「体型まで完璧」「まんま過ぎる」ファンも納得のハマり役だった実写化映画

実写映画においてキャラクターの再現度の高さは、ファンが注目するポイントのひとつです。なかには、高い演技力と再現度によってファンから「ハマり役」と称賛され、支持を集めた作品もありました。

柴咲コウさん(2022年3月、時事通信フォト)

 人気マンガが原作の実写映画は、そのキャスティングがイメージと異なると、否定的な意見が出ることも少なくありません。一方で、演技やビジュアルで高い再現度を見せた作品もあり、さまざまな作品が絶賛されたこともありました。特に再現が難しそうな役で、評価が高かった女優を振り返ります。

●『NANA』大崎ナナ(演:中島美嘉)

 累計発行部数5000万部を超える人気少女マンガ『NANA―ナナ―』(作:矢沢あい)は、ふたりの「ナナ」を中心に、友情や恋愛、成長や挫折を描いた作品です。同作の実写版映画は2005年に第1作『NANA』、2006年に第2作『NANA2』が公開されました。

 なかでも、ファンからハマり役といわれたのが、中島美嘉さんが演じる「BLACK STONES」のボーカリストで、ふたりの「ナナ」のうちのひとり、「大崎ナナ」です。ナナはセンター分けの黒髪ショートヘアで、ロックバンドらしいパンクファッションをしています。中島さんはこのビジュアルを見事に再現しており、「原作から出てきたみたい」「体型や歌もマッチしていてまんますぎる」と、絶賛の声があがりました。

 また、ライブシーンも中島さんの高い歌唱力と、披露した楽曲「GLAMOROUS SKY」がカッコいいと好評です。本曲は、作詞を原作者の矢沢先生が担当し、作曲とプロデュースを「L’Arc~en~Ciel」のボーカルであるHYDEさんが手掛けました。

●『大奥』徳川吉宗(演:柴咲コウ)

 人気マンガ『大奥』(作:よしながふみ)は、奇病が蔓延して男子の数が極端に減少し、女性が征夷大将軍を務めるようになった江戸時代を舞台に、美男を集めた「大奥」を描いた物語です。国内外から高く評価され、実写映画やドラマ、TVアニメが制作されています。

 特に2010年に公開された映画版では、柴咲コウさんが八代将軍「徳川吉宗」を演じ、「ハマり役」と評判を呼びました。吉宗は気高く頭脳明晰で、周囲に流されず大胆な判断を下す人物です。目鼻立ちがはっきりした柴咲さんは、背筋が伸びるような緊張感と凛とした佇まいで、勇ましい吉宗を再現しました。

 なお、本作の映画化は公開の約5年前から企画が進められており、そのときからすでに吉宗役には柴咲さんの名前が挙がっていたそうです。原作者のよしなが先生も望んだという柴咲さんの吉宗役は、ファンからも「気高い雰囲気がぴったり」「オーラが違う」と評されるなど、素晴らしい配役だったといえるでしょう。

●『累 -かさね-』丹沢ニナ(演:土屋太鳳)

 2018年に公開された映画『累 -かさね-』(原作:松浦だるま)は、塗ってキスをすると相手の顔と入れ替わる口紅を使い、ふたりの少女が短所を補い合って大女優を目指すストーリーです。顔に傷があり、醜い容姿ながら優れた演技力を持つ「淵累」役を芳根京子さんが、美貌を持ちながら演技力に欠ける「丹沢ニナ」役を土屋太鳳さんが演じました。

 顔を入れ替えるという設定上、2役を演じることになる高い難度の役柄ですが、ふたりとも明確にキャラを演じ分けています。特に土屋さんは、日常のシーンに加え、舞台に立つ姿も入れ替わる前後での、累とニナの演技力の差を表現し称賛を受けました。なかでも、終盤の劇中劇「サロメ」のダンスシーンは、妖艶さのなかに狂気が入り混じり、圧巻の一言です。

 本作を観た人からは、「入れ替わってもはっきり識別できる、主演ふたりの演技力に惹かれた」「最初はお互いのためにやっていたのに、次第に累がニナを乗っ取っていく姿が恐ろしい。最後まで惹きつけられた」と、絶賛の声が絶えません。

(LUIS FIELD)

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