【為替】2/16-2/20の米ドル/円を予想する

先週の米ドル/円は、2月8日に行われた日本の衆院選挙で連立与党が歴史的圧勝となるなか、前週までの上昇から下落へ転換し、158円手前から一時は152円台前半まで大きく下落しました(図表1参照)。与党の勝利は、程度こそ予想以上だったかもしれないものの、基本的には事前に予想された結果だったと思われます。それにもかかわらず、為替相場の流れがそれまでの円安から円高に転換したのはなぜなのでしょうか。

【図表1】米ドル/円の日足チャート(2025年11月~)

今回の選挙で、高市総理が率いる自民党を中心とする連立与党が勝利することは、事前にほぼ予想されていました。ただ、連立与党も消費税減税を選挙公約に掲げていたことから、連立与党が予想どおり選挙で勝利しても、日本の財政リスクを懸念した円売りの流れは変わらないという見方が基本だったのでしょう。

「財政懸念の円売り」が一服=米ドル/円は金利差縮小へ連動

しかし、選挙で与党が勝利しても、日本の財政リスクへの懸念から債券価格が下落し、債券利回りである長期金利が上昇するといった事態にはなりませんでした。このように、与党勝利後も日本の財政への懸念が予想外に広がることはなかったため、財政懸念を前提とした円売りが修正されたというのが、選挙終了後に円安が反転し、円高方向に戻った基本的な背景だったのではないでしょうか(図表2参照)。

【図表2】米ドル/円と日本の10年債利回り(2025年11月~)

米ドル/円は、日本の財政への懸念から円売りとされる動きが続く中では、日米金利差縮小に異例なほどに反応しない状況が続きました。ただし選挙後に、「財政懸念の円売り」が一服すると、日米金利差縮小に比較的素直に反応する結果となったことで円安の反転が拡大した可能性はありそうです(図表3参照)。

【図表3】米ドル/円と日米金利差(2026年1月~)

今週(2月16日週)の注目点=さらなる円高余地は金利差縮小が目安

円売り反動の円高は限定的か=金利差縮小の円買い拡大に注目

衆院選挙後に円安が反転したのは、これまで述べてきたように「日本の財政懸念の円売り」との見方に修正が入ったということが基本だったのではないでしょうか。連立与党が歴史的圧勝となり、高市政権の基盤が安定化したことを受け、いわゆるポピュリズム的な財政拡張に動くリスクがむしろ低下した可能性はあったでしょう。ではそれに伴う円反発はまだ続くのか。

ヘッジファンドの取引を反映するCFTC(米商品先物取引委員会)統計における投機筋の円ポジションは、この間の売り越し(米ドル買い越し)拡大も4万枚程度までにとどまっていました。2024年に円売り越しが20万枚近くまで拡大していた頃に比べると、必ずしも「行き過ぎ」懸念は強くなかったようです(図表4参照)。これを参考にすると、「日本の財政懸念の円売り」の反動に伴う円高も限られるのではないでしょうか。

【図表4】米ドル/円とCFTC統計の投機筋の円ポジション(2024年1月~)

「行き過ぎた円売り」の反動ではなく、投機筋が積極的な円買い拡大で米ドル安・円高を主導したのは、2025年4月にかけて139円まで米ドル安・円高が進んだ局面でした(図表5参照)。この時、投機筋が米ドル売り・円買い拡大の手掛かりにしたのは日米金利差縮小だったようです。その意味では、「日本の財政懸念による円売り」が一巡した中でどこまで円高へ戻るかは、日米金利差縮小が1つの目安になるでしょう。

【図表5】米ドル/円とCFTC統計の投機筋の円ポジション(2025年1月~)

円高150円割れの金利差縮小簡単ではない=今週は150~155円で予想

最近の米ドル/円と、日米の金融政策を反映する2年債利回り差の関係を前提にすると、米ドル/円が150円を割り込み、さらに下落するためには、日米2年債利回り差が2%割れまで縮小することが必要と考えられます(図表6参照)。足下で2.1%台前半まで縮小した同金利差が、さらに0.1%以上縮小するためには、米金利の低下か日本の金利の上昇、またはそれらが同時に起こる必要があります。こうした点を目安に、米ドル/円の続落余地を考えることになりそうです。

【図表6】米ドル/円と日米金利差(2026年1月~)

先週(2月9日週)は、1月雇用統計が予想より強い結果になった一方で、1月CPI(消費者物価指数)は抑制された結果となりました。強弱がまちまちな米経済指標の結果を受けて、6月頃からFRB(米連邦準備制度理事会)が利下げを再開するとの見通しに大きな変化はなかったようです。

衆院選挙後に大きく円高へ反転した米ドル/円でしたが、日米金利差などとの関係からすると一段と下落し、150円を大きく割れる可能性は低いのではないでしょうか。このため今週(2月16日週)は、150~155円で新たな方向感を模索する展開を予想します。

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