秋篠宮さま、悠仁さまは「私の良き話し相手」 誕生日会見全文
30日に60歳の誕生日を迎えた秋篠宮さまは、これに先立ち恒例の記者会見に臨まれた。宮内記者会があらかじめ提出した5つの質問と、関連質問に答えられた。主なやりとりは以下の通り。
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記者 まずは、還暦のご感想についてお願いいたします。
殿下 今度、還暦を迎えるわけですけれども、私個人の中では、時間というのは連続しているものと認識していますので、還暦と言われても、干支(かんし)が一巡したんだなということと、そういう年齢になったんだなという感想があるくらいです。
記者 続きまして、ご一家で戦争の記憶に向き合われたこと、また次代への平和の継承についてのお考えをお聞かせください。
殿下 そうですね。私がまだ子供だった頃、もう50年ぐらい前になりますけれども、その頃は周りに戦争に行ったことがある人とか、それから大人にはなってないけれども、戦争の経験が有る人というのは結構多くいました。ですから、日常の会話の中でも、戦争のことについての話が出ることはありましたし、学校の授業でも、そういう話を聞く機会が比較的多かったと思います。ただ、それから半世紀ぐらい経(た)って、段々とそういう実際に体験した人の話を聞く機会というのは難しくなってきていると思います。特に、記憶に残っている年齢の時に戦争を体験した人は、もうかなり高齢になってきていますので、その点でも、なかなかそういう機会が持てなくなっているんだと思います。ただ、そういう今の時期ではありますけれども、まだ話してくれる人もいますし、そういう人たちから話を聞くだとか、それから関連する展示を見学するとか、また、書籍などから知識を得るなどして、一人一人が平和のことについて考えていくということが大切になっているのではないかと思います。今の若い世代の人たちの平和の継承という意味では、今年の夏に広島に行った時のことが思い起こされます。広島に行って平和都市記念碑に花を手向けた後に、平和記念資料館で平和な世界の実現のために学習し、活動している人たちと会う機会がありました。戦争とか核兵器について多くのことを学びながら、そのことを国内外の同世代の人たちと共有し、さらに、国際的な視野を持ちながら課題に取り組んだり、活動している姿を大変頼もしく思いました。その時に会った人の中で記憶の解凍というプロジェクトを行っている人ともお話をする機会がありました。これは戦前のまだ普通の暮らしがあった時の様子、それから戦争の時の様子、その頃の写真に彩色をしているというものですけれども、その当時ですから、当然モノクロームの写真になります。それに、AIで彩色を最初施して、今度はその写真の提供者などと対話を重ねながら、手作業で色を補正して、それで1枚のカラー写真を作り上げるという、かなり地道な作業なわけですけれども、それについての説明を聞きました。実際に写真を見せてもらい、また写真集も見せていただいたわけですけれども、それを見ると、モノクロームの写真、確かに写真ではあるわけなんですけれども、今の時代と過去の時代というのは、途中で途切れている印象があるんですね。それが彩色を施してカラー写真になることによって、つながった状態、つまり自分にとって身近な所で起こっていたことという感覚を持てる、そのことが私にとっても新たな発見だったわけです。そして、その記憶の解凍プロジェクト、それからその前にお話しした人たちとの出会いを持って、平和の継承の在り方の一つの例を見たように思います。
記者 続いて、国内外で印象に残った出来事はいかがでしょうか。
殿下 国内外での印象に残った出来事というと、今の関連で言いますと、やはり戦後80年が経(た)ったということがあると思います。この節目の年に当たり、いろいろな展示会ですとか催しが行われ、また報道などでも特集の記事が組まれたりしていました。改めてそれらによって先の大戦へ思いを馳(は)せ、また今の平和な世の中が継続していることの大切さというものを考えるきっかけになったのではないかと思います。ただ、この一方で、先の大戦のことについては、節目の年だけに思い起こせばいいというものではなくて、これが今年は80年ですけれども、81年であっても、82年であっても、折々に思い起こして、過去に学びながら、二度と同じことを繰り返してはいけないということを、一人一人が確認することが大事なのではないかと考えました。今、日本は平和な状態が続いているわけですけれども、海外に目を向けると、いまだに各地で武力紛争が起こっております。ロシアによるウクライナ侵攻は今も継続していますし、イスラエルとパレスチナの武力紛争は停戦に至ったものの、その合意が守られることが求められております。各地の紛争で市民が犠牲になり続けていることには大変心が痛みます。早期に停戦にこぎ着け、そして、またその合意が守られることを願っています。
