国旗損壊処罰法が侮辱を誘発する皮肉 思い返す上皇さまのお言葉

日章旗=東京都文京区で2026年4月7日、武市公孝撮影

 高市早苗首相肝いりの「国旗損壊処罰法」が成立しました。国会での法案審議を取材してきた田中裕之記者は、日本国旗の損壊行為に刑罰を科す法律が、かえって国旗をおとしめる行為を誘発することを懸念します。なぜでしょうか。

憲法、刑法の専門家は反対を表明

田中裕之(政治部)

 国旗損壊処罰法が成立した最大の契機は昨年10月、高市氏が総裁に就任したばかりの自民党と日本維新の会が交わした、連立政権合意書に制定が明記されたことだった。

 私はそれ以降、この法律は「不要」との立場で毎日新聞に記事を書いたり、出演したYouTube番組「選挙ドットコムちゃんねる」(チャンネル登録者数40万人)などで発言したりしてきた。

 法律は、国旗として用いられていると「社会通念上、認められる有体物」を「人に著しく不快または嫌悪の情を催させるような方法」で「公然と損壊、除去、汚損」する行為を処罰する内容だ。

 違反すれば、2年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金が科される。

 憲法、刑法学者といった専門家はこぞって反対を表明した。

 憲法が保障する「表現の自由」の侵害につながりかねない▽処罰の基準が曖昧で、犯罪となる行為は事前に法律で明示しておかなければならないという「罪刑法定主義」に反する▽法制定の根拠となる「立法事実」に乏しい――などの指摘だ。

刑罰頼みが招く息苦しい社会

 もちろん、損壊する行為を擁護しているわけではない。国家が特定の不快感や嫌悪感に対し安易に刑罰で対処していけば息苦しい社会になりかねないからだ。

 しかし、法律の問題点をいくら記事や番組で紹介しても、それが多くの人に浸透していないのが実感としてあった。

 「米国旗も中国旗も(損壊したら)罰則がつくのに、自国の国旗だけ罰則がつかないのはおかしいだろ」「表現の自由を盾にすれば何をしてもいいの?」

 私が番組で慎重意見を述べるたびに、YouTubeのコメント欄は逆に賛成の声であふれた。

 世論調査でも賛成派が多数を占めた。

 毎日新聞の4月の調査で、法律の創設について「罰則付きで禁じるのがよい」が40%で最多となり、「罰則なしで禁じるのがよい」は21%、「禁じる必要はない」は19%だった。

 7月の法成立後の朝日新聞の調査も、法律に「賛成」が65%で「反対」の24%を上回った。

 このような世論をどう読み解けばいいのだろうか。

 自民、維新などが…

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