない」と述べた。