インタビュー:トランプ関税の影響、当初想定より2割縮小=コマツ社長
コマツが4月に公表した2026年3月期の連結純利益(米国会計基準)は前年比約30%減の3090億円になる見通しで、関税のマイナス影響は943億円と織り込んだ。今吉氏は、米中両政府が相互に課していた追加関税を90日間引き下げることで合意したことに触れ、これにより「200億円弱影響は小さくなる」と述べた。
コマツの海外売上高比率は約9割で、うち北米が3割弱を占める最大市場となっている。米国向けの機械は、約半分を現地で生産し、残りの半分は主に日本、タイ、ブラジルから輸入しているほか、中国からも鋳物などの部材を調達している。
中期的な供給体制の見直しも進める。一般建機については、米国経由でカナダに輸出していた製品を、直送する形にすでに変更。中南米向け製品についても直送化も視野に入れている。関税は東南アジア諸国にも適用されているが、例えば中国でタイ向けを生産し、タイで米国向けを生産など、工夫することで関税の差により負担を軽減できる可能性があるとし、今後の動向を見つつ、検討していく。
一方で、米国の生産拠点を安易に拡大する考えはないという。「米国の鋼材価格は圧倒的に高く、競争力がなくなる」と述べ、関税だけを理由に生産能力を米国へ移すことはないと説明した。
「耐久性と信頼性では(コマツに)優位性があるが、標準的な性能においては中国製もかなり追い上げており、標準的な性能を備えた機械の初期コストの低さという点では相当程度追いついている。電動化の分野では、むしろ中国が進んでいる」とみる。
コマツは、4月に社長に就任した今吉氏の下で、28年3月期を最終年度とする中期経営計画を公表した。財務目標にフリーキャッシュフローを新たに導入。3年間で累計1兆円の創出を目指す方針を掲げ、成長投資と株主還元にバランスよく活用していくとしており、機会があれば企業買収にも充てる考えだ。
今吉氏は、特に、電動化に対応する技術や自動化をはじめとするソフトウエア領域の拡充に向けては、買収も含めた強化が必要との認識を示した。
※インタビューは21日に実施しました。
(浦中美穂、小宮貫太郎 編集:久保信博)
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Kantaro writes about everything from Japan's economic indicators to North Korea's missiles to global regulation on AI companies. His previous stories have been published in the Associated Press, Bloomberg, the Japan Times and Rest of World. A Tokyo native, Kantaro graduated from DePauw University in the United States and was the recipient of the Overseas Press Club Foundation 2020 Scholar Award.