ニセ警察官に注意!「タトゥーを確認」と裸画像要求も 警察官かたる特殊詐欺急増
警察官をかたり捜査名目で現金などをだまし取る詐欺が増加している。現金をだまし取るにとどまらずわいせつな画像などを要求するなど手口は巧妙化、悪質化している。携帯電話に国際電話からかかってくるケースが多く、警察庁は不要な国際電話の着信規制をするとともに、「警察は交流サイト(SNS)やメッセージアプリで連絡することはない」とニセ警察官詐欺に注意を呼びかけている。
警察庁によると、特殊詐欺の被害額は、今年に入り4月末までに約391億8千万円が確認され、そのうち警察官をかたる手口は約247億3千万円で6割を占める。20、30代の被害者も増加しているという。
犯行に利用される電話番号は「+80」などから始まる国際電話が多い。
被害者が犯行グループに取り囲まれて、受け子にさせられ、新たな被害者とともに金融機関で現金を振り込まされる手口も確認されている。
別の手口では、被害者宅の固定電話に電話があり、自動音声ガイダンスで「問い合わせをしたい場合は続けて番号を押して」などと言われ、番号を押したところ警察官を名乗る男が出た。メッセージアプリを携帯電話にインストールするよう指示された上、「あなたのお金が犯罪に関与しているか判断する」と言われ、1億2930万円を振り込まされた。
さらに、警察官をかたり現金をだまし取ったうえ、わいせつな行為を要求する手口も2~5月に6件発生。電話はいずれも男の声で、被害者はいずれも女性だった。
ある女性の元には、携帯電話に「+数字」の国際電話番号で警察官を名乗る男から着信があった。男は「口座が犯罪に利用されている」「身の潔白を証明するために指定された口座に現金を送金する必要がある」などと言い、女性は指定された口座に現金を振り込んだ。
被害はそれにとどまらず、SNSのビデオ通話で「身体的な特徴を確認する」などと指示され、上半身を裸にされるなどの性的な被害に遭ったという。
また、別の女性は携帯電話に通信会社を名乗る男から「携帯電話が利用停止になる」などと言われたという。その後、警察官を名乗る男から「逮捕を逃れるために金銭が必要」「24時間監視する必要がある」などと電話があり、女性は通信アプリのビデオ通話機能でトイレや入浴中の映像を送信させられるなどの被害に遭った。
警察庁によると、ほかにも「タトゥーが入っているか確認する」として裸になることを要求したり、裸のスクリーンショット画像を被害者に送信し、さらに脅迫したりする被害もあったという。(大渡美咲)
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ホンモノの警察官が伝授する「被害対策」は?
警察庁は«ホンモノの警察からのお願い»と題し、ホームページ(HP)上などで「ニセ警察官」による事件の被害に遭わないための対策などを紹介している。
それによると、まず警察が絶対に行うことがない行為を挙げる。
警察官がSNSやメッセージアプリで連絡する▽警察手帳や逮捕状の画像を送る▽HP上に名前を記載した逮捕状を掲載する▽現金を送ったり出させたりする▽わいせつな行為を要求する-の5つだ。
万が一、警察官を名乗る者からの電話があった場合は、所属や名前を確認の上、いったん電話を切り、警察相談専用電話「#9110」か、警察署の電話番号を調べて相談してほしいとする。
また、国際電話を日常的に使わなければ、携帯電話の場合は、国際電話の着信規制ができるアプリの使用、固定電話の場合は無償で休止できる国際電話不取り扱い受付センターへの申し込みを呼びかけている。
警察庁と全国の警察は2日から、«ニセ警察詐欺»«ニセ警察詐欺に注意»と強調した広報チラシをSNSなどで投稿するなど、警察官をかたった詐欺被害を防止する取り組みを強化するとしている。