花開く「ガーデニング」関連株、27年の国際園芸博で出番到来 <株探トップ特集>

27年の「国際園芸博覧会」開催に向けて、徐々に注目が集まり始めている。今後、機運が盛り上がるなか、ガーデニングをはじめ関連銘柄への関心も高まりをみせることになりそうだ。
―大阪・関西万博からバトンタッチ、花と緑をシンボルに舞台は横浜―  大阪・関西万博が盛況のうちに終了したが、次は横浜を舞台に繰り広げられる2027年3月開幕予定の「国際園芸博覧会(GREEN×EXPO)」へと関心が向かうことになりそうだ。同博覧会は、横浜市の北西部(旭区・瀬谷区)に位置する「旧上瀬谷(かみせや)通信施設」を会場とし、花と緑をシンボルに約半年間にわたり開催される。有料来場者数は1000万人以上を想定する国際的ビッグイベントだ。認知度については、正直なところいま一つだが、開催に向けての機運が醸成されるなか、次第に盛り上がりをみせてくることになりそうだ。焦点は関西から関東へ。経済波及効果も期待されるなか、関連銘柄のいまを探った。 ●最高クラス「A1」の博覧会  27年開催の「国際園芸博覧会」に向けて注目が集まり始めている。国際園芸家協会(AIPH)の承認に加え、博覧会国際事務局(BIE)の認定を受け開催され、A1、B、C、Dの4つの区分のなか、最高クラス「A1」の博覧会。経済波及効果は、開催に伴う新規需要も含めて7310億円に上るとも試算されている。会場となる旧上瀬谷通信施設は、米軍に提供されていたが15年に返還。面積約242ヘクタールに及ぶ平坦な土地で、郊外部の活性化拠点としても極めて期待が大きい地域だ。今月2日には、高市早苗首相が日本政府出展起工式に出席し、「政府一丸となって準備や機運醸成を進めていく」とし、開催へ向けての意気込みを語っている。

 日本におけるA1の国際園芸博では、1990年に大阪で開催されたアジア初の「国際花と緑の博覧会(花の万博)」以来の開催となる。国際的な園芸・造園の振興を目指す博覧会となるが、開催に向けた機運が醸成されるなか、株式市場でも今後、ガーデニング(園芸)や農業をはじめ幅広いセクターに関心が集まる可能性がある。

●相鉄HDなどにも恩恵

 また、1000万人以上の来場者を目指すことから、観光をはじめ博覧会開催で恩恵を受けるさまざまな関連株の動向にも視線が向かうことになりそうだ。例えば、会場へのアクセス面では「周辺の鉄道駅からのシャトルバス」を基幹手段とするが、会場周辺の南側に相鉄ホールディングス <9003> [東証P]の相模鉄道本線、北側には東急 <9005> [東証P]の東急田園都市線、JR東日本 <9020> [東証P]のJR横浜線など複数の鉄道駅が利用可能であり、各社の収益に貢献しそうだ。

 2020年に始まった新型コロナウイルスの感染拡大は、外出抑制、テレワークの推進などから「巣ごもり関連」に投資家の視線を向かわせた。このなか、家庭での滞在時間が増えたことでガーデニングへの需要を喚起し、種苗や農薬、肥料などを扱う企業に巣ごもり関連株の一角としてスポットライトが当たった。また、ガーデニングに絡む多くの商品を扱うジョイフル本田 <3191> [東証P]、コーナン商事 <7516> [東証P]、コメリ <8218> [東証P]をはじめとするホームセンターにも物色の矛先が向かったことは記憶に新しい。国際園芸博の機運醸成とともに、こうした銘柄にも再び熱い視線が向けられることが予想される。

●サカタタネは国際園芸博に出展

 種苗大手のサカタのタネ <1377> [東証P]は、26年5月期連結営業利益で前期比10.3%減の110億円を計画するが、10月7日に発表した第1四半期(6~8月)の同利益は前年同期比63.5%増の44億6200万円で着地し好スタートを切っている。野菜種子の売り上げが大きく伸長した国内卸売事業と海外卸売事業が業績を押し上げた。同社は昨年10月、国際園芸博の花・緑出展に応募し屋外及び屋内出展の参加者に内定したことを発表している点も見逃せない。株価は、10月8日に4155円まで買われ年初来高値を更新。その後調整を入れたものの切り返し、現在は4000円手前でもみ合う展開だが、上向きの25日移動平均線をサポートラインに年初来高値奪回をにらむ。