気候変動も、今年、この前までCOP30などが行われていましたけれども、話題になったことではないかと思います。日本もかなり短い梅雨(つゆ)の後に、猛暑が来て、これは去年、一昨年を上回っているというふうに認識しております。また、海外でも気候変動の影響によるものと思われる熱波であるとか、ヨーロッパで夏に熱波が、猛暑がありましたけれども、それから、パキスタン・インド北部での集中豪雨による洪水であるとか、テキサスでも洪水がありましたかね。そのほか、最近ではフィリピンでも台風による被害がありました。そして、これは直接的な原因はまた別かとは思いますけれども、林野火災、南カリフォルニアでもありましたし、日本や韓国でも大きい林野火災がありました。このような今までと違う状況に接する機会というのが増えてきているように思います。そして、この気候変動について言うと、その主たる要因というのが、人間活動によって排出されるCO2ですとか、メタンだとかの温室効果ガスと目されています。これに対応するために、エネルギーシステムの変化、つまり社会システムの変化はもちろんのことですけれども、個人でできることもあると思います。個人個人がそのようなことについての意識を持って、対応に尽力することも大切なことではないかなと思います。
また、大阪・関西万博が「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマにして行われましたが、2,500万人以上の多くの来場者を得て、184日間という長い期間、大きな事故もなく幕を下ろせたことに安堵(ど)しております。海外からの出展も多数ありました。それぞれの国のパビリオンやブースが自分の国の窓になって、多くの来場者がその地域を知る、また親しみを持つきっかけになったのではないかと思っております。私もほんの一部ですけれども、それらのパビリオン、ブースを見学しましたが、そのどれも大変充実した内容だったと感じました。
お米の高騰も今年の印象に残ったことの一つかと思います。日本に暮らす人々にとって、お米というのは主食でありますので、それが高騰するということは、家計負担を直接増やすことにつながるので、影響が大きいと思います。
それから、今ニュースで見ない日がないと思える熊ですね。昨年もこの場で確か熊の話をしたように思います。ただ、昨年の状況よりも更に今年は悪くなっているという印象です。熊自体の変化もあるのかもしれませんけれども、今後これをどういうふうにしていくのかというのは、やはり、その地域にいる人たちの安全に関わることですから、非常に大事なことだと思います。個体数管理を徹底する。そのためには捕獲せざるを得ないこともありますでしょうし、又はゾーニングといいますか、熊の生息地と人が住んでいる場所との間の緩衝地帯の整備など、いろいろなことが考えられるのだと思いますけれども、とにかく人への被害が無くなることが、まず一番大事なことだと思います。その上で、熊と人が共存できるようになることを願っています。
あと、私にとって一つ悲しい出来事がありました。先月、タイのシリキット王太后陛下が崩御されました。私は度々タイに行っておりますけれども、その時に御挨拶に伺うと、まるで遠方から家族が久しぶりに帰ってきたように接していただき、大変懐かしい思い出があります。
喜ばしいニュースも幾つかありました。ノーベル生理学・医学賞を坂口志文さんが、そしてノーベル化学賞を北川進さんが受賞されたということは大変喜ばしいことですし、日本の基礎研究が今後、今以上に発展することを願っています。あと、大谷翔平さんが4度目ですか、3度連続、4度目のMVPに輝いたということも嬉(うれ)しいニュースの一つでした。あとは、世界陸上で日本の選手が活躍したことや、今まさに開催されているデフリンピック、明日まででありますけれども、そこでも日本の選手が非常に活躍している様子を嬉(うれ)しく思いましたし、また、デフスポーツというものを私たちが知る、例えば、スタートの時に、音では聞こえないわけですから、それをランプの光で見せるとか、広くそのほかのことにも応用できるものがあるのだなということを私も認識しました。つつがなく閉会の時を迎えられることを願っております。印象に残ったことは以上でしょうか。
記者 ありがとうございます。
記者 まず、悠仁さまが40年ぶりの成年式を迎えられましたことについて、よろしくお願いいたします。
殿下 成年式が行われるのは40年ぶりということで、恐らくそれを支えてくれた宮内庁の職員も、いろいろと調べることがあって大変だったんだろうと思います。長男の成年式に関係することですけれども、まず、私の中ではずっと小さいというイメージがあるんですね。その長男が、成年は去年終わっているわけですけれども、もう成年式ということになると、時の流れの速さを感じました。息子はかなり入念に成年式の準備をしていたようです。式自体と共に、その後、賢所でも参拝があり、そういうときの所作などを何度も稽古していました。私はその期間の様子、それから成年式当日の様子を見ながら、大人になったんだなと感じました。
