イラン、UAEの主要石油積み出し港とドバイ国際空港近くを攻撃
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アラブ首長国連邦(UAE)最大の湾と石油貯蔵施設がある東部フジャイラと、ドバイ国際空港が16日、イランの新たなドローン攻撃を受けた。アメリカとイスラエルによる攻撃を受けるイランは、その報復として湾岸諸国の輸送・石油インフラを標的とした攻撃を続けている。
ドバイ国際空港の近くではこの日、「ドローン関連の事案」により火災が発生し、航空便の運航が一時停止された。
また、フジャイラにある戦略的に重要な港と工業地帯もドローン攻撃を受け、火災が発生した。フジャイラには中東最大級の石油貯蔵施設がある。
UAEの首都アブダビ郊外では、自動車1台がロケット攻撃を受け、パレスチナ人1人が死亡したと、アブダビの広報当局が発表した。攻撃はアル・バヒア地区であったという。
UAE国防省は16日、UAEの防空システムが弾道ミサイル6発とドローン21機を迎撃したと発表した。米・イスラエルとイランとの戦争が始まって以来、イランはUAEに向けて1900発以上のミサイルとドローンを発射している。
ドバイ国際空港近くで16日のドローン攻撃のような事態が起きるのは、開戦以来3例目。同空港は世界最多の国際線旅客数を誇る。
航空便は一部遅延や欠航が発生し、UAEの安全性と安定性のイメージにさらなる打撃を与えた。
UAEのエネルギー部門も攻撃にさらされている。14日には石油貯蔵タンカーがドローンの攻撃を受けた。16日には、ドローン攻撃を受けた石油施設で火災が起きた。
被害状況の確認が進められる間、港での石油の積み込み作業は一時中断された。
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UAEの東部沿岸に位置するフジャイラは、ペルシャ湾ではなくオマーン湾に面している。そのため、船舶はホルムズ海峡を通過せずにUAEに到達できる。
ホルムズ海峡がイランによって封鎖された場合、フジャイラの港は「世界の供給を維持するうえで」「極めて重要な」役割を果たすことになると、「CEO Middle East」誌のジャスティン・ハーパー編集長はBBCに語った。ハーパー氏はドバイを拠点とし、ドバイの石油業界幹部らと定期的に意見交換をしている。
「イランとの緊張でこの要衝が混乱しても、UAEはアブダビの油田からパイプラインを通じてフジャイラ経由で石油を輸出できる」と、同氏は指摘した。
商品データ提供会社ケプラーのマット・スタンリー氏によると、港湾都市フジャイラは「ホルムズ海峡を回避するうえで理想的な立地にある」という。
ドバイを拠点とする石油アナリストであるスタンリー氏は、「UAEの国営石油会社アドノックは(フジャイラに)複数の石油タンカーを保有している。そこにはアジアの買い手が求める原油がある」と述べた。
フジャイラで貯蔵タンカーや石油施設が攻撃されたことは、「湾岸諸国のインフラの脆弱(ぜいじゃく)性を示している」とも、スタンリー氏はBBCに語った。
同氏は、この港湾都市はインドに近く、「中東からシンガポールや中国へ向かう際の、最初の寄港地」だと指摘した。
「フジャイラは、かつての海のシルクロードに位置する。海上で25~30日間過ごしてきたコンテナ船に対するバンカリング事業、つまり燃料や食料、水の供給を多く担ってきた」
フジャイラは船舶にとって「巨大な自動販売機」のような存在だとも、スタンリー氏は付け加えた。
ハーパー氏によると、ドバイが攻撃を受けているものの、現地のビジネス界は強靭(きょうじん)だ。レストランは客を呼び戻すための割引キャンペーンを展開し、「商業施設も相変わらずにぎわっているようだ」と同氏は指摘。人々は「ドバイと、その低迷期を乗りきる能力を過小評価している」と付け加えた。
UAEのラナ・ヌセイベ国務相は先週、BBCのインタビューで、同国は紛争から「立ち直る」とし、同国の経済は「強靭だ」と強調していた。