なぜファミマはセブン銀行ATMに切り替えるのか
ファミリーマートの店頭に設置されているATMが、セブン銀行のATMに変更され、6月1日に一部店舗から設置が開始された。今後4年をかけて16,000台を設置する予定で、ファミリーマートの店頭で「セブン銀行ATM」が利用できるようになる。
セブン銀行ATMは、セブン-イレブン店頭を中心に28,000台以上が展開されている。基本的にはグループ内の店舗やショッピングモール、駅構内などに設置されてきたが、今回新たにファミリーマートと協業し、ファミリーマート店頭のATMを順次置き換え、セブン銀行ATMを設置していくことになっている。
名称としては「ファミマATM」となっており、セブン銀行ATMとしておなじみのレッドカラーからファミリーマートのグリーンを配したカラーリングに変更された。デザイン自体に違いはなく、色以外は「セブン銀行ATM」の表記がないことぐらい。ハードウェア面での変更点はなく、ソフトウェア面もほとんど変更はない。
つまり、現状のセブン銀行ATMで使える機能はほぼ使えることになる。例外として、セブン銀行ATMはコピー機と連動して返金手続きの用紙を発行できるが、ファミマATMはコピー機と連動していないため、同様の機能が使えないという(返金機能自体は利用可能)。
それ以外の機能は同様とされている。結果として、今までファミリーマートのATMでは対応していなかった「チャージ機能」に対応したのが大きな違いだ。
チャージ機能は、QRコード決済や電子マネーに対して現金でのチャージができる機能。
セブン銀行ATMの主力機能であり、多くの人が利用している機能だったため、ファミマATMの大きなメリットの1つと言えるだろう。対応しているのはPayPay、au PAY、d払い、楽天ペイ、メルペイなど。
セブン銀行ATMということで、nanacoのチャージに対応している点が特徴であり、逆にファミペイのチャージには非対応だ。
ただ、これは機能をわざわざ省いていないという意味でもあるし、そもそもこれまでセブン銀行ATMが対応していなかったからということで、ファミリーマートとしてはファミペイの現金チャージ対応に向けて協議していく考えだ。
もちろん、銀行ATMとしての機能はセブン銀行ATMと変わらない。手数料や利用時間なども同様。そもそも銀行ATMは、事業者側(この場合はセブン銀行)が店舗の場所を借り受けて設置するもので、運営自体はファミリーマートではなくセブン銀行が担当する。サポートもセブン銀行が行なう。この座組は、これまでのファミリーマートに設置されてきたイーネットATMやゆうちょ銀行ATMでも変わらない。
ただ、ファミリーマートとしては今後独自サービスの展開も検討はしているという。その際に、ファミリーマート店頭のファミマATMだけで利用できるサービスや、例えばATM画面にファミリーマートのサイネージを表示するといった独自機能が提供される可能性はある。
とはいえ、いずれにしてもファミマATMが拡大する必要がある。
現在、ファミマATMが設置されているのは東京のムスブ田町店、埼玉県の戸田市役所にあるサテライト店の2店舗だけ。ムスブ田町店はファミリーマート本社下にあるため、第1号のATM置き換え店となった。戸田市役所のサテライト店は新規オープン店であり、新規店でのファミマATM第1号店になるそうだ。
今後、まずは新規開業店に設置するATMでファミマATMを採用。4年をかけてATMを刷新していく。エリアフランチャイズとなる沖縄、宮崎、鹿児島の3県を除く全国に16,000台を導入する計画で、エリアフランチャイズへの設置は協議次第となる。
こうした設置の拡大と新サービスの開発を並行して進めていく。これまではイーネットATMが11,000台、ゆうちょ銀行ATMが5,000台と分かれており、共通のサービス開発も難しかったが、今後はセブン銀行ATMだけになるため、サービス開発の交渉がしやすくなると見込む。イーネットATMとゆうちょ銀行ATMで、それぞれ少しずつサービスが異なっていた点が統一され、セブン銀行ATMのUIは変えていないため、ユーザーが迷うことなく使えるというメリットもある(ただし、ファミリーマート店頭では当面3つのATMが存在することになる)。
ファミリーマートにとってATM自体で収益があるわけではないため、セブン銀行ATMのサービスはそのままに、さらに利便性を高めるなどで店舗への来店を促し、店内のサイネージやファミペイを生かして消費の喚起を行なうのが狙いだ。