太陽光のパワーだけで世界を一周した飛行機、メキシコ湾に散る(ギズモード・ジャパン)
生まれたときと違う目的で開発が進んだのはちょっと残念だったけど、おつかれさまでした。 世界で初めて太陽光だけで世界一周に成功した先駆的なソーラー飛行機「Solar Impulse 2(ソーラー・インパルス 2)」が無人飛行中に消息を絶ち、10年におよぶ空の旅に幕を下ろしました
アメリカ国家運輸安全委員会(NTSB)の報告によると、Solar Impulse 2は5月4日、自律飛行のテスト中に動力を失い、メキシコ湾に墜落したとのこと。死傷者は出ていません。 型破りな飛行機の喪失は、クリーンエネルギーを推進し、従来の航空機の限界を超越するための感動的なチャレンジの幕切れを意味します。
スイスの精神科医であるBertrand Piccard氏と、実業家のAndré Borschberg氏は、気球飛行で世界初となる無着陸での世界一周を達成したあと、2015年にSolar Impulse 2を開発しました。 両氏の目標は、太陽光エネルギーだけを用いた史上初の世界一周を成功させて、持続可能なエネルギー技術への関心を高めることでした。 カーボンファイバー製の機体の翼幅は70メートルを越え、重量はわずか約2.3トン(2313kg)。搭載された1万7248枚の太陽電池は、最大で66キロワットの電力を生成しました。非加圧のコックピットには、酸素タンクなどが装備されており、最大高度1万1887メートルでの長時間飛行が可能でした。 Piccard氏とBorschberg氏は、Solar Impulse 2で、世界初の液体燃料を一切使用しない地球一周飛行を成し遂げました。この歴史的なフライトは、2015年3月9日にアラブ首長国連邦のアブダビを飛び立ってから、16.5カ月かけて完了したそうです。 両氏は、交代で操縦しながら、17カ所の経由地に立ち寄りました。最後の寄港地はエジプトで、2016年7月26日にアブダビに帰還しました。
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そしてSolar Impulse 2は、2019年にスペイン系アメリカ企業のSkydweller Aeroに売却されましたが、同社は太陽光発電の能力よりも、偵察ドローンとしての可能性に注目していたそう。 悲しいかな、軍事偵察目的の長時間滞空無人ドローンに改造されたSolar Impulse 2は、再生可能エネルギーのシンボルと呼べる存在ではなくなってしまいました。
墜落当日、Solar Impulse 2は、ミシシッピ州のステニス国際空港(HSA)からテスト飛行のために離陸したところ、致命的な電力喪失に見舞われメキシコ湾に墜落。その衝撃で大破したとのこと。 この知らせを受け、Solar Impulse 2と苦楽をともにしたPiccard氏とBorschberg氏は、科学系サイトであるPopular Scienceに寄せた声明で次のように述べています。 ソーシャルメディアでSkydwellerの太陽光ドローンの墜落を知りました。Solar Impulseチームは、重要な技術的旗艦を失ったことを深く悲しんでいます。 Solar Impulse 2は、スイス交通博物館に常設展示される予定でした。画期的なソーラー飛行技術にふさわしい引退のはなむけになるはずだったんです。 残念ながら、実物として保存される望みは絶たれましたが、Solar Impulse 2が残したレガシーはこれからも引き継がれていくことでしょう。 Solar Impulse 2の勇姿とオリジナルの壮大なビジョンは、以下の動画で確認できます。 Image: Solar Impulse / YouTube Source: Solar Impulse / YouTube
Kenji P. Miyajima