2026年F1バーレーンテスト2総括:数値が描く勢力図の輪郭、最速タイム&周回数を総集計
2月20日(金)の最終6日目のセッション終了を以て、2026年シーズンの開幕戦に向けた全てのF1プレシーズンテスト日程が終了した。ここでは、第2回バーレーンテストにおけるドライバー/チーム/エンジン別の周回数や最速ラップタイムをまとめつつ、各チーム/陣営の開幕戦に向けた準備状況と勢力図の輪郭を探る。
最速ラップタイム
第1回テストと同様、最もタイムが遅かったのはアストンマーティン・ホンダとフェルナンド・アロンソだった。一方、最速の座はメルセデスからフェラーリへと移った。テスト終了まで残り30分というタイミングで、シャルル・ルクレールは全セクターでパープルを連発し、1分31秒992というベンチマークを叩き出した。
もっとも、このタイムはC4タイヤでの計測によるものであり、いわゆる“ビッグ4”の中でC4タイヤでベストラップを記録したチームは他になかった。
Courtesy Of Ferrari S.p.A.
シャルル・ルクレール(フェラーリSF-26)、2026年2月20日 F1プレシーズンテスト6日目(バーレーン・インターナショナル・サーキット)
それでもフェラーリSF-26の速さは明白で、5日目を除けば目立った技術的トラブルもなく順調にプログラムを消化した。さらに「ネオ・エキゾースト・ブローイング」や「反転フラップ」といった革新的なアイデアも披露し、スタート練習では非常に良好な加速を見せた。優勝候補の筆頭とまでは言い切れないものの、先頭争いの一角を担う存在であることは間違いない。
メルセデスはタイムシート上では後退し、信頼性面での課題も露呈したが、レースシミュレーションでのペースを見る限り、フェラーリより優位に映る。マクラーレンとレッドブルはほぼ互角の様相だが、“ビッグ4”内の明確な序列を判断するには開幕戦を待つ必要がある。
トップ4チームの後方には大きなギャップが存在するとみられるが、現時点で「ベスト・オブ・ザ・レスト」の座を争うのはハースとアルピーヌになりそうだ。レーシング・ブルズ、ウィリアムズ、そしてアウディも中団争いに加わる可能性が高い。
Courtesy Of Haas
ハースの2026年型F1マシン「VF-26」をドライブするオリバー・ベアマン、2026年2月18日F1プレシーズンテスト4日目(バーレーン・インターナショナル・サーキット)
ドライバー別:最速ルクレール、最遅アロンソ
順位 ドライバー タイム 差 タイヤ DAY 1 シャルル・ルクレール 1:31.992 0.000 C4 6 2 アンドレア・キミ・アントネッリ 1:32.803 0.811 C3 5 3 オスカー・ピアストリ 1:32.861 0.869 C3 5 4 ランド・ノリス 1:32.871 0.879 C3 6 5 マックス・フェルスタッペン 1:33.109 1.117 C3 6 6 ジョージ・ラッセル 1:33.197 1.205 C3 6 7 ルイス・ハミルトン 1:33.408 1.416 C3 5 8 ピエール・ガスリー 1:33.421 1.429 C5 6 9 オリバー・ベアマン 1:33.487 1.495 C4 6 10 ガブリエル・ボルトレート 1:33.755 1.763 C4 6 11 フランコ・コラピント 1:33.818 1.826 C5 5 12 ニコ・ヒュルケンベルグ 1:33.987 1.995 C4 5 13 アーヴィッド・リンブラッド 1:34.149 2.157 C4 6 14 エステバン・オコン 1:34.201 2.209 C4 5 15 アイザック・ハジャー 1:34.260 2.268 C4 4 16 カルロス・サインツ 1:34.342 2.350 C5 6 17 リアム・ローソン 1:34.532 2.540 C4 5 18 アレックス・アルボン 1:34.555 2.563 C5 5 19 バルテリ・ボッタス 1:35.290 3.298 C3 6 20 セルジオ・ペレス 1:35.369 3.377 C5 5 21 ランス・ストロール 1:35.974 3.982 C3 4 22 フェルナンド・アロンソ 1:36.536 4.544 C3 4 順位 チーム タイム 差 タイヤ DAY 1 フェラーリシャルル・ルクレール 1:31.992 0.000 C4 6 2 メルセデスアンドレア・キミ・アントネッリ 1:32.803 0.811 C3 5 3 マクラーレンオスカー・ピアストリ 1:32.861 0.869 C3 5 4 レッドブルマックス・フェルスタッペン 1:33.109 1.117 C3 6 5 アルピーヌピエール・ガスリー 1:33.421 1.429 C5 6 6 ハースオリバー・ベアマン 1:33.487 1.495 C4 6 7 アウディガブリエル・ボルトレート 1:33.755 1.763 C4 6 8 レーシングブルズアーヴィッド・リンブラッド 1:34.149 2.157 C4 6 9 ウィリアムズカルロス・サインツ 1:34.342 2.350 C5 6 10 キャデラックバルテリ・ボッタス 1:35.290 3.298 C3 6 11 アストンマーティンランス・ストロール 1:35.974 3.982 C3 4アストンマーティン・ホンダは開幕を目前にして極めて厳しい状況に置かれている。第2回テストでは、前回テスト(206周)を大きく下回るわずか128周にとどまった。特にランス・ストロールは厳しい状況にあり、3日間のテストでわずか32周しか走行できなかった。
Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited
ガレージ内で作業を見守るアストンマーティンのF1チーム代表兼マネージング・テクニカル・パートナーを務めるエイドリアン・ニューウェイ、2026年2月20日 F1プレシーズンテスト6日目(バーレーン・インターナショナル・サーキット)
ホンダ製パワーユニット(PU)の継続的な信頼性問題、とりわけバッテリー関連のトラブルおよびパーツ不足により十分な走行距離を確保できず、AMR26の本来の実力を正確に把握することすらできていない。あくまで噂の域を出ないが、ホンダPUは15kg近い重量超過にあるともされ、信頼性のみならず出力面でも課題を抱えているとの見方がある。
最終日にわずか6周しか走行できなかったことは壊滅的であり、開幕戦では新規参戦のキャデラックからプレッシャーを受ける可能性すらある。実際、フェルナンド・アロンソのレースペースはトップチーム勢から4秒近く遅れていた。
もちろん、挽回の機会がないわけではない。チームは現状を踏まえて計画を再考しており、ホンダもADUO(追加開発・アップグレード機会)を活用できる余地がある。ただしそれでもなお、少なくとも2026年シーズン序盤は厳しい戦いとなる可能性が高い。
一方、メルセデスは最終日にニューマチック圧の低下により赤旗の原因となり、パワーユニット交換を余儀なくされるなど信頼性の課題を露呈したが、それでも全チーム最多の437周を重ねた。これはアストンの約3.4倍に相当する。
チーム別:最多メルセデス、最少アストン
順位 チーム 周回数 差 距離(km) 1 メルセデス 437 0 2,365 2 ハース 412 -25 2,230 3 レーシングブルズ 407 -30 2,203 4 マクラーレン 402 -35 2,176 5 ウィリアムズ 372 -65 2,013 6 アルピーヌ 363 -74 1,965 7 アウディ 358 -79 1,937 8 レッドブル 333 -104 1,802 9 フェラーリ 330 -107 1,786 10 キャデラック 270 -167 1,461 11 アストンマーティン 128 -309 693エンジンメーカー別の総周回数も、バルセロナでのシェイクダウンを含む今季すべてのプレシーズンテストを通じて、最多がメルセデス、最少がホンダという構図に変わりはない。ただし、回を追うごとに両者の走行距離の差は拡大していった。
第1回テストでの差は6,743kmだったが、今回は7,825kmにまで広がった。同じ1チーム供給体制のアウディに対しても、1,244kmもの差をつけられた。1チームあたりの周回数に換算しても、ホンダが飛び抜けて遅れを取っていることがよく分かる。
Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.
メルセデスW17をドライブするジョージ・ラッセル、2026年2月20日 F1プレシーズンテスト6日目(バーレーン・インターナショナル・サーキット)
Courtesy Of Red Bull Content Pool
ガレージ内で走行準備を進めるアーヴィッド・リンブラッド(レーシング・ブルズ)、2026年2月20日 F1プレシーズンテスト6日目(バーレーン・インターナショナル・サーキット)
ベテランコンビを擁するチームが周回数よりも実戦向けのプログラムに取り組むなか、レーシング・ブルズは今季唯一のルーキーの習熟を重視した。アーヴィッド・リンブラッドは最多240周を記録。最終日のセッション後には「本当に疲れた」と振り返った。
対照的にアストンの2人のドライバーはいずれも100周にすら届かなかった。エネルギーマネジメントの観点から、これまでにない多種多様なドライビングが求められているだけに、走行不足がドライバーに与える影響も小さくない。
順位 ドライバー 周回数 差 距離(km) 1 アーヴィッド・リンブラッド 240 0 1,299 2 ジョージ・ラッセル 237 -3 1,283 3 オスカー・ピアストリ 227 -13 1,229 4 エステバン・オコン 211 -29 1,142 5 マックス・フェルスタッペン 207 -33 1,120 6 シャルル・ルクレール 202 -38 1,093 7 オリバー・ベアマン 201 -39 1,088 8 アンドレア・キミ・アントネッリ 200 -40 1,082 9 カルロス・サインツ 197 -43 1,066 10 ニコ・ヒュルケンベルグ 186 -54 1,007 11 フランコ・コラピント 184 -56 996 12 ピエール・ガスリー 179 -61 969 13 アレックス・アルボン 175 -65 947 14 ランド・ノリス 175 -65 947 15 ガブリエル・ボルトレート 172 -68 931 16 リアム・ローソン 167 -73 904 17 セルジオ・ペレス 138 -102 747 18 バルテリ・ボッタス 132 -108 714 19 ルイス・ハミルトン 128 -112 693 20 アイザック・ハジャー 126 -114 682 21 フェルナンド・アロンソ 96 -144 520 22 ランス・ストロール 32 -208 173