ロシア関連資産買いに走る投資家-米国の制裁解除見込み

米国によるロシア制裁が数週間以内に緩和されるとの憶測が飛び交う中、投資家らはロシア政府に関連する資産を買いに走っている。

  投資家は香港市場に目を向け、同市場に上場しているモスクワ拠点のアルミニウム大手ユナイテッド・カンパニー・ルサールの株式を買い漁った。同社の株価は2月、50%以上も上昇した。ウィーンでは、モスクワに子会社を持つオーストリアの銀行、ライファイゼン・バンク・インターナショナルの株価が今年に入って35%高、ブダペストでは、依然としてロシアで事業を展開しているOTPバンクの株価が10%上昇した。

  為替市場も同様だ。ロシアの主要貿易相手国であるカザフスタンの通貨テンゲは、2月に約4%上昇し、世界で最も上昇した通貨の一つとなった。

  ニューヨークのモルガン・ルイス&バッキアス法律事務所のパートナーで、証券弁護士グリゴリー・マリニチェフ氏は、ヘッジファンドやファミリーオフィス、個人投資家などから、ロシア市場での取引方法に関する問い合わせに追われている。米国の制裁により、数千億ドルのロシア関連資産は引き続き凍結されているため、彼の答えは単純に「できない」だ。

  マリニチェフ氏は「彼らは取引の一番乗りを狙っている。ただ現時点では、ニュースを追う以外に彼らに伝えることはあまりない」と語る。

  資産運用担当者がロシアと何らかのつながりがあるものを次々に買い占めているのは、ウクライナとロシアの戦争を終結に向けた協議を急ぐ、米国のトランプ大統領に対し高まる期待の表れであり、また、ロシアが西洋の金融からいかに孤立しているかを示している。

  多くの投資家は、少数の投機的資産の市場の動きを過度に重視しないよう警告している。制裁措置の一部は米国の法律に明文化されており、解除には議会の承認が必要だ。どのように解除されるかは、なお不明瞭だ。欧州の制裁措置はおそらく今後も継続されるという問題もある。

Rusal shares are back to levels seen in the wake of the invasion

Source: Bloomberg

  欧州政策分析センターの上級研究員で、モスクワのクレディ・スイスでストラテジストを務めた経験を持つアレクサンダー・コリャンドル氏は「ロシアを再び投資対象として復活させるには何年もかかるだろう。だが、人々は今、良い投資先を見つけるのに苦労しており、和平合意の可能性は、明らかなチャンスを生み出す」と指摘した。

  ロシアの閉鎖された市場でも、株価と取引量は急上昇している。年初来、ルーブルは対ドルで15%上昇し、最もパフォーマンスの良い通貨となっている。ただし、こうした資産の取引は、ロシアに対して制裁を行っていない、いわゆる友好国のアラブ首長国連邦やカザフスタンなどの投資家や地元の人々のみに開かれている。

原題:Traders Are Racing to Bet on the End to Russian Sanctions (1)(抜粋)

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