第3期BiS解散前ラストインタビュー、トギー編「BiS=BiSに関わった全ての人」
BiSは2010年にプー・ルイを中心に結成されたグループ。現在のBiSは2019年6月に始動した第3期にあたり、現在のメンバーは3期オリジナルメンバーのトギー、途中加入のナノ3、ヒューガー、クレナイ・ワールズエンド、イコ・ムゲンノカナタの5人となっている。2024年4月に活動体制に変更があり、メンバーがマネージメントを兼ねる“自給自足アイドル”として再出発をしたが、8月に「これ以上の活動継続が難しい」との理由から、2025年1月をもって解散することを決めた。
解散ライブ〈Finale of third BiS〉を間近に控えたメンバーにインタビューを実施した。5回目はトギーへのラストインタビューを掲載する。
取材&文:田中和宏 写真:大橋祐希
終わりが決まっているからこそ、BiSでいられる残りの時間を大切にしたい
──2025年1月12日に日比谷野外大音楽堂でのワンマンライブをもって解散するBiSのラストインタビューになりますね。まずどんな心境で日々、過ごしてきたのかを聞かせてください。
トギー:自給自足になったのは2024年の4月で、マネージャーさんがいなくなることを具体的に想像できていないままスタートしました。実際に、5人でやっていくことは想像以上に難しかったです。自給自足でやっていることがプラスになることも沢山ありましたが、メンバーしかいないことが弊害になってしまうこともあったので、色んな方に助けてもらいながら活動していました。
──トギーさんはオリジナルメンバーで一番キャリアが長いということで、引っ張っていかなきゃって気持ちになっていたんですか?
トギー:引っ張っていかなきゃと色んな場面で思ってはいましたが、実際に引っ張っていけていたかといえば、できていなかったことの方が多かったなと思います。1番キャリアが長いからこそ、私がやりすぎない方がいいと思いすぎて、逆に任せすぎてしまうこともありました。 でもキャリアは気にせず、もっと頼ったり頼られたりできてたら良かったのかなと今になって思う部分もあります。
──そんな自給自足生活の中、8月に「これ以上の活動継続は難しい」として、解散を発表しました。トギーさんとしては解散を決める前から予兆は感じていたんですか?
トギー:それでいうと、解散した方がいいかどうかなんて考えたことがなかったので、予兆は感じていませんでした。例えばですが、もう辞めろよって言われても、辞めないですって即答するのが大事みたいな精神でずっとやってきたので。解散が決まった後にやっと、色んな観点から考えた結果、解散するということにようやく向き合えるようになりました。
──トギーさんとしては解散発表後のほうが、大きな決断をしたということで活動しやすくなったという部分はありましたか?
トギー:そうですね。終わりが決まっているからこそ、BiSでいられる残りの時間を大切にしたいと思っていますし、ライブ中も以前より純粋に楽しめている実感があります。
BiS史上1番いいライブにします
──BiSで活動してきた中で印象に残っていることは?
トギー:2019年の「TIF」でお披露目したときです。いまだに言われることがあるんですよ、「この頃のほうがよかったよ」って。BiSに対しても、私個人に対しても言われちゃう。なんでなんでしょうね、ずーっと「この頃がよかった、あの頃がよかった」って。でも振り返ってみると、結成時のBiSは失敗したらすぐ辞めさせられるみたいな恐怖を抱えて活動してたんで、がむしゃらさは抜きん出たかも(笑)。信じられないくらい練習していて、休憩時間だけ寝るみたいな日々で。自分たちの意思でそうしてたし、本番に間に合わせるために必死だったのも覚えてます。でも、結成時と比べられることがあるからこそ、今のBiSにしかない良いところは何なのかを必死に考えてやって来ましたし、解散ライブでもそれが見せられたら良いライブができたと言えるのかなと思っています。
──トギーさんは5年間で変わったと思う部分はあるんですか?
トギー:いい意味かはわからないけど、自分の悪いところをかろうじてわかるようになったところはあります。最初なんて馬鹿みたいに「欠点はないです!」なんて言ってましたから。
──日比谷野音での解散ライブ、どういうものにしたいですか。
トギー:第3期BiSの最後は、この野音だけなのでここがよくなかったら全部ダメだったみたいに思われちゃうかもしれない。BiSとしてだから……BiS史上1番っていうのが気持ちとしてはあるんですが……。うん。BiS史上1番いいライブにします。
BiSにとって最大規模の会場を提供してくれるのは本当に幸せなこと
──トギーさんが好きなBiSの曲は?
トギー:「TOUCH ME」ですね。この曲はコロナ禍にカセットテープのシークレットトラックとして入れたのが最初で、けっこうストーリーが長いんです。私の解釈として、「TOUCH ME」は当たり前にいると思っていた人たちに急に会えなくなっちゃって、その人たちの大事さを思い知ったという気持ちで聴いてるんです。コロナ禍は、現実で本当にそういう状況だったから、歌詞が響くんです。当たり前じゃないってことが身に沁みた時期だったので、そこからお客さんもそうだし、誰に対してでも、いてくれることが当たり前じゃないことがわかった頃の思い出がよみがえる曲になってます。それと、ライブの大事な場面で披露してきた曲でもあるので、思い出深いです。
──共通の質問です。あなたにとってBiSとは?
トギー:過去にも何度かその質問をされたことがあって、BiS=(イコール)BiSに関わった全ての人だと思ってたんですよ。過去にいたメンバーも含め、BiSに関わっていた人、研究員、すべてがBiSみたいな気持ちだったんです。でも……BiSって私にとってなんだろう? 改めて考えても、BiS=(イコール)BiSに関わった全ての人というのは変わらないです。
──BiSとはBiSに関わった全ての人であると。
トギー:そう。だけどあまり難しく考えず、BiSを重く捉えすぎずに、ただグループのことを愛して、研究員を愛していたら、まずはそれだけでよかったのかなってちょっと思っています。それと、解散すると決めて2日後くらいに渡辺さんから電話がかかってきたんですよ、「解散にふさわしい場所を思いついたんだけど」って。WACKで1月の野音を2日間押さえていたのは知ってましたけど、あそこをBiSが使わせてもらえるんだなんて。BiSにとって最大規模の会場を提供してくれるのは本当に幸せなことだと思います。せっかくそういう場所で最後のライブをやらせてもらえるんだから、もうめちゃくちゃがんばって、BiS史上1番いいライブにしたいです。
■ライブ情報
解散ライブ〈Finale of third BiS〉 2025年1月12日(日)@東京・日比谷公園野外音楽堂 OPEN 16:00 / START 17:00