 カネコ種苗 <1376> [東証S]は野菜・花きなど種苗の生産販売を手掛ける。種苗事業はタマネギ種子の国内販売や飼料作物種子の販売が伸長。農材事業では茎葉処理除草剤の販売が伸長し、温暖化により水稲の品質や収量に影響を及ぼす害虫が大量発生したことで殺虫剤需要も増加している。10月3日に発表した26年5月期第1四半期(6~8月)の連結営業利益は前年同期比3倍となる3億8700万円で着地した。通期の営業利益は前期比25.7%増の19億円を計画している。株価は9月中旬から急速に上げ足を速め10月16日には1859円まで買われ年初来高値を更新。その後は軟調展開を強いられるものの現在は1600円台後半で頑強展開となっている。今期からスタートした新中期経営計画では、3年間の売上高年平均成長率3%以上を目標に収益性の向上を図る方針だ。

●石原産、北興化に活躍期待

 石原産業 <4028> [東証P]は酸化チタン大手だが、さまざまなニーズに応えた除草剤をはじめ、植物成長調整剤や殺虫剤なども手掛けている。国際園芸博では、同社も花・緑出展で屋内出展の内定企業に名を連ねており関連株の一角として注目が怠れない。今月6日の取引時間中に、26年3月期通期の連結業績予想を上方修正。営業利益見通しは従来の150億円から160億円(前期比52.6%増)に引き上げた。有機化学事業の農薬が、引き続き海外を中心にして好調な販売を見込む。株価は上げ足を急速に強め高値圏を舞う展開にあり、ここからの動向に注目が集まっている。

 農薬大手の北興化学工業 <4992> [東証S]も数多くの園芸用殺菌剤や除草剤を手掛けており、関連株の一角として今後関心が向かいそうだ。農薬事業は、米価上昇やカメムシの発生予察情報による防除意欲の高まりなどで、国内販売については水稲剤、園芸剤(特に除草剤ザクサ液剤)ともに好調に推移している。10月10日に発表した25年11月期第3四半期累計(24年12月~25年8月)の連結営業利益は、前年同期比8.5%増の48億4600万円となり、通期計画の47億5000万円(前期比4.6%増)を既に超過している点は見逃せない。株価は上昇一服も1600円近辺では底堅い展開。9月29日につけた年初来高値1755円払拭からの一段高に期待も。

●コメリ、積水樹にも注目  ホームセンターではコメリに目を配っておきたい。同社の26年3月期連結営業利益は、前期比4.9%増の235億円を予想するが、10月28日に発表した上期営業利益は前年同期比3.7%増の153億5900万円となり、通期計画に対する進捗率は65%に達している。平均気温が高く冷房用品や遮光用品の販売が好調だったほか、6月1日からの熱中症対策の義務化に伴い、ファン付きウェアなどの拡販を行ったことで熱中症対策関連商品の売り上げが堅調に推移した。株価は10月14日につけた直近安値3040円を底に、じわり上値指向となっている。

 積水樹脂 <4212> [東証P]は道路資材大手だが、アグリ関連事業では農業・園芸関連資材も展開。アグリ関連製品は、農業資材の需要が回復基調に転じつつあり、獣害対策製品も堅調に推移している。フルーツなどの栽培に役立つパーゴラや、家庭菜園への犬猫の侵入防止に役立つ製品など、必要な資材が一度に揃うセット製品なども手掛け、幅広いニーズに対応する製品を提供している。また、同社は農作物を野生動物の食害から保護し、人里との住み分けに役立つ電気柵などを手掛けており、獣害が喫緊の社会的課題になるなか存在感を増しそうだ。

 そのほかでは、九州を地盤に関西・関東にも進出するホームセンターのナフコ <2790> [東証S]、花き・野菜苗生産販売を中心としたアグリビジネスを展開し家庭園芸向けも注力するベルグアース <1383> [東証S]や、観葉植物のレンタル大手のユニバーサル園芸社 <6061> [東証S]にも注目。流動性が乏しい銘柄もありこの点には注意が必要だが、国際園芸博の開催でガーデニング需要が喚起されることが予想され思惑も高まるなか目を配っておきたい。

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