各社AIを詰め込んだ縦折りスマホRazr。質感、すっごくいいです

Image: Raymond Wong - Gizmodo US

いろんなAIの合せ技スタイル。

Motorolaが、新Razrシリーズの3つのモデルを発表しました。結果はっきりしてきたことが、ふたつあります。ひとつは、Motorolaがフリップ式折りたたみスマホという形態を信じていること。もうひとつは、スマホにAIをより深く組み入れるほど、ユーザーは画面をつつく苦しみから救われると彼らが考えていることです。

新Razrの3モデルは、Razr、Razr+、Razr Ultraという構成で、それぞれグッド・ベター・ベストと言えます。Motorolaいわく、Razr Ultraは最強のフリップ式スマホで、カメラも最高です。その通りかどうかはもっと深くレビューしていきたいところですが、スペックに関してはたしかに、チップセットもQualcomm Snapdragon 8 Eliteだし、彼らの主張を裏付けています。

Razr Ultraのアルカンターラ素材バージョン

3つのRazrはどれも似てますが、違いもあります。まずRazr Ultraはプレミアムモデルらしく、内部のメイン画面が3つの中では一番大きく7インチで、左側面にはMoto AIボタンを搭載、筐体の仕上げもイタリア製のスエード調素材アルカンターラを使ったものや、サテン、レザー、ウッドといった素材感を表現したものになっています。カメラはメイン・超広角・セルフィーがすべて5000万画素、バッテリーは4,700mAh、充電速度は有線で68W・無線で30W、5Wのリバースワイヤレス充電機能もあり、と豪華スペックになっています。

Razr+はRazr Ultraとほぼそっくりなんですが、メイン画面が6.9インチと若干小さく、AI用物理ボタンもなし、バッテリーが4,000mAh、充電速度もやや遅く(有線で45W、無線で15W)、セルフィーカメラの解像度が3200万画素とやや下がります。チップセットもSnapdragon 8s Gen 3と、若干マイルドに。

無印Razrの外部ディスプレイは3.6インチ、ベゼルもしっかりめ

プレーンなRazrは外部ディスプレイが3.6インチと小さくなり(上位モデルと違ってベゼルに「おでこ」あり)、カメラの解像度も低く(超広角が1300万画素、セルフィーが3200万画素)、チップセットもミッドレンジな MediaTek Dimensity 7400Xです。でもバッテリーはRazr+より大きく、4,500mAhあります。

3つのモデルに短時間ながらハンズオンした感じでは、どれもしっかりできていて、物理的なクオリティの差はほぼ素材とか仕上げといった、外面だけでした。Razr Ultraのアルカンターラ素材はラグジュアリーですごく良いですが、アルミとプラスチックのRazrも全然安っぽくはありません。

ウッド調のRazr Ultra

新Razrには、QOLを高めるようなアップグレードがいくつかあります。ヒンジの素材がチタンになり、Motorolaいわく先代より4倍頑丈で、「従来より最大35%多くの折りたたみに耐える」そうです。

また内部画面にできる折り目は従来より「30%見えにくくなった」(数字の根拠はよくわかりませんが、たしかに前より目立たない)とのこと。Razr Ultraに関しては、外部ディスプレイがCorningのGorilla Glass Ceramicになり3モデルの中で一番耐久性が高いです。

各社AIを取りそろえ

スペックだけでも十分魅力的(とくにRazr Ultraは)ですが、新Razrの真の魅力はMoto AIにあります。Motorolaは(Appleとかみたいに)独自のAIを開発するのではなく、AI開発各社とパートナーシップを組み、彼らの大規模言語モデルや推論能力をさまざまなタスクに活用しています。

新RazrのAndroid 15の上には、Google検索を追い落とす勢いのPerplexity AIが深く組み込まれています。Google GeminiやMetaのLlama、MicrosoftのCopilotもMoto AIの異なる面をそれぞれ支えていて、タスクの提案(ユーザーに代わってUberを呼んだり、メールの下書きしたり)や要約、記憶想起(メモやスクリーンショットからの情報抽出)などなどといったAI機能を提供しています。

逆に、Razrに入ってない主要AIはOpenAIのChatGPT(入ってないのには理由があるでしょうね)と、AnthropicのClaudeくらいです。

カメラの「Signature Style」という機能にも、Moto AIが入ってます。AIでトーンや色を自動調整し、ユーザーの編集作業から学習もします。っていうとなんだか良さげなんですが、これだと結局AIが自分化していって、自動調整してもパッとしないことになるかも?と心配です。AIでは「自分がいつもするような編集」の再現を突き詰めたいわけじゃなくて、AI流と自己流をミックスできるのがいいんじゃないでしょうか。

あらゆるスマホメーカーが、より便利でより効率の良いAI機能を謳っています。スマホに深く入り込んだAIが、今まで以上に人間のニーズに先回りしてくれるようになり、日々の数百回のタップが不要になっていきます。今までSiriやAlexaやGoogleアシスタントが誓っては満たされずにいた「インテリジェント」な未来が、ついに実現されます。

…というのが、Motorola含め各社の売り文句です。新RazrのAIはより良く便利になっていますが、もちろん人間が何もせずに済むほど有能でもないでしょう。そもそもそんな未来がやってくるのかどうかもわかりませんし、AIのハルシネーションなど、課題はまだまだ残っています。

新Razrの3つのモデルは5月7日にプレオーダー開始、5月15日発売です。価格はRazrが699.99ドル(約10万円)、Razr+が999.99ドル(約14万4000円)、Razr Ultraが1299.99ドル(約18万7000円)となっています。

Image: Raymond Wong - Gizmodo US

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