AppleとMicronが中国製メモリー巡り政権にロビー合戦。争点は米国外販売分への採用

Appleが進める中国製メモリーチップ採用の承認要請に対し、米Micronが阻止を求めるロビー活動を展開していることが明らかになりました。争点となっているのは、米国外で販売されるApple製品への採用の可否です。

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Appleは2026年6月、メモリ不足を理由に複数製品の値上げに踏み切っており、Tim Cook CEOも同月中旬、特定の中国サプライヤーへのアクセス制限を米国は再考すべきだと示唆していました。その後、6月下旬には中国DRAM大手CXMTからの調達承認を政権へ求めていることを米紙Wall Street Journalが報じ、7月上旬には英Financial TimesがNAND大手YMTCとの交渉やCXMT製DRAMのテストを伝えるなど、Appleの中国製メモリー調達は段階的に具体化してきました。

この働きかけはここ数週間で政権中枢への直接提案に進んでおり、WSJが関係者の話として伝えたところによると、Cook氏らApple幹部はトランプ大統領やLutnick商務長官、Bessent財務長官に対し、CXMTとYMTCのメモリーチップを米国外で販売するApple製品に採用する計画を売り込んでいるとのことです。CXMTとYMTCは米国防総省から「中国軍事企業」に指定されており、YMTCは輸出規制のエンティティリストにも掲載されていますが、これらの指定は米国外で販売される製品への採用まで必ずしも禁じるものではなく、Appleはこの余地を突く形で承認を求めています。

この提案に対し、米国唯一の大手メモリーメーカーであるMicronは阻止に向けたロビー活動を展開しています。Sanjay Mehrotra CEOら幹部はLutnick商務長官ら政権当局者に対し、販売地域を問わず中国企業から米テック企業への販売を容認すれば、中国が米国の鉄鋼・製造業を衰退させたのと同じように国内産業が破壊されかねないと警告し、あわせて国内工場の建設加速と米国への投資拡大によって不足の緩和に貢献できると主張したとのことです。実際に、CXMTは2026年末までにMicronに迫る生産能力へ到達する見通しで、Micronにとって、中国製メモリは脅威と言えます。

なお、このロビー合戦によってトランプ大統領が「米国消費者の物価引き下げ」と「国内半導体生産の拡大」という2つの優先課題の間で選択を迫られる可能性が高いとWSJは分析しています。ホワイトハウス報道官は「国家安全保障を守りながら、米国民のための投資と経済的救済を追求する」と述べるのみで、判断の方向性や時期は示していません。

政権の判断を待たず、規制緩和の観測だけでDell、HP、LenovoなどPC大手の発注はCXMTに殺到しており、受注枠の一部は2027年末まで埋まっています。仮に阻止となれば、Appleだけでなく業界全体で進むこの調達計画の前提が崩れる可能性があり、供給不足などに陥る恐れが有ります。

一方で承認に転んだとしても、CXMT製DDR5の価格は大手3社とほぼ同水準で、Appleの狙い自体も価格低減ではなく供給不足の回避とされているため、店頭のメモリ価格を押し下げる効果は期待薄です。

値上げ圧力の根本にある供給不足も、SK Hynixが2027年が最悪で、需給ギャップは2030年を超えても解消しないとの見通しを示している通り、政権の判断で埋まるものではなく、今回のロビー合戦の決着がどちらに転んでも、Apple製品をはじめとするガジェット類の価格高止まりは緩和されないと考えられます。

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