イラン人女優「国民を長年殺害した体制の打倒、他にない」米攻撃に複雑 聞き手は疑問視も

イラン南部ホルムズガン州の学校周辺で救出活動をする人たち=2月28日(West Asia News Agency提供、ロイター=共同)

米・イスラエルのイラン攻撃を巡り、インドメディア「インディア・トゥデイ」は10日配信の動画で、イラン出身の映画女優へのインタビューを報じた。女優のエルナーズ・ノルージさんは、イラン国民について「ついに政権が倒れると希望を抱いている」と語った。インタビュアーが疑問視する場面もあったが、ノルージさんは「誰も戦争を望んでいない。長年、自国民を殺害したこの体制を打倒する手立ては他にない」と語った。

インタビュアー「ちょっと待って」

イランは1979年のイスラム革命でパーレビ王朝が倒れて以降、シーア派の聖職者が統治する体制となっている。昨年12月、経済苦を契機に反政府デモが発生。当局は自由な社会を求める人々らを武力で鎮圧した。

ノルージさんは、革命後の47年間について「体制が人々に牙をむき、人々は体制を打倒する力を持たなかった」と振り返った。今回、多くのイラン人が自国が空爆される様子を撮影しているという。「彼らは非常に興奮している。それが(イランの精鋭部隊)『革命防衛隊』を標的としているからだ。この政権がついに倒れるという大きな希望を抱いている」と語った。

インタビュアーの男性は「ちょっと待って」と述べ、160人以上の女子児童ら多数が死亡したイラン南部の小学校への攻撃を挙げ、「米軍が関与した十分な証拠がある。ますます多くの民間人が犠牲になる。どんな犠牲を払ってでも政権を倒したいのか」と疑問視した。

ノルージさんは、犠牲者が増える恐れについて「もちろん、イランの誰もが心配している。自分の国がこのような状況に至らざるを得なかったことを皆が悲しんでいる」と語った。

「世界の人々は注意を払わなかった」

その上で、「160人の女子児童の犠牲は世界が注目している問題だ。しかし…」と続け、昨年末からの反政府デモに対する海外の反応を取り上げた。

デモを巡っては、イラン当局の鎮圧により数千人の犠牲者が出たと報じられているが、当時、当局は通信手段をほぼ遮断しており、正確な人数は不明だ。ノルージさんは「ネットが遮断され、世界中の人々はこの件を語らず、誰も注意を払わなかった」と主張した。

さらに「われわれイラン人は今後多くの犠牲者がでることを分かっているが、同時に(イラン政府の弾圧で)犠牲者が毎日出ていることも知っている。平時の方が戦時よりも多くの犠牲者が出ている」と指摘。

「人々は私が戦争を望んでいると思うだろう。私もイラン国民も戦争を望んでいない。しかし、長年、自国民を殺害してきたこの体制を打倒する手立ては、他にない」と語った。

ソーシャルメディアで広がるデモの様子を伝える画像=1月10日、イラン・テヘラン(AP=共同)

「イラン国民は体制を決定している」

インタビュアーは、ノルージさんの意見を「少数ではないか」と疑問視したが、「公然の事実だ。(ネットで)調べれば誰でも確認できる。政府支持者の数は国民の20%以下だ。しかも体制の恩恵を受け、莫大な富を得ている」と語った。

イランの政権のあり方については、他国の軍事行動ではなく、イラン国民に委ねるべきだと問われると、ノルージさんは「その通りだ」と述べ、「トランプやネタニヤフが決めることではない。イラン国民は既に決定しているのだ」と語った。

イラン当局のデモ鎮圧が激しかった1月8、9両日、何百万人のイラン人が街頭に出て、革命で退位に追い込まれた故パーレビ国王の息子、レザ・パーレビ元皇太子の名前を呼んだという。(奥原慎平)

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