「コメ生産者は不安」「全部廃業」小泉農水大臣にJA福井会長が苦言(テレ朝NEWS)|dメニューニュース

 28日33℃まで気温が上がった埼玉県久喜市。炎天下の中、スーパーを取り囲むようにできた、100メートルにわたる長い行列。

2時間前から並ぶ客「暑くてバテバテ。タオルと水分補給、ペットボトル持参した」
一番乗りの客「(Q.何時に来た?)午前5時半。早く行かないとなくなるから。かなうことならいっぱい買いたい。一人一つだもん」

 お一人様1個限定。お目当ての商品は備蓄米です。大手スーパーやコンビニに続き、中小のスーパーでも、随意契約で放出された備蓄米の販売が始まりました。

 価格は5キロで1934円。用意した300袋がものの30分でほぼ完売しました。

購入した客「買えないものだと、巡り合えないものだと思っていたのに、今回買えたから、うれしくて仕方ないです」

 対象的に、コメ売り場に高く積まれた米袋の山。銘柄米などのコメの売れ行きは鈍っているといいます。

スーパーマルサン 久喜店伊良原正裕店長「買い控えがあって、コメ購入を備蓄米が出るのでちょっと待ってみようという。銘柄米の買い控えもあったのではないか」

 そこで、宮城県産の「ひとめぼれ」を600円ほど値下げし4000円台で販売するなど、銘柄米を少しでも安く売る努力をしているといいます。

「そういった価格に少しずつでも合わせていかないと、お客様がお求めにならない」

 備蓄米が出回るのと同時に、下がり始めたコメの価格。27日に農林水産省が発表した全国のコメの平均価格は、5キロあたり3835円。4週連続で値下がりしました。

空梅雨で猛暑、コメ生育心配 新米は?

 ただ、異例の早さで西日本が梅雨明けするなど、高温や水不足などによる新米への影響に不安も残ります。

 青々とした稲が育っている田んぼですが、よく見ると水がありません。

コメ農家 多田正吾さん「今年は梅雨があるようなないような天気で、雨が降らないので」

「(Q.このあたりかなり深くヒビが…)指が入るほど」

 実はこれ、苗の成長を抑制するため意図的に水を抜く「中干し」という、この時期恒例の作業なのです。しかし今年は、雨不足に加え、早すぎる猛暑のため…。

「今年は雨が少ないのでひび割れが大きい。ここら辺もすごい」「手がこんなに入る。もう少しすると足が入る感じ。こういうのは珍しい」

 今のところ、順調に稲の生育は進んでいますが、中干しをこのまま続けると、稲が育たなくなる恐れがあります。

 そのため、中干しを終える時期を10日ほど前倒しすることに決めました。来月1日にも田んぼに水を引く予定ですが、用水路を見せてもらうと…。

「山からの湧き水なので、雨が少ないとダメ。いつもこの辺まであるが、今年は雨が全然ないから(水が)上から来ない」「10日に1回くらい雨が降ってくれると楽。(雨)1回5センチでもたまってほしい」「(Q.梅雨明け発表が早いと、どうなる?)これからは水のケンカ?上の人が(田んぼに水を)引いたら下に(水が)来ない。俺みたいに待てない人は、下からポンプで上げる」

「(Q.ポンプで放水する頻度も増える?)そうですね」

 ポンプを多く使うということは、高騰している燃料を多く使うことになります。その分、経費がかかるため、コメ農家にとっては死活問題です。

 収穫したほとんどのコメをJAに卸している多田さん。去年は60キロあたりおよそ2万円で売れたといいます。

「JAも田植え前は『(60キロ)2万5000円以上で買う』どの業者も言っていたけど、今は沈黙です。2000円のコメが出ちゃうと、元の相場(約1万2000円)かな」「『近く(隣町)のJAが5年間(60キロ)最低保証2万円』と、(きのう)ある人が来て言っていたので、不安はなくなった」

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