テスラ株、個人投資家が押し目買い-マスク氏とトランプ氏対立でも

Vildana Hajric

  • テスラ株にレバレッジかけたETF、週次の資金流入が設定以来最高
  • 株価下落局面でマスク氏に倍賭けする戦略は過去に成果を上げた

米電気自動車(EV)メーカー、テスラの株価が先週急落し、イーロン・マスク氏の資産が360億ドル(約5兆2000億円)減少する中でも、同氏の熱狂的な支持者は押し目買いに動いた。しかも、レバレッジをかけてだ。

  ブルームバーグのデータによると、テスラ株について1日の値動きの2倍のリターンを目指す上場投資信託(ETF)「ダイレクション・デイリーTSLAブル2Xシェアーズ(TSLL)」への先週の流入額は計6億5100万ドルと、週間ベースで2022年の設定以来最大となった。特に5日と6日に大量の資金が集まった。

  こうした動きは、株価が下落する局面でマスク氏に倍賭けするという、おなじみの反応だ。過去にはこの戦略が素晴らしい成果を上げてきた。しかし今回は異例のリスクにさらされている。先週、マスク氏とトランプ米大統領が税制法案を巡って対立し、その結果、マスク氏の政治的な影響力が大きく損なわれた。

  個人的な対立に加え、テスラも中国での競争激化や先進国市場での需要減少といった事業上の課題にも直面している。また、同社の株価評価に対し、懐疑的な見方も根強い。株価は数年前から従来型の自動車メーカーと比べて割高な水準にある。

  それでも、個人投資家の揺るぎない信頼あるいは投機熱は衰えていない。こうした投資家には、マスク氏の復活に賭けて利益を上げてきた経験がある。

  ミラー・タバクのチーフ市場ストラテジスト、マット・メイリー氏は「個人投資家は過去にマスク氏の株が下がったときに買って成果を上げた。最近の下げも買いの好機と見ている」としつつも、「テスラが直面する厳しい状況を踏まえれば、今回の買いは少し時期尚早かもしれない」と分析している。

原題:Tesla’s Retail Army Defies Musk-Trump Spat With Record ETF Bet(抜粋)

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