米国債カーブ、FRB理事にミラン氏でスティープ化も-JPモルガン
米連邦準備制度理事会(FRB)にトランプ米大統領が指名したミラン大統領経済諮問委員会(CEA)委員長が理事として加われば、米国債イールドカーブはさらにスティープ化する公算が大きい。JPモルガン・チェースのストラテジストが指摘した。
米国債5年物と30年物の利回り格差(スプレッド)は、ミラン氏指名を受けて、7日に拡大した。指名には今後、上院の承認が必要。
これに先立ち、パウエルFRB議長の後任として、ウォラー理事が有力視されているとの報道も出ていた。
ジェイ・バリー氏らJPモルガンのストラテジストは7日遅くに発表したリポートで「ミラン氏は一貫して、トランプ政権の貿易、移民、規制緩和政策はいずれもディスインフレ要因だと主張してきた。こうした見解がFRBのハト派的スタンスを後押しするならば、7日午後に見られたイールドカーブのスティープ化を後押しすることになるだろう」と分析した。
米30年債利回りは8日、4.82%で横ばい。
現在、5年債と30年債の利回り差は100ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)強と4年ぶりの大きさで推移しており、トランプ氏の大統領就任時と比べて2倍以上になっている。4月に発表された「解放の日」関税による不透明感や、先月成立した大規模歳出法案に伴う財政支出増加を背景に、投資家が追加のリスクプレミアムを要求していることを反映している。
ミラン氏は昨年3月に発表された論文の共著者で、その中で、より良い政策成果を上げるためのFRB改革を提唱していた。
ダンスケ銀行のチーフストラテジスト、フレデリック・ロムダール氏はミラン氏指名について「不確実性を多少高める要因にはなる」が、イールドカーブ全体に大きな影響を与える決定打とはならないとの見方を示した。同氏はリポートで、財政赤字や国債発行戦略、短期的なFRB政策見通しなどの方がはるかに重要な要因になると指摘した。
先週発表された弱い雇用統計を受けて、短期金融市場ではFRBの利下げ観測が一段と強まった。スワップ市場では、9月の0.25ポイント利下げの確率が現在95%に達しており、年内にもう1回の追加利下げが織り込まれている。
JPモルガンのエコノミスト、マイケル・フェローリ氏は、ミラン氏の指名を受けて次回の0.25ポイント利下げ時期の予想を9月に前倒しした。その後3回の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合で連続して利下げが実施されるとの見通しも維持している。
原題:JPMorgan Says Treasury Curve Can Steepen on Miran Fed Pick(抜粋)