中国が打ち上げた衛星、スターリンク衛星に「危険なほど接近」-200メートルまで近づく

 米Space Exploration Technologies(SpaceX、スペースX)は米国時間12月12日、同社の衛星と中国の宇宙機が「危険なほど接近した」と公式のX(旧Twitter)アカウントで明かした。

 今回の接近は、中国の「力箭1号」(Kinetica-1、Lijian-1)ロケットに搭載されて12月9日に打ち上げられた9機の宇宙機と、SpaceXの「Starlink」(スターリンク)衛星との間で発生した。同ロケットは、ゴビ砂漠の酒泉衛星発射センターから打ち上げられた。

 SpaceXのStarlinkエンジニアリング担当バイスプレジデントであるMichael Nicolls(マイケル・ニコルズ)氏は、「宇宙での連携や衝突回避は行われず、中国から展開された宇宙機の一つが、高度560キロメートルでSTARLINK-6079(56120)に200メートルの距離まで接近した」と述べている

 Kinetica 1は、広州を拠点とする民間企業の中科宇航(CAS Space)が運用する、高さ約30メートルの固体燃料ロケットだ。同社はNicolls氏の投稿に対し、「打ち上げサービスプロバイダー(LSP)として当然の注意義務は果たしたものの、この出来事を調査している」と回答した。

 CAS Spaceは「現在、詳細を調査中だ。我が社によるすべての打ち上げは、既知の衛星/デブリとの衝突を避けるため、地上ベースの宇宙状況把握システムを使用して打ち上げ枠を選択している」とXで述べた

 今回のKinetica 1の打ち上げでは、中国の多機能衛星6機、アラブ首長国連邦(UAE)の地球観測衛星、エジプトの科学衛星、ネパールの教育衛星1機が軌道に投入されたと共産党系メディアChina Dailyが報じている。SpaceXは、どの衛星がStarlink衛星に接近したのかは特定していない。

 Starlink衛星は、利用可能な追跡データから予測される接近地点から自力で回避することで、衝突の可能性を自律的に回避すると米メディアSpace.comが解説している。このような回避行動は一般的という。Starlink衛星は2025年上半期に約14万5000回の回避操作を実行。衛星1機で1カ月あたり約4回の操作に相当する。

 たとえ衛星同士の衝突、地球を周回する軌道にも豊富に存在するスペースデブリの衝突であっても、たった一度の衝突で巨大なデブリの雲が発生し、さらなる衝突を引き起こす可能性がある。「ケスラーシンドローム」として知られる悪夢のシナリオは、デブリの連鎖で宇宙での衛星の運用が困難、あるいは不可能になると指摘されている。

関連情報Nicolls氏公式Xアカウント投稿CAS Space公式Xアカウント投稿China DailySpace.com

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