まるで中世の絶対王政!トランプが目指す「新王政主義」とは?世界を従属させエリートを囲う…インドのモディや中国の習近平、ロシアのプーチンにも見られるその要素(Wedge(ウェッジ))
2025年11月20日のCambridge University Pressにステイシー・ゴダードとアブラハム・ニューマンが連名で論説を投稿し、トランプ政権の振る舞いは一人の絶対的君主のもと少数のエリートが圧倒的力を持つ新王政主義のようであると説明している。 リベラルな国際秩序(LIO)が崩壊しつつあり、ウェストファリア体制的大国主義への回帰の可能性が論じられている。しかし、トランプ政権はロシアや中国と取引するなど競争ではなく共謀し、最も親しい同盟国が自国領土を治めることすら脅かしている。 貿易交渉は、トランプに最も近い人々が富力を搾取するために用いられている。そこで我々は「新王政主義」という少数の超エリートからなる「クリーク」(排他的小集団)によって形成される国際体系を提示する。 新王政主義はLIOともウェストファリア体制とも異なる。君主に忠誠を誓う政治、資産、軍事部門の支配的地位にあるエリートのクリークが中心で、彼らは経済的、文化的優位性を確立することで永続的な物質的恩恵と階層的地位を得ようとする。 トランプだけが新王政主義なのではない。インドのナレンドラ・モディ、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン、中国の習近平、ロシアのプーチン等にも新王政主義の要素がみられる。しかし、トランプはドルの国際金融体制や軍事力という無類の力の頂点におり、世界全体をにらんだ「世界秩序者」として世界を自分が望む形に変貌させ、再構築しようとしている。
絶対的君主というトランプのヴィジョン、親族、熱烈な忠誠者(スティーブン・ミラー大統領次席補佐官、クリスティ・ノエム国土安全保障長官)、秀でた超エリートの富豪(ピーター・ティール、PayPal、OpenAI、Palantir やマーク・アンドリーセン等のハイテクエリート)からなるクリークへの依存は米国の外交のみならず国際関係そのものを形成する。 新王政主義体制の目的は少数のクリークが支配的地位を維持できる仕組みをつくることである。主権の平等や不介入といった概念を拒絶し、クリークが支配的地位にあるとみなし、ライバルとなる「偉大なクリーク」しか同等とみなさない。 トランプは君主付クリーク外の人達には国際関係上の権威をほとんど認めない。カナダの首相を「知事」と呼び、グリーンランドを支配しようとするのは、カナダやデンマークを従属的な地位に置くためである。 トランプは一期目から欧州連合(EU)や欧州の米国の同盟国に敵意を抱いていた。EUを「敵」、「詐欺」と呼んだ。EUを目の敵にするのはLIOを非正当化する努力の一環である。 EUが協調的な法治体制を象徴しており、非正当化しなくてはならないからである。究極的には、絶対的統治者と資本、情報と力をコントロールする廷臣が結託することが新王政主義の持続力を決めることになる。たとえ新王政主義が体制としてLIOに取って代わることがなくとも、クリークたちの利権や理屈は新たな秩序に反映されることになろう。 * * *