記者 続いて、皇位継承順位第2位の成年皇族として、悠仁さまの今後の活動への期待をお聞かせください。
殿下 今はまだ大学生ですので、公的な場面に出る機会というのは、それほど多くなく、限られたものであります。まだこの状態がしばらく続くわけでありますけれども、そういう時期ではあっても、これはいつも同じことを私は言っているように思いますが、出席する場合、その一つ一つを大切に思いながら、丁寧に取り組んでほしいと思っています。
記者 家庭や大学でのご様子について、具体的なエピソードもお教えください。
殿下 まず家庭ですけれども、家庭では私の良き話し相手になってくれています。エピソードというほどのものではないかもしれませんけれども、割と最近では、一緒に稲刈りをしたりしました。また、大学での様子ですけれども、私は大学での様子はあまり知らないんですが、話をしていると、かなり充実した大学生活を送っているようで、そのことを嬉(うれ)しく思っています。また、大学でのエピソードというのも、私はよく知りませんけれども、少し関連することとして、今、東京にいるときもありますけれど、つくばの方に泊まっていることもあります。それでどうも自炊をしているようなんですね。それでいつだったか、少し前ですけれども、庭の畑で採れた野菜を持って行ってポテトサラダを作ったりとか、それからまた、栗御飯を作ったなどというその時の写真が、メッセージと共に送られてきました。それぐらいでしょうかね。
記者 まず、紀子さまへの思いをお聞かせいただけますでしょうか。
殿下 結婚してもう35年経(た)つのだなと、今の話を聞いて思いましたけれども、この35年の間、このわがままな夫をよく支えてくれていて、感謝しています。今、妻は、私から見ると公私共に充実した時期のようで、いろいろな公的な場面もそうですけれども、私的にもいろいろな活動をしており、そのことを嬉(うれ)しく思いながら見ています。夫婦でのエピソードですが、私たちというか、特に私なのですけれども、どうしても運動不足になりがちなものですから、週末などはできるだけ一緒に散歩をするようにしています。また、秋に二人で日光を訪ねました。少し早い紅葉を楽しんだり、昔一緒に行った所を訪ねてみたりなどして、ゆったりとした時間を過ごしたわけですけれども、今までだと、出かけるときは子供が一緒のときが多かったわけですけれども、子供も大きくなって、これからは段々と二人で出ることが多くなるのかな、などと思ったりしました。
記者 続いて、精力的に公的な活動に取り組まれる佳子さまのご様子をどうご覧になっていますでしょうか。
殿下 娘が成人してから10年ほど経(た)つわけですけれども、その間、いろいろな依頼をされることも多くなってきています。娘の様子や、話を聞いていると、その一つ一つを非常に大事にしながら、一生懸命取り組んでいるということがよく分かり、喜ばしく思っています。
記者 佳子さまのご結婚について話し合われていることはありますでしょうか。
殿下 結婚については特にありません。
記者 続きまして、小室眞子さんは第一子を出産いたしました。第一報を聞いた際のお気持ちや、今後の面会についてのお考えをお聞かせください。
殿下 そうですね、第一報を聞いた時はとても嬉(うれ)しい気持ちになりました。それと同時に、おじいさんになったんだなという、そんな若干複雑な思いもいたしました。そして、もし日本に来る機会があれば、是非会いたいと思います。
記者 上皇ご夫妻の最近のご様子、どうご覧になっていますでしょうか。
殿下 まず、上皇陛下が無症候性心筋虚血のために、この7月に入院されて、私も私の家族も大変心配いたしました。ただ、お薬の効果も見られて、夏には軽井沢、秋には葉山に行かれるまでになられて、安堵(ど)しているところです。上皇上皇后両陛下とは、以前ほど時間が合わない、時間帯が少しずれているということもあるでしょうけれども、赤坂御用地を車で回られているときなどにお目に掛かって、お話をする機会が時折あります。私たちにとっても嬉(うれ)しい時間ですし、両陛下も穏やかにお過ごしのことと思います。
記者 まず、インスタグラムでのご活動の紹介のことについてお願いします。
殿下 宮内庁がインスタグラムを始めて2年近く経(た)つのでしょうか。そして、最近は私たちのところもそうですし、宮家全体がインスタグラムで紹介されるようになり、フォロワー数もかなり多くて、結構なことだと思います。月に一度程度の投稿ですので、即時性という点はそれほどありませんけれども、私としてはどれも実際に出席した行事についての写真を紹介するのが目的ですので、そのことをそれ以上でもなく、それ以下でもなく、知ってもらえればいいのかなと思います。
