6歳男児による小学校教師銃撃、陪審が元教頭に15億円の支払い命じる 米バージニア州

6歳男児による小学校教師銃撃、陪審が15億円の支払い命令

(CNN) 米バージニア州で2023年に小学校教員の女性が6歳児童に銃で撃たれた事件をめぐり、被害者の女性が当時の教頭を相手取って起こした民事訴訟で、陪審は6日、1千万ドル(約15億円)の支払いを命じる評決を下した。

教頭は銃に関する度重なる警告を無視したとして刑事訴追されており、今後の刑事裁判の行方を占う結果となった。

事件は23年1月に発生。当時ニューポートニューズの小学校で教員を務めていたアビー・ズワーナーさんは、児童が学校に銃を持ち込んだとの懸念に対応しなかったとして、教頭だったエボニー・パーカー被告を訴えていた。

ズワーナーさんは教室内の読書テーブルに着席していた際、胸と手を撃たれた。

ズワーナーさんの弁護士は裁判所前で取材に応じ、「(今回の評決は)リッチネック小学校であの日に起きたことは間違っており、許されないというメッセージだと思う」とコメント。「学校は安全第一でなければならない」と述べた。

別の弁護士は「民事司法制度では、最終的な結果に関与した者が責任を問われるべき。何が正しいかを判断するのは究極的には陪審だ」と述べた。

ズワーナーさんとパーカー被告の弁護士は7日午前、裁判後の申し立てに関して協議を行う予定。パーカー被告は裁判所が最終判決を下した後、上訴することができる。

陪審団はおよそ5時間半にわたって評議を行った。

パーカー被告は刑事裁判にも出席予定

パーカー被告は児童虐待の重罪8件に問われており、来月公判に臨む。今回の民事訴訟の評決は、刑事裁判で再び取り上げられる可能性のある重要な証拠や論点を予見させるものになった。

元教頭のエボニー・パーカー被告/Stephen M. Katz/Pool/The Virginia-Pilot/AP

バージニア大学の法学教授を務めるダリル・ブラウン氏によると、刑事裁判の前に民事裁判を行うのは「非常に珍しい」という。

ブラウン氏は「弁護側が民事裁判を先に行いたいと考えるのは、いずれにせよ民事裁判は避けられず、刑事裁判の展開について事前に多くの情報が得られるからではないか」との見方を示した。

ブラウン氏によると、今回の裁判ではズワーナーさんが被った苦痛に焦点が当てられたが、刑事裁判ではパーカー被告が子どもを守る義務を負っていた点を踏まえ、被告の対応の不備が争点になるとみられる。

「検察にとってより重要になるのは、他の証人や資料からの証拠だ。それによって問題の児童がどの程度脅威になっていたか、銃を所持していたかを被告側が知っていたかどうかが明らかになる」(ブラウン氏)

今回の裁判は、銃にアクセスできる子どもが学校で銃撃事件を起こした場合、誰が責任を負うのかを示す判例となる可能性がある。米国では今年、先週の時点で64件の学校銃撃事件が発生しており、うち27件は小中学校の敷地内で起きた。

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