「サナ活」で熱狂、落胆も 高市総裁選出1年、支持率が命綱
東京・秋葉原駅前に集まった約3000人の聴衆をかき分けると、その先に「推し」の姿が見えた。
「高市旋風」が吹き荒れ、自民党に歴史的大勝をもたらした衆院選。公示日の1月27日朝だった。都内の大学に通う女性(22)は、駅前で第一声に臨んだ高市早苗首相を見つめていた。
「奈良県の、田舎の、普通の共働きのサラリーマン家庭で育ちました。地盤も看板もカバンもありません。それでも、私にはつくりたい日本の姿があった」
紺色のスーツ姿で街宣車の上に現れた高市氏はマイクを握り、語りかけた。
「本物の高市さんだ」
スマートフォンやテレビの画面越しに見てきた首相を目の前にし、女性の胸は高鳴った。
留学経験があり、国際化が進む中で日本のあり方に不安を感じる一方、政治自体への関心は薄かった。2年ほど前、ユーチューブのショート動画で高市氏が関西弁を交えて日本の将来について軽快に話す姿が目に留まった。公式サイトのコラム(現在は削除)も読み、「こんなに日本が好きな政治家がいるのか。高市さんが日本を変えてくれるんじゃないか」と感じ、初めて選挙の街頭演説に参加した。
高市氏は昨年10月4日の自民総裁選で勝利し、21日に内閣を発足させた。女性初の首相誕生は大きな話題となり、若い世代を中心に、首相の愛用品を買い求める「サナ活」現象が広がった。
女性も、首相が官邸入りの際に持つ黒い革製のトートバッグをテレビで見かけ注文しようとしたが、品切れだった。製造元の「浜野皮革工芸」(東京)によると、首相就任直後、オンラインストアでは同じモデルのバッグがわずか1日で1カ月分の生産量が売れるほどの人気ぶりだったという。
学生時代に学費を自ら稼いでいたという経歴も、アルバイトなどで学費をまかなう自身と重なった。世襲議員が多い中、首相まで上り詰めた高市氏を「バイタリティーあふれる女性のロールモデル」と受け止め、「自分の国を自分たちの力で強く、発展させていく」という姿勢に魅力を感じた。
安倍晋三元首相の死去後、自民で高市氏ほど保守・タカ派路線や積極財政を鮮明に訴える有力政治家は見当たらない。前例にとらわれない発言は物議を醸すこともある。昨年11月に国会で、台湾有事は日本が集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」になり得ると答弁し、中国との関係が悪化した。
女性は「高市さんはハッキリとものを言うので批判も出やすいが、他の政治家が言うべきことを言ってこなかったツケだ」と擁護。1年間の政権運営について「これまでの首相より何倍も仕事をしているように見える」と話した。
支持率を支えるのは「期待感」
高市内閣は依然として高い支持率を保つ。毎日新聞の世論調査では、発足当初に65%以上が続いた支持率は今年9月時点で45%と徐々に下がっているものの、不支持の40%を上回る。
旧派閥などの支持グループを持たず、党内基盤が弱い首相にとって「支持率だけが政権運営の命綱」(自民幹部)だ。ただ支持率は政策への評価よりも、首相個人への期待感で支えられている。9月調査の回答者の支持理由は「首相の指導力に期待する」が43%で最も多く、「政策に期待できる」は18%にとどまった。一方、不支持の理由は「政策に期待できない」が46%と最多を占めた。
牧原出・東大先端科学技術研究センター教授(政治学)は、首相への支持の背景について「何かを…
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