インタビュー:ウクライナのザポロジエ原発、停戦なら数カ月で再稼働も=IAEA事務局長

 3月26日、国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は、ロシアが占領するウクライナ南部のザポロジエ原発(写真)について、ウクライナ戦争の停戦が実現すれば数カ月以内に再稼働できる可能性があるが、6基の原子炉全ての再稼働には1年以上かかるのではないかとの見通しを示した。2023年6月、ウクライナ南部のエネルホダル郊外で撮影(2025年 ロイター/Alexander Ermochenko)

[ウィーン 26日 ロイター] - 国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は26日、ロシアが占領するウクライナ南部のザポロジエ原発について、ウクライナ戦争の停戦が実現すれば数カ月以内に再稼働できる可能性があるが、6基の原子炉全ての再稼働には1年以上かかるのではないかとの見通しを示した。

ザポロジエ原発は戦争前にウクライナの電力の20%を担っていたが、戦線に近いことから全原子炉が停止し、壊滅的な事故が発生する危険にさらされている。

グロッシ氏は「われわれが望んでいるのは、この地域で戦闘がもはや行われていないことを確認できる瞬間が来ることだ」と述べ、終戦に期待を示した。

トランプ米大統領はウクライナ戦終結とロシアとの関係改善に取り組んでいるが、IAEAはこうした協議に参加していない。ザポロジエ原発は国際法上ではウクライナに属するが、IAEAは実際にはロシアと協力せざるを得ない立場に置かれている。グロッシ氏は停戦の枠組みについて意見を述べる立場にはないと自身の立ち位置を説明した。

ザポロジエ原発には少数のIAEAスタッフが常駐している。IAEAの直近の四半期報告によると、同原発の安全およびセキュリティー状況はなお危機的で、武装したロシア軍が原発の一部へのアクセスを阻止している。

グロッシ氏は「原発の安全性や全体的な状況に関して言えば、ロシアによって専門的に管理されていると言える。保守作業の一部は、本来あるべきほど万全でなかったかもしれないが、それは戦争の影響だ」とした上で、停戦が行われれば冷却能力を強化するための大規模な作業か可能になるため、原子炉の再稼働は可能との見方を示した。

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