「立憲・公明」が本気で倒したいのは「自民党」ではなく「高市総理」 内閣を退陣に追い込んで目論む「政権交代」の意外すぎる構図とは

土居丈朗さんが推薦中

 野党第一党が参画する新党設立は、しばしば行われてきた。近年では希望の党、民進党、遡れば新進党などの例があった。刷新性を狙ったものとして「衆院選前の風物詩」「年中行事」と揶揄されることもある。  ただ、今回の新党は明らかに趣が違った。少なくとも総花的な新鮮さといった、キラキラ感をアピールしているとは思えない。中道は戦後政治史によく登場する用語であり、古めかしい感さえある。顔となる党首も、立憲、公明のそれぞれの代表である野田佳彦、斉藤鉄夫両氏が共同で就くという。そのまま移行するだけである。  しかし、実は、こうした事象こそが、今回の新党設立劇の本質を端的に表している。それは、この中道改革連合が、老舗政党である公明が長年にわたり築いてきた強固な組織票の動員により、高市政権に一矢報いる舞台装置としての役割を企図したものだということだ。  小選挙区においては一部を除き、これまで公明票は、連立政権を組んでいた自民の候補に投じられていた。今度は中道改革連合に移籍した旧立憲候補に上乗せし、自民と日本維新の会の与党候補を倒そうというのだ。

 公明票は1小選挙区当たり1〜2万票程度とも言われる。仮に、そっくり旧立憲候補に積むと、単純計算上は、相当の小選挙区で自民候補を逆転する。  多くの公明支持者にとって、これまで、小選挙区では自民が投票先であり、立憲系は落選させるべき敵であった。今回、公明は支持者に対し、これまでの敵に対する投票と、支援活動を求めることになる。  この正反対の行動をできるだけ円滑に行う手段が、公明と立憲が同じ党に同居するという力業なのだ。であれば、表面的なイメージ戦略は二の次である。不気味さすら漂う昭和的ネーミングや地味な印象は、逆に、集票マシンとしての機能性の高さへの自信だとも受け取れる。  野党第一党にポジショニングする新党が、中道といったイデオロギーの呼称を名前に掲げるのも、近年では異例だ。広範な支持を得て政権奪取を狙うには、左右の間における政治的立ち位置を自ら鮮明にするのは、通常は得策ではない。  この点からも、ふわっとした民意を掬い取る空中戦ではなく、地道な組織力による集票活動を主軸に置いていることがうかがえる。


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 公明は昨年10月の高市氏の総裁就任に伴い、四半世紀にわたる自民との連立政権に終止符を打ち、野党に転じた。連立解消は驚きを持って受け止められた。理由は、自民による政治資金問題への対応の不満などであった。  高市氏は、社会における多様性への考え方や対中政策などで保守色を持つ。これに対し、公明は文字通り中道を標榜し、相対的にリベラル色を帯びる。両者に距離があったのは広く自明であった。  自民党内では以前から、保守系を中心に、こうした政策面の乖離による公明との連立解消論が根強くあった。公明としても、下駄の雪などと呼ばれてまで連立に残留することは、沽券にかかわることだ。  公明にとっては、こうしたすれ違いが、自民との長年の選挙協力をご破算にし、政権に対峙する新党戦略を推進した背景の一つとなった。キーワードは右傾化である。

 野田、斉藤両氏が新党結成で合意した1月15日の立公党首会談の後、野田氏は記者会見で「高市政権ができて、どちらかというと右に傾いていく路線が多く、勇ましい言葉の下でいろんな動きがあり、公明党が連立を解消した」と言及。斉藤氏は「日本政治の右傾化がみられる中で、中道の勢力を結集することが重要である」と言明した。  新党構想はこのように、当初から「右傾化に対抗する中道」という構図が鮮明であった。これは、互いに袂を分かった、高市政権と公明との関係性そのままと言える。複数の関係者によれば、比例代表での統一名簿を飛び越した新党の立ち上げは、公明側の強い熱意があったという。  半面、斉藤氏は自民党自体を正面から非難するトーンは控えている。「自民党と全面対決する政党をつくるつもりはない。自民党の中にも中道改革に賛同してくださる方がたくさんいる。そういう方々と新しい日本の政治をつくる」「30年前に二大政党制を目指し、自民党に対抗するもう一つの政党であった新進党を目指すものではない」「中道改革連合はある意味で(引退表明した)菅義偉元首相の思いもつなぐ政党であるという思いを持って衆院選を戦う」  これらは新党方針の表明以降の記者会見における斉藤氏の発言だ。決戦を目前にして、野党第一党が対峙すべき政権党との連携に含みを持たせるのは異例である。  一連のことから察することができるのは、中道改革連合の対決相手は、自民党そのものではなく、高市政権であるということだ。見方を変えると、自民党内に敵と味方を設定し、亀裂を生じさせる「心理戦」を仕掛けているとも受け取れる。

デイリー新潮
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