俳優・庄司浩平さんスペシャルインタビュー「走り続けるその先に」
2026年は3クール連続で話題作に出演する、注目の若手俳優・庄司浩平さん。堅実なリアリストにして、ときに大胆素敵な冒険者。その舞台裏にあるのは、決して勢いだけでは走りださない、慎重なリスクヘッジという名の“合理性”。「運が8割」と謙遜する視線の先に見える、こだわりの熱を追いかけて。
庄司 浩平さん
俳優
(しょうじ こうへい)1999年生まれ、東京都出身。2020年、特撮ドラマ『魔進戦隊キラメイジャー』(EX)で俳優デビュー。'22年、〈Yohji Yamamoto POUR HOMME 22-23AW COLLECTION〉にモデルとして出演。特撮ドラマ『仮面ライダーガヴ』('25年/EX)への出演で注目を集め、ドラマ『40までにしたい10のこと』('25年/TX)で一躍人気に。'26年はドラマ『余命3ヶ月のサレ夫』(EX)、『Tシャツが乾くまで』(TBS)、『俺たちの箱根駅伝』(NTV)と話題作に出演。ドラマ10『熊は嘘(うそ)をつかない』('27年/NHK)への出演も決定。'25年に初の本格小説『なつのさくら』を発表。現在、雑誌・Webメディアで5本の連載をもつ。趣味は料理。秘書検定2級、上級食育アドバイザーを所持している。
猪突猛進タイプながらリスクヘッジも欠かさない
朝の光が柔らかく広がる撮影スタジオに、188センチの長身で、さりげなく現れた庄司浩平さん。纏っていたのは、今をときめく若手俳優ならではの勢いよりも、現場の空気をふっと軽くし、適度な距離感でこちらの懐へするりと入ってくるような大人の物腰だった。今年27歳を迎える庄司さんは、俳優、モデル、もの書きと、ときに偶発的に、ときに精力的に拓いてきた仕事人生の転機に際して、父ゆずりの“経済的合理性”を発揮してきたと振り返る。
根本的に、仕事に対しては「生きていくための経済活動」という感覚があるんです
人生で最初に憧れたのは、俳優でもモデルでもなく、職人だったという庄司さん。
「小1くらいのときに、お風呂の中で父親に『家を造る人ってかっこいいかも』と無邪気に話したら、『それなら一級建築士を目指しなさい』と言われたんです。『やりたい仕事をしてもいい。だが、長く働いていくのなら、計画や立案に携わって、安定した生活を送れるほうが安心だ』と。そこから仕事選びの際には“その仕事で食べていけるか”を軸にしてきた気がします」
大学では留学を目指し、TOEFLに向けて猛勉強。そんなさなかにスカウトされ、特撮ドラマのオーディションに合格する。
「事務所の方のすすめで、『魔進戦隊キラメイジャー』のオーディションを受けました。最初は、“社会経験の一環”という感覚だったんです。もし不合格でも、そのまま留学してしまえば、事務所入りの話はうやむやになるだろうと、そんな逃げ切りプランがパッと浮かんで。ところが、思いがけず合格できて。コロナ禍で先行きが見えないなかで、決まった仕事はお受けしようと、未知の世界に飛び込みました。
俳優を始めても、辞める選択肢は常に視野に入れていました。仕事がぱったり途絶えてしまって。モデルとして”ヨウジヤマモト“のショーの出演経験があったので、単身ミラノへ売り込みに行ったり。何か仕事のタネになるようなことをしなくてはと、noteで執筆を始めてみたり。あれこれ試行錯誤するうちに、ドラマ『君とゆきて咲く〜新選組青春録〜』の公開オーディションに合格できた。そこからですね、仕事人生の流れが徐々に変わっていったのは」
ニット¥60,500(バーニーズ ニューヨーク〈ピッピオリーノ〉)、その他/スタイリスト私物
ブレイク俳優として世の中に見出されて
転機となったのは、ドラマ『40までにしたい10のこと』への出演だった。スーツ姿とメガネのハマりぶりが絶賛されるなど、ビジュアルのインパクトに加えて、役を生きる自然な演技も注目を集めた。庄司さん自身は、ディスカッション重視の現場で、ドラマづくりの奥深さを知ったという。「原作への敬意を大切にしつつ、漫画的な魅力と現実味のある芝居を両立させるなかで、リアルとファンタジーの境界線をどううまく反復横跳びしていくのか。主演の風間俊介さんや監督の池田千尋さんから、たくさん学ばせていただきました。“ものづくりって面白い!”と目覚めた感がありました。
実は、同時期に特撮ドラマの『仮面ライダーガヴ』にも出演しておりまして。人気キャラクターを演じたおかげで、そちらも注目していただけた。同時期にOAされていたので、両方を見てくださった視聴者の方もいらしたようなんです。ブレイクのきっかけを自分なりに考察するならば、作品同士の相乗効果も含めて、運が8割じゃないかなと、そんなふうに思っています」
自主的な執筆活動は未来に向けた種蒔きのように“透明な土台”をつくってくれました
箱根ランナーの如く疾走していく先の未来
10月スタートの池井戸潤原作ドラマ『俺たちの箱根駅伝』では、関東学生連合チームのランナー・猪又丈を演じる庄司さん。
「本戦出場を逃した学校からの選抜による〝学生連合〟は、スタートから敗者のチームなんです。たとえ区間記録を出しても参考記録で歴史には残らない。形に残らないものにどう向き合うのか。さらに、学生連合のなかでも出場できない選手がいる切なさ。自分は走れないけれどチームのみんなを応援する。僕自身、高校時代はバスケ部のベンチメンバーだったので共感するものがありました。大人たちに、忘れていたものを思い出させるような物語にご注目ください」
ジャケット¥132,000・シャツ¥44,000・パンツ¥57,200・ネクタイ¥15,400・靴¥132,000(ジョン ローレンス サリバン〈ジョン ローレンス サリバン〉)
気付けば仕事の依頼は途切れることなく、自主的な執筆活動は、庄司さんいわく“透明な土台”となって、連載や小説の仕事につながった。今後の展望を尋ねてみると…。「基本的に、求められることに対して、全力で応えていくだけです。去年の今頃は現在の状況を想像できませんでした。これからも変化はあるでしょうし、自分自身も成長したい。この仕事は人から過剰にほめられたり、反対に叩かれたりする可能性もある職業なので、自分ではどうすることもできないアンコントローラブルなものとは、あえて距離をおくようにしているんです。
中学時代、親から『10人いたら、9人がお前を好きだという同じ理由で1人はお前を嫌いになるものだ』と言われたことがあるんです。最近は“世の中はコントロールできないことが大半。悩んでも仕方ない”と気付いて、少し気が楽になりました。それでも、ガツンといけるときもあれば、ウルトラリスクヘッジするときもあるんですが(笑)」
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- 取材・文 :
- 谷畑まゆみ