米PCE統計、4月は支出の伸び減速-コア価格指数は予想と一致

4月の米個人消費支出(PCE)統計では、支出の伸びが減速した。実質PCEは前月、2023年1月以来の大幅増加となっていた。一方、これとは別の統計である4月の米前渡し商品貿易収支によると、輸入額は前月比19.8%減と過去最大の落ち込みを記録した。

キーポイント
  • PCE総合価格指数は前月比0.1%上昇-予想と一致
  • PCEコア価格指数は前月比0.1%上昇-予想と一致

  インフレ調整を加えた実質PCEは前月比0.1%増加。3月は同0.7%増だった。金融当局が重視するインフレ指標、食品とエネルギーを除くコア価格指数は前月比、前年同月比とも市場予想と一致。引き続き落ち着いた動きを示した。

  前日発表された1-3月(第1四半期)実質国内総生産(GDP)改定値では、個人消費が約2年ぶりの低い伸びとなっていた。今回のPCE統計と併せ、消費者の間で米経済への不安が広がっていることを示唆する。関税引き上げの影響はまだ物価全体には波及していないが、消費者心理は低下している。

  トランプ政権は中国や欧州連合(EU)を含む主要な貿易相手国・地域との交渉を進める中で、一部の関税を撤回または一時停止している。トランプ氏が世界各国・地域に課した関税について、その大半を違法とした米国際貿易裁判所の判断を巡り、連邦高裁は29日、効力を一時的に停止する判断を下した。

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  一方でトランプ氏は30日、中国が米国との「合意に違反した」と主張し、米中間の緊張が再び高まった。米中は5月初めにスイス・ジュネーブで貿易協議を行い、相互の関税率を一定期間引き下げることで合意した。違反の詳細について、トランプ氏は明示していない。

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  4月の米前渡し商品貿易収支によると、輸入額は2760億9700万ドルと、前月の3444億7000万ドルから19.8%減少。前渡し商品貿易収支は876億ドルの赤字で、前月の1623億ドルから縮小した。

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  通商政策が二転三転することで先行きの不透明感は引き続き強く、消費者の支出姿勢も不安定な状態にある。一方で米金融当局は、関税が物価だけでなく労働市場や個人消費に与える影響がより明確になるまで、当面は政策金利を据え置く姿勢を示唆している。

  耐久財支出は減少したが、サービス支出が増加したことで全体の支出はプラスを維持した。

  エコノミストの間では、企業が関税引き上げ分を消費者にどの程度転嫁しているかが注目されている。食品とエネルギーを除いたコア財価格指数は前月比で0.3%上昇した。

  住宅とエネルギーを除くコアサービス価格指数は、前月比でわずかにマイナスとなった。注目度の高い同指数が低下するのは5年ぶり。

  雇用の伸びは昨年から鈍化傾向にあるものの、労働市場は依然として個人消費を支える主要な原動力となっている。実質可処分所得は2カ月連続で前月比0.7%増加した。

  名目の賃金・給与は3カ月連続で前月比約0.5%増。貯蓄率は4.9%に上昇し、約1年ぶりの高水準となった。

  統計の詳細は表をご覧ください。

原題:US Consumers Hit the Brakes While Goods Imports Sink by a Record(抜粋)

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