ロシア、24年GDP4.1%増 軍需けん引も強まる減速懸念

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ロシア連邦統計局が7日発表した2024年の実質国内総生産(GDP、速報値)は23年に比べて4.1%増加した。ウクライナ侵略に伴う軍需などがけん引し、2年連続のプラスとなった。侵略の長期化を背景にインフレが続くことに加え経済制裁も強まり、25年は成長鈍化が見込まれている。

経済発展省によると製造業が8.5%増となった。軍需関連とみられる化学や機械、冶金などが伸びた。非製造業では小売りなども伸びが続いている。

ロシアのウクライナ侵略は24日で開始から丸3年となる。軍需産業では兵器や弾薬を増産する動きが加速し戦時経済をけん引している。ベロウソフ国防相は2024年12月に開いた国防省の会合で「24年は戦車の供給が22年比で7倍に増加し、無人機(ドローン)は20倍以上に増えた」と訴えた。

ロシアはウクライナ東部ドネツク州で犠牲をいとわず攻勢をかけており、死傷者数の拡大が続いている。メドベージェフ安全保障会議副議長は1月24日、24年に約45万人が志願兵として契約したと明らかにした。25年も同水準の契約を維持する考えを示した。

不足する兵士確保に向けて、志願兵の契約一時金を大幅に増やす動きが各地で相次いでいる。人手不足は製造業以外にも広がり、人件費の増加が小売りなど内需を支えている面もある。プーチン大統領は1月22日に開いた政府会合で、24年は主要なマクロ指標がプラスに推移したと述べ「経済は良好だ」と訴えた。

だが25年のロシアのGDP成長率は減速する見通しで、国際通貨基金(IMF)は1.4%増と見込む。1月に従来見通しからやや上方修正したが、24年比では成長率は減速する。

戦時経済下で高まる過熱感が重荷となる。インフレ率は24年12月に9.5%で上昇基調が続き、ロシア中銀が目標とする4.0%を大きく上回る。中銀はインフレ抑制のため、政策金利を段階的に引き上げて同年10月には年21%とした。

中銀の引き締め姿勢には大手企業などから批判の声も増えている。ロシア産業企業家同盟のショーヒン会長は1月、「経済が現在の金利に適応するのは難しくなっている」と政策金利の一段の引き上げに懸念を示した。

中銀は前回24年12月の金融政策決定会合では大方の予想に反して政策金利を据え置いた。ナビウリナ総裁は会合後に「我々は状況判断と予測に基づき判断する」と独立性を主張したが、中銀への批判が影響したとの懸念はくすぶる。

欧米諸国による経済制裁も打撃となりそうだ。米国のバイデン前政権は1月、ロシア石油大手のガスプロムネフチとスルグトネフテガスを制裁対象に加えたと発表した。米政府は制裁逃れに使われていた「影の船団」と呼ばれるタンカー180隻超なども新たに指定した。

ロシアは対ロ制裁に加わらない中国やインドへの原油輸出を続けており、欧米の制裁は一定の効果をあげているとみられる。ロイター通信によると、中国・山東省の港では米国の禁輸措置を受けたタンカーの寄港を禁止した。

ロシア紙コメルサントは情報筋の見方として、制裁回避のため別のタンカーに積み替える動きが今後増えるとし「輸入業者は取引を続ける場合でも一段の割引を求めるだろう」と指摘した。

ドイツ国際安全保障研究所の試算では、今回の追加制裁によってロシアは原油輸出による歳入全体の1〜2割を失う可能性がある。GDPのおよそ1%にあたる規模だ。

プーチン氏は1月、ウクライナを巡るトランプ米大統領との協議について「対話にオープンだ」と述べた。対立が深まっている米国との関係改善につなげ、ロシアに優位な条件での交渉につなげる狙いとみられる。

トランプ氏はロシアが停戦交渉に応じない場合は追加制裁を辞さない考えを示しており、今後の協議が焦点になる。

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