東南アジアやスリランカで豪雨、死者1000人近くに-深刻な異常気象
アジアで発生した深刻な異常気象により、これまでに1000人近くが死亡した。豪雨や洪水、地滑りでインドネシアやスリランカが最も大きな被害を受けた。
この時期に東南アジアに大雨をもたらす北東モンスーンと重なって発生した3つの熱帯低気圧が、域内で広範な被害を及ぼした。米気候予測センターのデータによれば、マレーシア半島部とタイ南部でもこの1週間で平年を大幅に上回る降雨が観測された。
インドネシアのスマトラ島では、サイクロンの影響で勢いを増した1週間にわたる集中豪雨により、少なくとも442人が死亡、402人が行方不明となっている。救助隊がボートやヘリコプターを使って被災地に向かう中、死傷者はさらに増える可能性がある。香港天文台によると、マラッカ海峡付近に先週停滞していたサイクロン「セニャール」は南シナ海上で消失した。
ジャカルタ・ポストによれば、インドネシア国家防災庁のスハリヤント長官は11月30日の会見で、道路の寸断や通信網の障害が救助・救援活動を複雑にしていると述べた。
インフラの損壊も広範囲に及び、複数の村へのアクセスが断たれたため、当局は物資輸送にヘリコプターや海軍の船舶を投入している。住民は今回の洪水を「生涯で最悪」と表現し、一部の家屋は屋根まで浸水している。
一方、セニャールによる被害を受け、ペトロン・マレーシア・リファイニング・アンド・マーケティングは、製油所の稼働を停止したと届け出で明らかにした。
タイ南部では豪雨による洪水で176人が死亡、200万世帯以上に影響が出ていると当局が発表した。クルンシー・リサーチによると、経済損失は推計で236億バーツ(約1150億円)に上り、ホテルやレストランへの打撃が目立っている。ゴムやパーム油の生産にも深刻な被害が広がっている。
香港天文台によると、今回の大雨の一因となったセニャールは、2001年に同海域を通過し甚大な被害をもたらした台風26号以来、マラッカ海峡で発生した最初のサイクロンだった。
赤道近くではコリオリの力と呼ばれる地球の自転による回転の影響が弱まるため、サイクロンの発生はまれだ。だが、同天文台は海峡の海水温の高さなど複数の条件が重なり、セニャールの発生につながったと説明した。
原題:Severe Storms Kill Nearly 1,000 in Southeast Asia, Sri Lanka (3)(抜粋)
— 取材協力 Anisah Shukry, Anusha Ondaatjie, Chandra Asmara, Pathom Sangwongwanich and Yasufumi Saito