こりゃセブンの「独り負け」が続くわ…ローソン・ファミマと明暗分かれた納得のワケ(ダイヤモンド・オンライン)
セブン-イレブンは店舗数も日販もなお業界トップだ。だが既存店売上高ではローソン、ファミリーマートに後れを取り始めた。規模では首位だが、なぜ勢いでは独り負け状態なのか。決済、AI発注、衣料品、おにぎり――各社の戦略を比較すると、「独り負け」が続く理由が見えてくる。(イトモス研究所所長 小倉健一) 【図版を見る】コンビニ3社比較「勢い」で後れを取ったセブン ● 規模では首位のセブンが 勢いでは独り負け セブン-イレブンが、はっきりと負け始めている。店舗数でも日販でも、まだ首位である。だが、伸びではローソンとファミリーマートに後れを取った。 2026年2月期の既存店売上高は、セブンが前期比1.2%増、ファミマが3.0%増、ローソンが4.5%増だった。客数はセブンが0.9%減、ファミマも1.2%減った一方、ローソンは0.8%増えた。セブン-イレブン・ジャパン(国内コンビニ事業)の営業利益も減益だった。 1店あたりの日販は、なおセブンが約69万9000円で、ローソンの約59万8000円、ファミマの約58万5000円を上回る。だが、ローソンの2026年2月期は事業利益1123億円、純利益652億円となり、続く3〜5月期も事業利益が19.3%増えた。ファミマも連結事業利益が1002億円と過去最高となり、平均加盟店利益は3年連続で最高を更新した。 規模の首位と、勢いの首位が別の会社になったのである。この変化を、過去の強さだけで打ち消すことはできない。 理由は単純だ。
● ローソンとファミマで 成功したものを取り入れるばかり 今のセブンには、他社を驚かせる新しい一手がない。目につくのは、ローソンやファミマで成功したものを、後から取り入れる姿ばかりである。 まず、決済とポイントだ。セブンにはnanacoがある。全国2万店を超える店舗網があり、セブン銀行、カード、アプリ、通販まで抱えている。本来なら、これほど強い顧客基盤はない。 ところが、nanacoを「ポイントを使いたいからセブンへ行く」という強い来店動機に育てたとは言い難い。これは公開データだけで厳密に証明できる話ではなく、私の経営評価である。だが、2026年7月に報じられた外部資本との協議は、その弱さを象徴している。 報道によれば、ソフトバンクとPayPayなどが最大3000億円規模の出資を協議し、SMFG傘下の三井住友カードも参加を検討している。PayPayの顧客基盤やソフトバンクのAI技術を、次世代店舗の開発などに生かす構想だという。 提携自体は合理的である。足りない力を外から借りるのは経営の基本だ。しかし、自前の決済、ポイント、会員IDを長年持ちながら、それを十分な武器にできなかった裏返しでもある。nanacoで築けなかった広がりを、PayPayに助けてもらう。私にはそう見える。 ● AI発注でも ローソンとセブンに差 AI発注にも同じにおいがある。 ローソンの「AI.CO」は、おにぎり、弁当、調理パン、麺、総菜、デザートなど、販売期限が短い商品を中心に、品ぞろえ、発注数、値引きの時間と金額まで一つにつないでいる。欠品による売り逃しと、売れ残りによる廃棄を同時に減らす仕組みである。 ローソンは2015年から半自動発注を始め、天候、気温、顧客の購買実績、本部の販促などを使いながら、約10年かけて仕組みを磨いてきた。2024年には約1万4000店への導入を終えた。単にAIを入れたのではない。現場でフル活用し、品ぞろえや加盟店利益の改善につなげてきたのである。