ただ一つ、私は、以前にウェブサイトとSNSの関係を惑星と衛星に例えたことがあったと思います。惑星と衛星が結び付いている。どういう状況かというと、SNS、宮内庁の場合はインスタグラムがあって、それが惑星たるウェブサイトとリンクしていて、ウェブサイトがインスタグラムのアーカイブになっている必要があると思うのですね。ところが今、この前も試してみると、そのインスタグラムの写真からアーカイブのところに一足飛びに移動することができない状態になっています。ある一つのこういう行事に出ましたということが、インスタグラムで紹介されるわけですけれども、その本体であるウェブサイトの方に、もう少しいろいろな情報が入っているわけですので、そのあたりがリンクすると、いいのかなというふうに思ったところです。
記者 SNSの持つ課題について。
殿下 SNSは、情報を瞬時に広めることもできますし、使う人々が、双方向で迅速にコミュニケーションを取れるというメリットがありますが、一方では、誹謗(ひぼう)中傷などによる悲しい出来事も起こっています。その両面があると思います。その上で、今、質問にありましたように、プライバシーの問題というのも出てくると思います。先ほどの事例で言いますと、飛行機の中で休んでいる写真がSNSで広がるというわけですけれども、そこに写っていた一人の人間の中に公的な立場と、それから個人、去年、私が話した言葉で言うと生身の人間ですね、両方が一つになっています。それを分離するというのはなかなか難しいことだと思いますが、少し前の時代、今も続いているわけですけれども、テレビ、新聞や放送などのマスメディアの時代であれば、もしかすると、それはいろいろなところに広がらないようにできたかもしれないですね、話し合いをすると。ただ、今のSNSの時代では、それが非常に難しいことだと思います。とにかく、誰でも写真を撮る、画像を撮れて、誰でもが拡散できるわけですから。そこは非常に難しいと思います。
そして、更にSNSに、今度は全く別の進化を遂げてきたAIが一緒になるというのが、現在の状況だと思います。そうすると、単に先ほどのような画像が外に出ていくだけでなくて、フェイク画像や二次創作画像などが拡散することもあり得て、新聞や放送などのマスメディアの時代とは大きく環境が異なってきているように思います。SNSにAIがくっ付いた状態で、これが今後どうなるかというのは、恐らく誰も分からないのだと思います。5年先のことではないですよね、1年先でも分からないというのが現状だと思います。このように、今後どうなっていくか分からないというのもSNSの一つの課題ではないかと思います。情報テクノロジーが発達して、著しく、絶えず変化するメディア環境にあって、SNSをその中に位置付けて、その可能性であったり、課題であったりを捉えるという、ものの見方と言いますかね、そういうことも必要になってくるのではないかと思います。以上です。
記者 まず、新宮家について。
殿下 これについては、私としては新たな宮家が創設されたということを認識したということです。
記者 続いて、昨年の殿下の生身の人間というご発言について。
殿下 生身の人間、皇族も生身の人間であるということは、私は今でもそのとおりだと思っておりますし、ただ、去年、この生身の人間の話をして以降、何か目に見える変化があったかというと、それはないと思います。ただ、私の受けている印象では、宮内庁の然(しか)るべき人たちは、そのことを真摯(し)に受け止めてくれているというふうに思っています。
記者 今後、公的な活動の担い手が減ることが想定される中、どうご覧になっているか。
殿下 これは、高齢化も含めて、公的な活動の担い手が減ってきているというのは、もう間違いないことです。しかし、その状況を変えるのは、今のシステムではできません。いかんともし難いことだと思います。やはり、全体的な公的な活動の規模を縮小するしか、今はないのではないかと思います。以上です。
殿下 そうですね、やはり皇室の活動として大事なのは、対話だと思うんですね。直接的に、今お話のあったようなことに結び付くかどうかは別にして、国際関係について言うと、皇室というのは外交はできないわけですね。外交をすることはできませんけれども、親善はできるんですね。そうすると、やはり、その中で少しでも相互理解が深まるようになることが大事ではないかと思います。あと、息子とのことについてですけれども、これは、以前ほど会う機会が多くはないわけですけれども、会って話をしている中で、今お話のあったようなことについて、話をすることがありますし、また、私が見てちょっと必要かなと思った本を紹介したりとかするようなことがあります。
殿下 なかなか守るといっても、それをどうするかというのは難しいことだと思います。ただ、結婚のことだとか、そういう大切なことについての情報管理というのはしっかりと行っていかないといけないと思いますし、そのためにどうするかというのを考えるのは、私たち親の役目であると思います。