小泉大臣の“備蓄米放出”に、街の米店から“怒りの声”(テレビ朝日系(ANN))
28日朝、自民党で行われた農業推進委員会。小泉農水大臣は、備蓄米の随意契約の対象について新たな発表をしました。 「多くの皆さんも『次はここじゃないか』と言われていた町のお米屋さん、中小のスーパーに今後は対象を広げる形で隅々まで備蓄米が届いていくように頑張っていきたい」 ところが、日々、目まぐるしく変わる小泉大臣の発言に町のスーパーマーケットや米店からは、怒りの声が続々とあがっています。 「我々コメ屋としてはとんでもないやり方。怒りを感じる」 「平等性に欠けていたのではないか」 27日の夜遅く、急きょ会見した小泉大臣の発言です。 「大変ありがたいことに、いま備蓄米の随意契約への申し込みが非常に盛況で現時点で約70社。令和4(2022)年産米の約20万tに到達をする見込みになった。いったん随意契約の現時点の大手小売り対象のものは休止をしたうえで、20万tを超える部分はこれから令和3(2021)年産米に対象がなるので、より価格も安くなる」 今回、随意契約で放出する備蓄米30万トンのうち、2022年産の“古古米”は20万トン。27日の夜の時点で大手小売業者など、およそ70社から申し込みがあり、その多くが、2022年産米を希望したため、20万トンに到達する見込みだといいます。 そのため、大手小売業者の申し込みを休止して、残った2021年産のいわゆる“古古古米”については、売り渡す対象を変更すると明かしました。 「残りの10万tのうちの令和3(2021)年産米の対象としては、いままで対象とならなかった中小のスーパー、町のお米屋さん、大手ではないところを対象に新たな随意契約を早ければ金曜日再開したい」
2021年産の“古古古米”は随意契約の対象を、今後、中小のスーパーや町の精米店に変更するとしています。 ただ、これまで随意契約の対象になっていなかった町のスーパーを取材すると、疑問の声が。 ベニースーパー 赤津友弥本部長 「中小スーパーに対しては、大手に配るコメよりも古いコメを対象として配るということでその違いは何なのかと、非常に疑問に感じる。(大手小売りと)1年、古さが違うものを取り扱わなければいけない、もしくは販売しなくてはいけない状況になってしまうと、非常に店としても、その評判を気にせざるを得ない。平等性に欠けていたのではないかと」 仙台市のコメ店は随意契約の対象を当初、大手小売業者に絞ったことについて憤ります。 米工房いわい 岩井宏太会長 「今回は 卸売店も通さないで直接 一発で大手に行ってしまって、それはとんでもないやり方で我々は最高の怒りを感じる」 今後、“古古古米”の備蓄米が町のコメ店にも売り渡される方針については。 「それはそれなりに仕入れが多くなれば、お客さんの選択肢があるから、それはそれで構わないが、お客さんがどう判断するからは未知数。買うか買わないかは分からない。全然。お客さんの声を聞いたことがないから」 今後、スーパーなどの店頭に並ぶ備蓄米は、主に3種類です。 1つは、これまでの競争入札で落札された備蓄米。2023年産の“古米”がメインのものでは、店頭価格は5キロ3500円前後で売られています。 そして、今回の随意契約によって来週にも大手小売業者などの店頭に並ぶのが、2022年産の“古古米”です。2000円ほどで売られるとされています。 さらに、今後、新たな随意契約では、2021年産の“古古古米”が中小のスーパーや町の精米店に売り渡される方針です。価格は税抜き1800円ほどになるといいます。 「これから出していくコメは 今までの備蓄米とは違う。古米、古古米、古古古米があるが消費者の皆さんにどのように選択してもらうかは、それぞれ多様な消費者の判断があるんだろうと」
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古いコメの備蓄米を買うのかどうか、町の人に聞くと。 70代 「私たちは年金生活だからそんなに裕福ではないが、古米がでたというのはちょっとわからない」 50代 「古米はちょっと悪いイメージがあってあまり食べたくない。でも仕方なかったら買っちゃうかも」 80代 「(Q.1800円前後の備蓄米は)それは買わない」 30代 「心配。味が…」
備蓄米の普及が今後、加速していくなか、 気になるのは古いコメの味です。 広島県の卸売り業者で行われた、備蓄米の試食会です。 食べ比べするのは6種類。2023年産の備蓄米100%に2024年産の銘柄米100%、その他は銘柄米と“古米”の備蓄米を比率を変えてブレンドしています。 参加したのは「米飯食味評価精度試験」に合格したエキスパートたちや、「五つ星お米マイスター」など、総勢20人ほどです。 どのコメかは明かさずに、食べ比べした結果は。 卸売業者 食協 武信和也社長 「(試食Dが)一番悪い。美味しくなかったが7人集中。古米(備蓄米)100%は食味的に力がないかな」 最下位は2023年産の“古米”100%の備蓄米でした。 「ブレンドしないといけない。(試食)データから備蓄米(古米)100%は商品化は厳しい」
随意契約に申し込みをした大手小売業者を取材しました。九州を中心に57店舗を展開するディスカウントストア 「ミスターマックス」です。 今回、申し入れた備蓄米は2022年産の“古古米”のみで、数量は5000トンです。精米の過程で1割ほど量が減るとした場合、5キロ袋では、およそ90万袋にも及びます。小泉大臣のいう2000円を下回る価格で売る方針です。 「具体的な金額は検討中だが、政府が見込んでいる5kg税抜き2000円ほどの価格より少しでもお買い得と感じていただけるように、5kgあたり税抜き1000円台で販売できるよう調整を行う。6月初旬から全57店舗での販売を目指している」
テレビ朝日