NY市場サマリー(26日)米国株続伸、米ドル上昇・カナダドルなど下落、10年債利回り上昇
<為替> 終盤のニューヨーク外為市場では、トランプ次期米大統領のカナダ、メキシコ、中国に対する関税政策の発表を受け、3通貨が対ドルで下落した。
円は対ドルで堅調に推移し、ドル/円は0.57%安の153.33円となった。
午後の取引で、ドルは対メキシコぺソで2.5%超上昇し、2022年7月以来の高値を付けた。終盤では1ドル=20.685ペソ。
メキシコのシェインバウム大統領は、トランプ氏が関税を課す方針を示したことについて、インフレを悪化させ雇用を奪うと危機感を表明した。
ドルは対カナダドルで一時1.5%超上昇し、4年半ぶりの高値を付けた。終盤では0.61%高の1.41カナダドルとなった。
<債券> 米金融・債券市場では、10年国債利回りが上昇した。トランプ次期米大統領がメキシコとカナダからの全ての輸入品に25%の関税を課すと表明したことを受け、投資家は貿易紛争への発展を警戒している。
一部では、利回りの上昇は関税引き上げによるインフレ上昇リスクを反映しているとの指摘も聞かれた。ソシエテ・ジェネラルの米国金利戦略責任者スバドラ・ラジャッパ氏は、これまでの債券相場を支えたテクニカル要因が勢いを失ったことの表れでもあると指摘した。
米連邦準備理事会(FRB)が26日公表した11月6─7日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨から、どの程度の追加利下げが必要かを巡って意見が分かれていたことが分かった。
議事要旨発表後、短期ゾーンの国債利回りは低下した。フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で25ベーシスポイント(bp)の利下げが行われるとの見方がわずかに高まった。CMEグループのデータによると、12月の利下げ確率は終盤には60%と、序盤の56%から上昇した。
ルーミス・セイルズ・アンド・カンパニーのポートフォリオ・マネジャー、マット・イーガン氏は「関税と米国の財政赤字に対する懸念が、FRBが実際に利下げできるかの重しになっている」と述べた。
米連邦準備理事会(FRB)が26日公表した11月6─7日のFOMC議事要旨ではどの程度の追加利下げが必要かを巡って意見が分かれていたことが分かった。
一方、今後数週間の金融政策の展開について具体的な指針を控える時期であるとの点で見解が一致していたことも示された。
ハリス・ファイナンシャル・グループのマネジングパートナー、ジェイミー・コックス氏は「議事要旨は、利下げが来週実施され、来年にかけても利下げが続けられるという私の見方を変えるものではなかった」と述べた。
トランプ氏は25日、就任初日にメキシコとカナダからの全ての輸入品に25%の関税を課し、中国からの輸入品に追加で10%の関税を課すと表明した。
<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、前日売られた反動から買い戻しが入り、小反発した。
相場は前日、清算値ベースで3%超下落。トランプ次期米大統領が22日、財務長官に財政規律重視派の投資ファンド経営者スコット・ベッセント氏を指名することを発表したことや中東情勢の緊張緩和を巡る思惑から、安全資産とされる金の需要が低下した。
この日は安値拾いの買いが先行。ただ、近く合意が発表されると報じられたイスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの停戦交渉の行方をにらみつつ、上げ幅は限られた。
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、イスラエル政府がレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとの停戦を承認したとの報道を受けて売られ、続落した。
米メディアは26日、イスラエル政府が治安閣議でレバノンのヒズボラとの停戦に同意したと報じた。イスラエルのネタニヤフ首相は同日のテレビ演説で停戦を受け入れる考えを示し、承認を得るために停戦の概要を閣議に提示すると述べた。停戦合意が実際に履行されるかが今後の焦点となるものの、中東情勢の緊迫化に伴う過度の供給不安がひとまず後退し、原油が売られた。
また、トランプ次期米大統領は25日、不法移民や麻薬の流入が止まるまで中国、メキシコ、カナダに新たな関税を課すと表明。貿易摩擦激化で米国内のインフレ再燃につながりかねないとの見方から、対ユーロでドル買いが優勢。ドル建てで取引される商品の割高感につながり、原油の売り圧力となった面もあった。
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