月に眠る莫大な資源「ヘリウム3」人類全体の1万年分のエネルギー 中国も採取を狙って月面探査を加速?
近年、月面に豊富に存在するとされる「ヘリウム3」が、未来のクリーンエネルギーとして注目を集めています。地球上では非常に希少な物質ですが、月の表土(レゴリス)には豊富に蓄積されていると考えられているヘリウム3について解説していきます。
■人類全体の1万年分のエネルギーをまかなう夢の物質
ヘリウム3 出典:Alicepublicヘリウム3は核融合発電の燃料として期待されている物質です。ヘリウム3は太陽風に乗って月面に吹き付けられ、そのうちの100万トンが月の表面に存在しているといわれています。アポロ計画で持ち帰った土からもこれが示されているのです。しかし、大気のある地球にはほとんど存在していません。
このヘリウム3は、重水素と核融合することでヘリウム4と陽子に変化することで、膨大なエネルギーを発生させるのです。もし全てのヘリウム3を地球に持ち帰ることができて核融合発電ができれば、なんと人類全体の約1万年分のエネルギーを得られると考えています。日本の1年の電力をまかなうには、わずか数トンのヘリウム3で良いと推定されています。
さらに安全性の観点でヘリウム3は優れています。従来の核融合反応では、重水素や三重水素(トリチウム)が使用されますが、それらの反応は中性子を放出するという問題があります。一方、ヘリウム3と重水素を用いた核融合では中性子の発生がほとんどなく、比較的扱いやすいと言われています。このため、安全性の高いエネルギー源として大きな可能性を秘めているのです。
■中国はヘリウム3の採取を狙っている?
月面基地のイメージ 出典:ESAしかし、ヘリウム3の実用化には技術的な課題が多いことが現状です。まず、月面の表土からヘリウム3を抽出する技術の確立が必要であり、そのためには大規模なインフラの整備が求められます。また、ヘリウム3を利用する核融合技術自体も、現在の科学技術では実用段階には至っていないのです。
それでも、地球環境を守りつつ無尽蔵に近いエネルギーを確保できる可能性を持つヘリウム3は、次世代エネルギー革命の鍵を握る存在として期待されています。今後、技術開発が進めば、月面資源が人類の未来を支える重要な要素となる日が訪れるかもしれません。
そして、急速に月面探査を進める中国ですが、その目的の一つがヘリウム3の採取であるという説があります。2020年と2024年には、中国の月探査機は月面の砂を地球へ持ち帰ることに連続で成功しており、このヘリウム3を効率的に抽出する技術の研究が続けられています。そして、2030年までに宇宙飛行士を月面へ送り込む計画も発表されているのです。無限のエネルギーとして期待されるヘリウム3ですが、近い将来に月面での争奪戦が勃発してしまうのでしょうか?みなさんからのコメントお待ちしています。
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